アルカーボン。
カーボンの成形技術が進歩し、更なる高強度炭素繊維が開発される昨今、もはや懐かしい言葉、死語ともなりつつありますね。
もともとアルカーボンは、外観だけはカーボンにしたいけど、強度的に持たないからとか、リアルに積層すると高価だからとの、言わば「フェイクカーボン」みたいな存在だった。
そんなアルカーボン製品を使うユーザーも、実は、チョットだけ恥ずかしかったりもしました。
LOOKの新型フレーム、675。
紛れもなく、アルカーボンのフレーム。
HPを見ても、「高剛性&高強度」「快適性」「レーシングフレーム」と、鼻息が荒い意欲作のようです。
なんで今さら「アルカーボン」にしたのか、ちょっと考えてみました。
(見た目が「ジャミラ」みたいなのは、分かり易すぎて、あえて触れないよ)
まず、アルカーボンとしている部位。
BB回り、トップチューブ、シートクランプの集合部のようです。
今までのLOOKは、695あたりでは、フルカーボンで、作っていました。
ネガは、カーボンの弾性率。高弾性カーボンは、アルミの強度、弾性率に近づいていますが、そこで問題となるのが、カーボン繊維の異方性です。
カーボン繊維は、一方向には強くとも、その直角方向には弱い。なので、繊維の方向を変えて、積層していく。
でも、課題が一番大きいのが、BB回り。
クランクの踏み込み力と、フレームのねじれと曲げ力が、同時に印加されます。
こうなると、カーボン繊維の積層で何とかしようとしても、どうにもならないゾーンが出てきてしまいます。
それが、タメとか、快適性がとか、乗り味がとかの言葉で、ポジティブに解釈される場合もありますが、ことレースの場においては、んなもんは、全部まとめて、只の「力のロス」です。
快適だろうが、味があろうが、アタックに反応できないフレームは、レースの場では、不利です。
また、BB回りの変形は、圧入タイプのBBの回りに隙間を作る事にもなります。
異音、ベアリング寿命の問題が出てきます。(だから、ドグマは今でもネジタイプのBBだと思っている)
そんな問題を解決できるのは、アルミフレーム。
私も昔、フルアルミのフレームに乗っていましたが(オルモのスーパーレッゲーロ、エバディオのバッカス)、その反応性、加速の良さは、今のドグマですら持たない、優れたものがあります。(但し、アルミフレームは犠牲にするものも多いが…)
そんなアルミフレームの高剛性のキーとなるのが、BB回り。
ここがガッチリしてるから、ロスなく、加速に変換できる。
LOOKの675は、そのBB回りをアルカーボンにしてきました。
きっと、その加速は、かつてのアルミフレームを彷彿させるものでしょう。
一方で、アルミが得意じゃないのが、塑性加工。具体的には、過度な形状へのチューブ加工が苦手です。
ダウンチューブなんかは、その断面形状(断面2次モーメント)が、剛性を決定します。
真ん中は断面を太く、BBに近い所は横長に、トップチューブに近い所は縦長に…と、これがアルミチューブには難しい。
ましてや、快適性を得るために、チューブの肉厚を変えつつ…なんて要求には、アルミが対応するのは、相当困難です。
だから675では、チューブはカーボン。
接合部が心配だら、包んで、インサート成形(?)みたくしちゃえ…との設計思想でしょう。(カーボンだと、空力的な要求も満たせるしね)
つまり、レーシングフレームを考えるなら、「BB回りはアルカーボン」ってのは、ごく真っ当な選択です。
今さらアルカーボン。ミドルグレードのモデルで試してくるあたら、LOOKの「ためらい」が感じられるますが、市場では、どう評価されるのでしょうか?
あー、メトロン星人みたいに、675を真っ二つに切ってみたい!
今日はここまで
カーボンの成形技術が進歩し、更なる高強度炭素繊維が開発される昨今、もはや懐かしい言葉、死語ともなりつつありますね。
もともとアルカーボンは、外観だけはカーボンにしたいけど、強度的に持たないからとか、リアルに積層すると高価だからとの、言わば「フェイクカーボン」みたいな存在だった。
そんなアルカーボン製品を使うユーザーも、実は、チョットだけ恥ずかしかったりもしました。
LOOKの新型フレーム、675。
紛れもなく、アルカーボンのフレーム。
HPを見ても、「高剛性&高強度」「快適性」「レーシングフレーム」と、鼻息が荒い意欲作のようです。
なんで今さら「アルカーボン」にしたのか、ちょっと考えてみました。
(見た目が「ジャミラ」みたいなのは、分かり易すぎて、あえて触れないよ)
まず、アルカーボンとしている部位。
BB回り、トップチューブ、シートクランプの集合部のようです。
今までのLOOKは、695あたりでは、フルカーボンで、作っていました。
ネガは、カーボンの弾性率。高弾性カーボンは、アルミの強度、弾性率に近づいていますが、そこで問題となるのが、カーボン繊維の異方性です。
カーボン繊維は、一方向には強くとも、その直角方向には弱い。なので、繊維の方向を変えて、積層していく。
でも、課題が一番大きいのが、BB回り。
クランクの踏み込み力と、フレームのねじれと曲げ力が、同時に印加されます。
こうなると、カーボン繊維の積層で何とかしようとしても、どうにもならないゾーンが出てきてしまいます。
それが、タメとか、快適性がとか、乗り味がとかの言葉で、ポジティブに解釈される場合もありますが、ことレースの場においては、んなもんは、全部まとめて、只の「力のロス」です。
快適だろうが、味があろうが、アタックに反応できないフレームは、レースの場では、不利です。
また、BB回りの変形は、圧入タイプのBBの回りに隙間を作る事にもなります。
異音、ベアリング寿命の問題が出てきます。(だから、ドグマは今でもネジタイプのBBだと思っている)
そんな問題を解決できるのは、アルミフレーム。
私も昔、フルアルミのフレームに乗っていましたが(オルモのスーパーレッゲーロ、エバディオのバッカス)、その反応性、加速の良さは、今のドグマですら持たない、優れたものがあります。(但し、アルミフレームは犠牲にするものも多いが…)
そんなアルミフレームの高剛性のキーとなるのが、BB回り。
ここがガッチリしてるから、ロスなく、加速に変換できる。
LOOKの675は、そのBB回りをアルカーボンにしてきました。
きっと、その加速は、かつてのアルミフレームを彷彿させるものでしょう。
一方で、アルミが得意じゃないのが、塑性加工。具体的には、過度な形状へのチューブ加工が苦手です。
ダウンチューブなんかは、その断面形状(断面2次モーメント)が、剛性を決定します。
真ん中は断面を太く、BBに近い所は横長に、トップチューブに近い所は縦長に…と、これがアルミチューブには難しい。
ましてや、快適性を得るために、チューブの肉厚を変えつつ…なんて要求には、アルミが対応するのは、相当困難です。
だから675では、チューブはカーボン。
接合部が心配だら、包んで、インサート成形(?)みたくしちゃえ…との設計思想でしょう。(カーボンだと、空力的な要求も満たせるしね)
つまり、レーシングフレームを考えるなら、「BB回りはアルカーボン」ってのは、ごく真っ当な選択です。
今さらアルカーボン。ミドルグレードのモデルで試してくるあたら、LOOKの「ためらい」が感じられるますが、市場では、どう評価されるのでしょうか?
あー、メトロン星人みたいに、675を真っ二つに切ってみたい!
今日はここまで
御手柔らかにお願いします。
ずっとブログ拝見させていただいていました!!影から見ているだけでよかったのですが我慢できずにとうとう初コメントです。(笑)かなりはしゃいでいます(笑)
記事の方、今回も読ませていただきました。
アルミやカーボンの難しい事は私にはインプット出来ませんが…
温かみのあるテーマのように感じました。
アルミという少し前のフレーム素材
カーボンというこれからの高進化性フレーム素材
新旧の混ざり合う…
すみません(笑)つい(笑)
読んでて楽しかったです!!
それと記事の中の
それが、タメとか、快適性がとか、乗り味がとかの言葉で、ポジティブに解釈される場合もありますが、ことレースの場においては、んなもんは、全部まとめて、只の「力のロス」です。
快適だろうが、味があろうが、アタックに反応できないフレームは、レースの場では、不利です。
この言葉かなりシビれました
カッコいいです(笑)本当に(笑)
そして話はそれますが私の乗っているロードバイクの事なのですがベルギーとオランダの自転車販売代理店「PRORACE」というところが作っているオリジナルの自転車なのですが私のロードに東レのトレカカーボンを使っているようで「50HT12K」となっているのですがこれはどんなタイプのカーボンなのでしょうか?
乗り味は素人の感覚ですが硬く直進性の高い乗り味な感じがします。
もしよければこの図々しいやつに教えてあげてください(笑)なんせ無名ブランド過ぎて情報が足らない足らない(笑)
こんなはちゃめちゃなコメントで本当に申し訳ございません(笑)
これからもブログ楽しく読ませていただきます!!!頑張ってください!!
楽しんで頂けたようで、幸いです。
で、そのPRORACEなるフレーム材ですが、大分、マスキングをしてるようですね。
50HT12Kは、多分、High Tensil材のHTで、5000MPaクラス、つまりT700あたりだと思います。(HM材では50tonは達成できないので…。推定ですが)
ちなみに、12Kは、「カーボン繊維の糸を12000本纏めたのを編み込んでますよ」との意味で、24Kがセーターだとすれば、1Kはフリースぐらいになるイメージでしょうか?(だから1Kはエライ!)
T700を使ったフレームは、弾性率はそれなりなので、剛性感はフレームの断面形状を大きくして稼ぐのだと思っています。つまり、マッチョなフレームになるんじゃないでしょうか?
全てT700だけでフレームを作る場合、材料的には、縦に硬いフレームは得意そうですが、踏んだ時にパリッとした硬質感のある乗り味は、苦手ではないでしょうか?(フレームの形状設計で、如何様にでもできるもんですが…)
直進安定性が強いのは、ディメンションのせいで、材質はあまり関係ないと思いますよ。
何にしても、人がコントロールする自転車にあっては、クセや特性の類は、慣れの一言で片付くと思ってます。
ただ、どうしようもないのが、「走らない」「曲がらない」バイクで、これは、買い換えるしかないでしょうね。
ただ結局、なんだかんだ言っても、「見た目がカッコいい」が全てを凌駕するんでしょうね。私もそんなんですが…。
では
BB周りの剛性が大事なのは良く分かるのですが、RCS6しか知らないので、他のフレーム(特にカーボン)の乗り味を試してみたいもんです。
因みに、RCS6はガチガチの方ですよね?
なんとこいつアルカーボンだったんですか?
ステム部の「ジャミラ」(懐かしいです…)がなんとなく受け入れられず(LOOK乗りのくせに)興味がなかったのですが、
妙に反応がいいとかいったインプレが多くなんとなく謎フレームだったのですが、
そうなると納得できるような気もしてきます。
LOOKなりの柔らかさと硬さの共存に対する回答なのかもしれませんね。
BBにプレスフィットを採用するのは作り手側の事情だけに思えて非常に納得いかないですね。
乗る側にはほとんどメリットが感じられないです。
しかしフレーム設計にもまだまだ未来はありそうですね。
近い将来トップモデルがフルカーボンではなくアルミ+カーボンという時代があったりすると楽しいですね。
あのステムは、空力だけですから、ステムの自由度のなさと、ジャミラが許せなければ、無理に選ぶ必要はないかと。
この手のテストフレームチックなのは、出ては消えを繰り返しているので(鉄フレームにカーボンバック、チタンバック、バックステー内にエラストマー、左右非対称など)、確実に、特に走りをメインとする人は、静観した方がいいと思いますよ。
RCS6は、個人的な感想レベルですが、あれでも、ガチガチという方ではないと思います。「芯の太い」とか「踏みごたえのある」とかかなと。
ガチガチは、もっと他にいますから。(エバディオの…とか)
では
トリノネタ、いつも楽しく拝見しております。
やっぱり、イタリアの街は美しいですね。なんと言っても、小さな町がステキでした。
さて、この675ですが、アルカーボンとの結論を出すのに、実は苦労したんです。
HPには、アルカーボンなんて直接は書いてなくても、機能の説明と工法、形状から、金属系のインサートだと分かり、だとすれば、アルミしかないとの、結論の出し方をしました。
また、LOOKは、昔アルミラグのカーボンフレームだったのて、その仕入先からなら、すぐに要求仕様通りの物が手に入るし、仕事を与える意味でも、アルミインサートにしたのかと思っています。
また、今のカーボンフレームは、全て、BB付近の形状設計で苦労してるので、解析ベースでも、アルミインサートとの結論になるかもしれませんね。
ただ、やはり(ジャミラも含めて)テスト販売的な要素が強いので、これからのインプレ記事が楽しみです。
では、また、トリノの話を期待しています!
明快な解析力から察するに、いろいろな方向から分析したものと思われますが『ウラはとったのかな?』という疑問が頭をよぎりました。
この記事ではBB、トップチューブ、シートクランプのラグがアルミ製とのことですが、調べてみたら675の2013年モデルはBBラグのみアルミ製とのことです。566と同様ですね。
Look本社スタッフから得られたので、間違いはないと思います。
ではでは
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ご指摘の「ウラ取り」の件、そうなんです、ウラをとってないんですよ。
だから、後で見ると、このブログ、結構、間違った事を書いちゃっていて、それが分かる度に、一人静に反省しています、「あぁ、ネットデブリを、また作っちゃったなぁ…」とね。(特に、レクサス自転車の記事は酷かった…)
675のは、トップチューブはベアリングライナー、シートチューブは、シートクランプをインサート成形してるのではないでしょうか?ただ、これをアルカーボンと書くと、確かに語弊がありますね。
まぁ、書いた理由は、そんなもんなんですよ。
まぁ、当たり障りがなく、魂もないオフィシャルな記事だけが横行していてもつまらないので、読者の方に、知らない所へ想いを馳せらす触媒のようになって欲しい…との思いでブログを書いてます。
だから、ある程度までの間違い、私情、偏見などは、「味付け」ぐらいの気持ちで見て頂けると、とても嬉しいです。(まぁ、世の中、そんなブログばかりですが)
コメントはいつでも歓迎ですので、またコメント頂けると嬉しいです。
では