シニアー個人旅行のかわら版

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北国街道を辿る・・・歴史と食を求めて(2)

2007-09-07 17:41:36 | Weblog
 二日目は、長浜を出発、浅井氏の小谷城址を訪れ、戦国時代織田信長、木下藤吉郎(秀吉)、朝倉義景、浅井長政、柴田勝家、前田利家らの軍勢が死闘を繰りひろげた現在では国道365号線となっている北国街道を辿り木之本から今庄へ。更に今庄I.Cから福井I.Cを経て、浅井氏と共に信長に滅ぼされた朝倉氏の一乗谷館の遺跡を訪れ、福井I.Cから高岡I.Cに向かうルートです。(冒頭の写真は朝倉館跡)

関東に住む者として特に心惹かれるのは365号線栃の木峠の北西3キロにある木ノ芽峠です。時代は異なるものの、それぞれ下総の国(千葉県)、江戸、水戸を出発して、はるかなるこの峠を越えた先人たちの辛苦を偲ぼうと訪れることを心待ちにしていましたが、木ノ芽峠へは歩道でしか行くことができず、次回に期することにしました。

出発:長浜
    8号線を9キロ北へ。
速水信号
    信号を過ぎ、湖北町役場方向へ右折。北陸本線、北陸道を横切り、2キロ走行。
国道365号線 
    右折し、最初の信号で山道に入る。
到着:小谷城址
    365号線。木之本を経て、16キロ走行
余呉  
    365号線、3キロ走行。
栃の木峠 
    365号線、4キロ走行。
今庄I.C   
    29キロ走行。
福井I.C  
    158号線、8キロ走行。
到着:一乗谷 
福井I.C  
    120キロ走行。
高岡I.C  8号線を左折、六家交差点で右折、卸売市場口交差点左折、清水町交差点右折
到着:高岡駅
 
 


見る:
小谷城址・・・麓に駐車場、案内板、トイレがある。ここから車道を行けば頂上の城址入り口まで10分だが、斜面の一部崩壊で車両通行止め。しかたなく徒歩で登ることになったが、途中出会った湖北町の巡回パトロールの交通協会の車が、高齢の二人の仲間を頂上まで乗せてくださった。近道となる昔の大手門の歩道を勧められたが、朝露に濡れながら蜘蛛の巣を払いながらの山道で、帰りは車道を歩いた。数十匹の猿の群れに出会っただけの、琵琶湖、姉川、長浜の町の眺望を楽しみながらの一時間の静かなハイキングであった。

木ノ芽峠・栃の木峠・・・北陸と京を結ぶ北国街道の今庄と近江を結ぶ最後の峠。戦国時代に柴田勝家が安土までの近道として栃の木峠を大改修するまでは木の芽峠越えが官道であった。鉄道が今庄を通る明治時代まで、京・西近江へは木ノ芽峠、江戸・東近江へは栃の木峠が利用されていた。
現在では木の芽峠はハイカーが訪れるだけの道となり、栃の木峠は国道365号が通っているが、これも北陸道が開通してからは、有料道路を避けるトラックや自家用車が走るだけとなっている。


歴史を彩った木ノ芽峠:
建武3年(1336)新田義貞に従って越前を目指していた下総(千葉)の武将千葉貞胤の軍勢が木ノ芽峠で吹雪の中、孤立。弓矢までを燃やし暖をとったが、万策尽き、敦賀に布陣していた足利勢に降参した。足利側に寝返った貞胤は、その後千葉介となり、その子孫は下総で繁栄した。
元禄2年(1689)芭蕉は江戸深川を出発し、奥州を周り、日本海を南下、今庄に一泊、木の芽峠を越え、敦賀へ。「・・・鶯の関を過ぎて、湯尾峠を越れば、燧が城、かえるやまに初雁を聞て、十四日の夕暮れ、つるがの津に宿をもとむ。」と奥の細道にある。早朝に今庄を出発、木ノ芽峠を越えて、夕方に敦賀に着くというのが当時の徒歩での行程であった。

元治2年(1865)尊皇攘夷を掲げる天狗党1,000名は、阻止しようとする各藩兵と戦火を交えながら、はるばる水戸から中山道を経て京都に向かう。今庄宿で一泊し、雪の木ノ芽峠を越え、峠下の新保宿で一泊、敦賀に出ようとするが、頼りにしていた一橋慶喜にも見捨てられ、ここで降伏、敦賀では353名斬首という過酷な運命が待っていた。
吉村昭「天狗騒乱」


一乗谷朝倉氏遺跡・・・元亀4年(1573)信長軍との最後の戦いに朝倉義景は二万の軍を率いて近江の浅井長政とともに小谷城に陣を構えるが戦いに敗れ、敗走する中、刀禰(根)坂で追討する信長軍に3千もの将兵を討ち取られ、大半の兵士が逃亡、朝倉軍は壊滅しわずかな手勢で一乗谷に逃げ延びる。最盛期には一万人を越えたといわれる一乗谷も、敗戦の報に大混乱の中住民も逃亡、わずかな近臣が迎えるだけの館にたどり着いた。更に同族の城がある大野へ落ちていったが、ここでも裏切りに会い、自決した。捕らえられた愛児愛王丸、妻小少将、母光徳院は、義景の首級とともに京に移送されるが、途中、今庄で刺殺され、朝倉家の血はここに途絶えた。
発掘調査で当時の遺物が数多く出土、資料館で見ることができる。その中でも当時の武将が楽しんでいた将棋の駒をぜひ見たい。現在では使われていない位の駒があるので興味をそそられる。また、築城以来一度も戦いに使われることなく朽ち果てた一乗谷館背後の山城へのハイキングで往時を偲ぶのもよいだろう。


食べる:
今庄蕎麦・・・栃の木峠を越えて今庄に向かう途中、「そば道場」の大きな看板がところどころにある。今庄は蕎麦処として知られた町である。標識に従ってそば道場に赴く。蕎麦屋というより、立派な道場といった趣で、半ば訝しげに扉を開けると、案の定、ここは蕎麦打ちの体験道場、そば粉を捏ねることから始めないとそばを食べるわけにはいかない告げられる。

今庄の駅の周辺に蕎麦屋があるとのことで出かけるが、閑散とした駅前にはそれらしい店はない。近所の方に尋ね、ようやく駅から10メートル入った「忠兵衛」を行き着く。暖簾がなければ、蕎麦屋であることがわからない歴史のある町家。中に入ると黒光りする太い柱や天井は長年囲炉裏を使っていたからであろう。囲炉裏を取り囲む四枚の熊の敷物に、小谷城址の「熊出没注意」の看板を思い出す。小さな中庭全体が深い池になり、錦鯉が泳いでいる。築90年の町家で建築会社の社長宅であったとのこと、贅沢な造りに納得。早速もり蕎麦を注文、小ぶりの深皿に蕎麦がだし汁の中に盛られ、その上におろしと薬味のねぎ、かつお節が彩を添える。出雲そばの系統だろう。あっという間に平らげる。通常二皿を注文する客が多いとのこと。それでも足らずもう一皿注文。一皿600円。


高岡の寿司・・・二日目の夕食は、前日の長浜で食した琵琶湖の幸と比べてみようということで、高岡では日本海の幸で握った寿司を食べることに・・・訪れたのが「日の出寿司」。今では中々見ることができない親子で握っている寿司店。元気で明るい女将さんが接客、出前はお嫁さんが担当、家族的な店で、数年前まではおじいさんを含めて三世代で握っていたという。通されたのは二階の和室、戦後直ぐに建てた部屋で・・・と女将さんが恐縮していたが、我々全員が女将さんの年齢を越える高齢者、懐かしい昭和の雰囲気の部屋での会食となった。

付け出しはウニと新鮮なイカの和え物、旬の岩ガキ、お造りは正真正銘の富山湾であがったばかりの鯛、ヒラメ、えび・・・甘さと歯ごたえ、香りが違う。焼き魚はカレイ、焼き具合が絶妙。そして最後に握り・・・7,000円で、量は少なくともよいので、地元産に限定という注文に見事応えていただいた。酒は辛口の「立山」、料理との相性が抜群。もう一度是非訪れたい店である。


泊まる:
スーパーホテル高岡・・・朝食付き4,980円、どのようなホテルなのかホテル調査に入るような気分でチェックイン、受付の女性の笑顔に迎えられる。ロビーは社内食堂といった趣き。朝食はここで取るとのこと。周りの自動販売機の飲み物の値段にもびっくり。缶ビールはほとんど原価、朝食時にはソフトドリンクは無料となるとのこと。徹底した低価格路線です・・・とマネージャーの言。手渡されたのは六桁の数字の印刷された受付証、部屋に入るにも、6時以降の外出からホテルに戻る際にも、この数字をそれぞれの入り口のコンピュータ端末に打ち込むシステムになっているので絶えず身につけておくよう念を押される。部屋は前夜の長浜ホテルより一回り小さいが清潔感はある。

翌朝7時に食堂に下りると宿泊客が列を作り始めている。昨日受付にいたあの女性の笑顔に再び迎えられる。スーツ姿から割烹着に着替えた彼女が一人で甲斐甲斐しく働いている。彼女の笑顔は決して作り笑顔ではない。働いていることが楽しいという思いが伝わる笑顔なのだ。低価格路線→人件費カット→長時間労働との図式からは彼女の笑顔が理解できないが、実は秘密はこのホテルの管理システムにある。
午前10時から午後3時までは連泊の顧客といえども顧客は一切入館できない。また、夕方6時から翌朝7時までは玄関のコンピュータ端末に六桁の顧客番号を入力しなければ、これまた入館できない。つまり、多少の不便さを我慢できる顧客に自己責任を前提に低価格の宿泊料金を提供しているのである。
受付の女性の笑顔が好印象、朝食も悪くはなく、満足しての宿泊だったが、一つだけ気にかかった点がある。火災や地震などの災害時の対応がまったく触れられていないことだ。この効率的なシステムの盲点にならなければよいが・・・。

 
二日目経費:
17,630円
 交通費:有料道路代金830円(4,150円÷5人)ガソリン代710円(3,550円÷5人)
 宿泊費:4,980円(一泊朝食付)
 昼食(そば):1,800円
 宴会費:9,000円(酒代込み)
 入館料:入館料310円

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