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通勤ローディ、たまにホビーレース

「1kmで1秒短縮」って、どんだけスゴイの?

2013-07-05 08:41:44 | フレーム調査
ツール開幕!

一筋縄ではいかないステージが恒例の序盤戦。
今年も、ゴール前のドラマが多彩。

ゴール前、僅差で逃げ切った…犬がいたり、スプリンターの激突の前に、バスがゴールに激突したり、ゴールパフォーマンス宣言をしてるサガンの連続2位放置プレーがあったり、楽しんでいます。

さて、そんなツール。
ガッツリと喰いついたのは、チームTT。

マシンは、なかなかの進化。
ウェアは、まだまだ進化できそうですけどね。

↑中途半端な空力処理のスーツを着せられて、可哀想なスカイの面々。(シクロワイヤードより)

今年のTTマシン、1kmで1秒短縮できる実力があるらしいです。
この「1kmで1秒短縮」って、空力だけで稼ぐとしたら、どれぐらい大変な事なんでしょう?
ちょっと、考えてみました。


まず、「1kmで1秒短縮」は、速度に換算すると、1.67%のアップになります。

速度アップに空気抵抗低減値は、ざっと二乗に比例すると仮定すると、3.4%の空気低減低減が必要です。

この空気抵抗低減をフレームの改善だけでやるならば、ライダーも含めた全体抵抗に対するフレームの割合が15%と仮定すると、フレームの空気抵抗値を22.4%も下げる必要があります。

はぁ?22.4%?

仮に、乱流発生の抑制やら、フレーム断面形状の改善やらで、CD値を下げるならば、例えば、CD0.3→0.245まで下げないとなりません。

机上の計算とはいえ、ちょっと、あり得ない数字ですね。


では、どうやってフレームの抵抗を22.4%も低減したのか?

多分、色んな「合わせ技」でしょうね。

例えば、高強度材をふんだんに使って、チューブを「きしめん」みたく投影面積の小さな形状にするとか、空気の流れを乱すコンポにカバーをするとか、コンポ自体のフリクション低減だって、抵抗の低減になりますし。

(↑ブレーキにカバーはこんなの)

感覚的には、フレームのCD値改善が5%、投影面積の改善が10%、カバーとかで3%、その他7.4%ってとこでしょうか?(根拠のない推測ですが…)


ともかく、言いたいのは、技術の進歩なんて、とっても「地味」なんですよ。
何年も頑張って研究を続けた成果が、0.5%とかって、ザラにあります。それでも、結果が出ただけ、大したものだと、評価されます。

よく深夜の通販番組とかでは、「なんと、2倍の効果!(当社比。人によって効果には差があります)」とかよく謳われてますが、エンジニアの世界では、んなことは、(殆ど)ありません。

「0.5%の効果の研究成果を10人が持ち寄って5%の効果にする」、それがエンジニアの世界です。


「1kmで1秒短縮」。一見他愛もない数字に見えますが、その裏には、沢山のエンジニア達の、長きに渡る努力の成果が出たのだと思うと、ぐっとくるものがありますよね。

もしツールのTTのゴールの観客席で、チーム関係者でもないのに、勝利に感涙する人がいたら、それはマシンの勝利を喜ぶエンジニアなのかもしれませんね。


「ツールで勝利したTTマシン!最先端技術と研究の塊!そんなマシンが、今ならたったの○○○万円!」なんて言われると…。そして、もうすぐボーナスだと考えると…。

ツール期間中、財布を握りしめて、自転車屋さんに行かれるときは、ご注意ください。(オイラだけ?)


今日はここまで

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2 コメント

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Unknown (mitsu)
2013-07-09 06:59:55
これだけの改善があると楽しいですね。
やるとやるだけ改善する訳ですから。
とするとUCIの締め付けもTTに関してはそれほどきつくない?なんて。
日々の仕事の改善なんて仰るとおりですから。
よっぽどドラスティックなことやらないと。
Re:Unknown (Mr.H)
2013-07-10 09:47:49
TTはUCIも、「機材が一つの見せ場」として認識してるのでしょうかね。まぁ、集団走行も長い下りもないので、割り切りやすい所なのでしょうね。
ただ、長いステージレースでは、機材て差がつけるのも、つけられるのもTTですから、メーカーとしては、気合いが入るのでしょうね。
まぁ、機材好きとしては、いい「酒の魚」になり、ありがたいもんですが。

では

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