Today's agenda

通勤ローディ、たまにホビーレース

グラファイトデザイン T800

2013-02-26 23:59:51 | フレーム調査
グラファイトデザイン(GD)から、T800なるフレームがでました。


(↑シクロワイヤードより)

GDによると、「高強度の”T800S”繊維と、強度と弾性率の絶妙なバランスを持つ”M40J”繊維を55:45の割合で使用することで、軽量かつ強靭なフレームを実現」とありますが、本当にそうでしょうか?(←疑り深い人)


まず、フレーム名にもなっている、「売り」の素材について調べましょう。

以前紹介した、こちらの表を思い出して下さい。

以前書いた通り、数種類のカーボンを使う場合、部位毎に、引っ張り応力なら高強度材を、曲げ応力なら高弾性材を使うものです。それが最適設計の基本方針です。

しかし、表を見ると、T800SもM40Jも、引っ張り強度も弾性率も近い所にあります。
この表にある特性が、その素材の性能の全てではありませんが、構造設計をする上では、引っ張り強度と弾性率はとても大事な特性です。
なので、自転車素材目線では、ザックリ言ってしまえば、よく似た素材。これを、一体どう上手く使い分けたらいいのでしょう?

スペックを見ても、最適設計の一つの目安となる「フレーム単体重量」で950gと、まぁ、重たくはないけど、軽い部類にも入れないでしょう。
乗り味も、ピナレロが65トンクラスの弾性率を製品化する中、その半分強の38トンクラスなので、高い評価は得難いでしょう。
ただ、GDは昔から「しなり」(工学的には単なる変形だが)を売りとしていますから、その路線からすると、「GDらしい乗り味」とのポジティブな評価を受けるかもしれません。


一方で頂けないのが、「プリプレグを使った」と宣言してること。(書かなくてもいいのに…)
捉え方によっては、「ウチには、積層設計のスキルがありません」と宣言してるようなものです。
HPで書いている事も、修飾語だらけで、データは少なく、いわゆる「技術のあるメーカー」との印象が薄い感じですから、あまり正直に書くのも考えものです。
個人的にはオープンにするのは好きですが、書き方で工夫しと欲しいもんです。
折角頑張ったのだから、TIME、ピナレロ、カンパのように、もう少しテクニカルに書いて欲しいもんです。


GDもゴルフのシャフトで名を馳せたメーカーですが、自転車のフレームとなると、技術、コンセプト、営業の面でも、まだまだなのかもしれません。
でも、折角、日本のメーカーが、日本の素材を使って作る訳ですから、頑張って欲しいもんです。

…10年後の作に期待しましょう。


今日はここまで


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mitsu)
2013-02-27 22:35:48
カーボンに対する自負は高いトコと思われるのでノウハウの部分で計り知れない知見があるのでしょうか。
プリプレグは確かに余計ですね。
Unknown (Mr.H)
2013-03-01 08:33:52
プリプレグとなると、カタログからして、選べる材質が決まってしまうのが、残念ですね。
きっと実績を積めば、東レだって、「スペシャルプリプレグ」みたいなのを作ってくれるかもしれませんし。
それとも、GDの技術力が上がるのが先かしら?
何れにしても、10年ぐらいはかかるかなぁ?
今後に期待のビルダーですね。

コメントを投稿