先日、東京からいらしたお客様(当店の常連様です)とお話しさせていただいている時に興味深い話となり聞き入る事となったのです。その方が某大物商業デザイナーさんの偲ぶ会(残念ながら半年ほど前に他界なされました)に呼ばれて六本木の会場に行った時の話でした。
有名な方々がいらっしゃったそうで「加納典明くんもいたよ」との話でしたが、「そう言えば・・・彼も来てたんだよ。」と含みがある流れとなったのです。
「えっ?誰ですか?」と聞いてみると「今話題の、サノくんだっけ?彼だよ。」みなまで言わすなよ、と言わんばかりの投げ掛けに「今話題の」そして、「サノ」というだけですぐに理解できました。その会に来てたのは某エンブレムデザインで話題になった「佐野研二郎」氏だったのです。
「えっ!?その会はいつだったんですか?」と即質問し会話のキャッチボールは始まったのです。「8月の、終わりくらいだったかな?」と曖昧ながらも判りやすい時期感、
「それって渦中の頃のど真ん中じゃないですか!」
「そうなんだよ。会場に来た人がさ、ビックリしてたよ。」
「そりゃそうですよね!」
「でも、誰も話しかける人がいなくてさ、何か可哀想だったな。」
「ちょっと、話しかけづらいですよね・・・」
「普通に考えるとね。」
「あれが問題なければヒーローだったんでしょうけどね。」
「そうだよ。あれはさ、似ているけどオリジナルだと思うよ、オレは。」
「じゃあ、あのデザインは好きなんですか?」
「いや、あのデザインが好きか、と言われると好きじゃないけど。パクリじゃないんじゃないか。」
「・・・好きなデザインじゃないんですね・・・」
その会話の中で私は「パクリ」とは何かを考える事となったのです。
「パクリ」は「パクリ」でもデザインは専門ではありませんから、私が考え込んだ「パクリ」の事は「料理のパクリ」であります。
数年前にフランスの料理人数人が自分料理に対して特許を申請しようとして話題となりましたが、自分が経験を積み上げる中で作り上げたオリジナルの料理をいとも簡単に真似されるのは悔しい、というより残念だったのかもしれません。
完全なるオリジナルの料理を作り上げる、というのは思うほど簡単ではありません。完成度の高い既存の料理を超え、且つ、自分の料理や素材に対する考えが反映し、お客様に喜ばれなければならないからです。
それをただ写真を見ただけで「オレも作れる」のような気になりうわべだけをなぞるような料理を作れば「パクリ」と言われても仕方ないでしょう。しかし、その考案シェフの仕事を間近で見てきた料理人や、そのシェフの下で仕事をしていなくても、そのシェフの料理に対する考え方や姿勢までも尊敬してやまない料理人が敬意の念を込めて作れば、それは「パクリ」とは呼ばれず「オマージュ」とされるのだと思います。
斯く言う(かくいう)私も、料理の本を読んでインスパイアされる事は多々ありますから、「料理のパクリは絶対に許さん!」とは言いませんが、真似するなら真似するなりにそのシェフ(例えば料理本などに出たシェフ)の料理、素材、考え方、などを理解してから作り、それでさらに納得して真似したいものです。
私事ですが、私は魚をポワレする時にちょっと変わったポワレの仕方をするのですが(詳しくは書きません)、数年前、料理本を読んでいたら同じポワレの仕方を某有名シェフがしており大変驚き、そして、喜び、そして、誰かにこの事を話すと「お前がパクッたんじゃないの?」と言われるのではないか、と複数の気持ちが湧き上がった事がありました。
「たまたま同じだったんです!」と言っても無名な私と有名シェフでは「そんな事ないでしょう」と疑いの目を向けられるのは必至。(しかし、これを書いた時点でそんな目で見られるのか?)いつの時代も無名な者は立場が弱いものです。(ネガティブな男)
しかし、それを読んでから「自分の考えが間違ってはいなかったのだ」と思えるようになったので逆に感謝しています。(ポジティブに変換)
本でしか知らないシェフに対してならば「尊敬しておりますのでちょっとパクってもいいですか?」と心で唱えて真似する事も出来ますが、お互いを知っている料理人同士になると話はややこしくなると思われます。
仮に、シェフ同士仲が良く、一緒に飲んだりする間柄だったら飲んだ勢いで「お前のあの料理、どうやって作ってんの?」と気軽に聞け、更に「オレもやってみていい?」と了承を得る事もできると思われます。しかし、それでも作った後に「あの料理作ってみたけどスゴくよかった。オレも負けないように勉強する」などの相手に対する尊敬の念を込めて飲み直し、が必要になってきます。(メールではダメです)
つまり、知り合い、仲が良い、という間柄でも「料理」を商売としているプロであれば、真似するのであれば相手に対する「リスペクト(敬意を表す)」と「道理の筋」が必要なのではないでしょうか。
佐野氏の話が出て来た時、そのような事が頭の中を駆け巡り(大げさ)、そして、私に厨房業者さんを通して調理の仕方と機器の説明を聞いてきた人(料理人)を思い出しました。
本人が私に聞いてくれば何も問題はないのですが、あまりにも遠回りな聞き方、その後、全く連絡もない、という行動に、正直残念でなりません。
「リスペクトあり過ぎて直接聞けないんです。」
ん~、それでは道理の筋が違いますな。
有名な方々がいらっしゃったそうで「加納典明くんもいたよ」との話でしたが、「そう言えば・・・彼も来てたんだよ。」と含みがある流れとなったのです。
「えっ?誰ですか?」と聞いてみると「今話題の、サノくんだっけ?彼だよ。」みなまで言わすなよ、と言わんばかりの投げ掛けに「今話題の」そして、「サノ」というだけですぐに理解できました。その会に来てたのは某エンブレムデザインで話題になった「佐野研二郎」氏だったのです。
「えっ!?その会はいつだったんですか?」と即質問し会話のキャッチボールは始まったのです。「8月の、終わりくらいだったかな?」と曖昧ながらも判りやすい時期感、
「それって渦中の頃のど真ん中じゃないですか!」
「そうなんだよ。会場に来た人がさ、ビックリしてたよ。」
「そりゃそうですよね!」
「でも、誰も話しかける人がいなくてさ、何か可哀想だったな。」
「ちょっと、話しかけづらいですよね・・・」
「普通に考えるとね。」
「あれが問題なければヒーローだったんでしょうけどね。」
「そうだよ。あれはさ、似ているけどオリジナルだと思うよ、オレは。」
「じゃあ、あのデザインは好きなんですか?」
「いや、あのデザインが好きか、と言われると好きじゃないけど。パクリじゃないんじゃないか。」
「・・・好きなデザインじゃないんですね・・・」
その会話の中で私は「パクリ」とは何かを考える事となったのです。
「パクリ」は「パクリ」でもデザインは専門ではありませんから、私が考え込んだ「パクリ」の事は「料理のパクリ」であります。
数年前にフランスの料理人数人が自分料理に対して特許を申請しようとして話題となりましたが、自分が経験を積み上げる中で作り上げたオリジナルの料理をいとも簡単に真似されるのは悔しい、というより残念だったのかもしれません。
完全なるオリジナルの料理を作り上げる、というのは思うほど簡単ではありません。完成度の高い既存の料理を超え、且つ、自分の料理や素材に対する考えが反映し、お客様に喜ばれなければならないからです。
それをただ写真を見ただけで「オレも作れる」のような気になりうわべだけをなぞるような料理を作れば「パクリ」と言われても仕方ないでしょう。しかし、その考案シェフの仕事を間近で見てきた料理人や、そのシェフの下で仕事をしていなくても、そのシェフの料理に対する考え方や姿勢までも尊敬してやまない料理人が敬意の念を込めて作れば、それは「パクリ」とは呼ばれず「オマージュ」とされるのだと思います。
斯く言う(かくいう)私も、料理の本を読んでインスパイアされる事は多々ありますから、「料理のパクリは絶対に許さん!」とは言いませんが、真似するなら真似するなりにそのシェフ(例えば料理本などに出たシェフ)の料理、素材、考え方、などを理解してから作り、それでさらに納得して真似したいものです。
私事ですが、私は魚をポワレする時にちょっと変わったポワレの仕方をするのですが(詳しくは書きません)、数年前、料理本を読んでいたら同じポワレの仕方を某有名シェフがしており大変驚き、そして、喜び、そして、誰かにこの事を話すと「お前がパクッたんじゃないの?」と言われるのではないか、と複数の気持ちが湧き上がった事がありました。
「たまたま同じだったんです!」と言っても無名な私と有名シェフでは「そんな事ないでしょう」と疑いの目を向けられるのは必至。(しかし、これを書いた時点でそんな目で見られるのか?)いつの時代も無名な者は立場が弱いものです。(ネガティブな男)
しかし、それを読んでから「自分の考えが間違ってはいなかったのだ」と思えるようになったので逆に感謝しています。(ポジティブに変換)
本でしか知らないシェフに対してならば「尊敬しておりますのでちょっとパクってもいいですか?」と心で唱えて真似する事も出来ますが、お互いを知っている料理人同士になると話はややこしくなると思われます。
仮に、シェフ同士仲が良く、一緒に飲んだりする間柄だったら飲んだ勢いで「お前のあの料理、どうやって作ってんの?」と気軽に聞け、更に「オレもやってみていい?」と了承を得る事もできると思われます。しかし、それでも作った後に「あの料理作ってみたけどスゴくよかった。オレも負けないように勉強する」などの相手に対する尊敬の念を込めて飲み直し、が必要になってきます。(メールではダメです)
つまり、知り合い、仲が良い、という間柄でも「料理」を商売としているプロであれば、真似するのであれば相手に対する「リスペクト(敬意を表す)」と「道理の筋」が必要なのではないでしょうか。
佐野氏の話が出て来た時、そのような事が頭の中を駆け巡り(大げさ)、そして、私に厨房業者さんを通して調理の仕方と機器の説明を聞いてきた人(料理人)を思い出しました。
本人が私に聞いてくれば何も問題はないのですが、あまりにも遠回りな聞き方、その後、全く連絡もない、という行動に、正直残念でなりません。
「リスペクトあり過ぎて直接聞けないんです。」
ん~、それでは道理の筋が違いますな。