MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

ハ長調のスポットライト

2011-03-11 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

03/11 私の音楽仲間 (264) ~ 私の室内楽仲間たち (238)



            ハ長調のスポットライト




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                   鋭い演奏者




       [音源ページ ]  [音源ページ




 『不協和音』の愛称で親しまれる、Mozart の 弦楽四重奏曲
ハ長調 K465
。 いよいよ、その第Ⅳ楽章までやって来ました。



 今回のキーワードは、

① 下降② 上昇する半音階

(主として上昇する) ③ 全音階

上下に向きを変える ④ ターン  …でした。



 いずれも、第Ⅰ楽章冒頭の序奏部に登場し、
各楽章で重要な役割を果たしてきました。




 最終楽章の "Allegro (molto)" は、次のように始まります。







 ViolinⅠの奏でる主題の中には、が見られます。

 も、他のパートに登場していますね。




  第二主題が登場してしばらくすると、次のような形が
ViolinⅠに現われます。







 忙しく向きを変える ④ ターンが、アイディアの中心
であることが解ります。




 提示部をト長調で締めくくるのが、次のような音楽です。







 駆け回る ViolinⅠは、ここでもターンを繰返しています。
先ほどの "急激なターン" に比べて、周期は多少長く
なっています。

 またハーモニーの進行に乗りながら、が巧みに織り
込まれています。 それも二つの Violin により、同時に、
ダブルで。 何と印象的な手法でしょう。




 これらの材料は、全曲の冒頭の混沌とした序奏部で、すべて
姿を現わしていました。

 続く明快な "Allegro" の部分だけでなく、どの楽章でも主題を
形作ったり、また背景の一部として、そっと登場していました。



 今回は紹介できなかった登場人物が、ほかにもたくさん!
「一言あって然るべきだ!」…と、あちこちから苦情が聞えて
きそうです。



 …そう言われてもね…。 苦情は、音楽を作った人に
言ってほしい…。

 その手腕が発揮される様は、さながらオペラの中の
よう。 あちこちで登場人物が顔を出しながら、音楽劇
全体が流れて行きます。




 最後になりましたが、Violin の Sa.さん、Viola の O.さん
チェロの N.M.さん、長時間に亘り、三曲もお付き合い
いただき、ありがとうございました。 お疲れさま。












          [この部分を連続編集した演奏例]