先の記事、子育て生活で感情マックスになったときほど「しつけ(discipline)」の原点「教える・学ぶ」に立ち返る
に続く「思慮あるしつけ」についてです。
小児精神科医ダニエル・J・シーゲル 氏と心理学者 氏の著書
『No Drama Discipline: the whole-brain way to calm the chaos and nurture your child's developing mind』
邦訳『子どもの脳を伸ばす「しつけ」 ~怒る前に何をするか--「考える子」が育つ親の行動パターン~』
を参考にしています。
このシーゲル氏とブライソン氏が目指す「しつけ(discipline: 教える・学ぶ)」では、
目の前の「この子ども」に「この状況」で「今この瞬間」に、
より「適切な対応」を、個々の大人が選択する大切さが強調されています。
これはしてはいけない! → 叱りつける、(体)罰、タイムアウト
と「一定の決まった方法を、全ての状況に当てはめる(One-size-fits- all)」わけではなく、
その行為が行われた状況や、その子の様子を観て、
よりふさわしい「対応」をその都度選択していきましょうよ、というわけです。
例えば、「朝出かける時間が迫っても、ぐずぐずして服を着替えない」という場合。
こちらも分刻みで動いていますから、
「キー!何してんの!早くしなさい!」
と叱りつけたくもなります。
それでも、文脈や、その場の状況や、その子の様子や性質などに少し思いを向けると、
・前日夜に普段より遅く就寝し睡眠不足
・体調が優れない
・前日お友達に服装について言われた言葉がひっかかってどの服にしようか決まらない
・着ていこうと決めていた服が洗濯中で服を決めるのにいつもより時間がかかっている
・時間の概念がまだよく分かっていない(発達段階の問題)
・時間通りに登校する、親が時間通りに通勤することの大切さを分かっていない(発達段階の問題)
などなど、様々な様相が浮かび上がってきます。
そして、それぞれに異なる「適した対応」があるわけです。
「今日は早く寝ようね」と声をかけ、夜のスケジュールを見直す、
熱をはかってみる、蜂蜜入り喉ドロップを与える、
ひとまず服選びや着替えを手伝い、
お友達関係や、時間や、ルールについて改めて話し合う時をもつ、などなど。
私自身省みてもつくづく思いうんですが、
一緒くたに、「早くしなさーい!」と叱りつけるだけでは、
何の「解決」にもならないんですよね。
とはいえ、キー!と感情高まる中で、
その行為がされた文脈や、その場の状況や、その子の様子や性質などに少し思いを向ける
→より適切な対応を選択する
なんて、できるもんかね、と感じるかもしれません。
でも、
少しずつでも心がけていると、
随分と違ってきますよ。
著書にも、
「繰り返している内に、よりスムーズにできるようになってくるものです」
とあるんですが、「その通りだなあ」としみじみ実感しています。
完璧からほど遠く見えたっていいんですよ。
キー!
ふー、ちょっと待てよ。
と少しでも、「ワンクッション」はさめるようになっていくこと。
それが、結局は、長い目でみてより効果的な
「しつけ(discipline: 教える・学ぶ)」を可能とします。
これはしてはいけない! → 叱りつける、(体)罰、タイムアウト、
といったオートパイロットの「反応」より
「対応」を心がけていくこと。
これまで何度か紹介してきましたが:
「反応」:感情の押し寄せるまま行動
「対応」:感情押し寄せる→気づく→より適切な行動を選択
「反応」ではなく「対応」を心がけるために、
即座に取り組めることと、
長い目で見て取り組みたいことが、
シーゲル氏とブライソン氏の著書の「ワークブック」にもまとめられていますので、
以下、紹介しておきますね。
(” No-Drama Dscipline Workbook” by Daniel J. Siegel & Tina Payne Brysonより)
「反応」ではなく「対応」を助けるために即座に取り組めるツール:
・好ましくない行為をする子どもに向き合う前に、その子について愛することを3つ心の中であげてみる。
・向き合う前に10数える。
・「反応」する前に、5つ数えながら深く鼻から息を吸い、5つ数えながら息を止め、ゆっくり口から息を吐く。時間が許すなら最低2回繰り返す。
・「反応」する前に「ボディスキャン」をさらっとする。顎や肩にぎゅっと力が入っているなど、「怒り」が身体のどこに表れているかに気づく。濡れた犬が身体をブルブルとして水を弾き飛ばすように、頭から顔、肩、腕、お腹、足とそれぞれブルブル振って力を抜いていく。
← こうして「動く」のっていいんでしょうね。息を吐きながらそれぞれの箇所を緩めていくのも効果的です。
「反応」ではなく「対応」を助けるために長期で取り組みたいツール:
・自分ケア: 睡眠を十分とる。運動する。自身の人生を楽しむ。
・朝のイメージトレーニング:完全に起き切る前の数分間、子どものニーズに意図をもって「対応」し、1日がスムーズにいくイメージを描く。
・自分の子育ての目標を可視化し、日々目のつくところにおいておく:ピースフルな家族の食事、楽しいバケーション、穏やかな就寝前の時間などなど。
・子育てで大切に思うポイント(「反応」より「対応」など)をメモし、自動車のハンドル、冷蔵庫、トイレの鏡など日々目に付くところに貼りつけ、どのように考えどのように子どもと時を過ごしたいのかを思い出すようにする。
← 確かに、人ってすぐに忘れますからね。
次回は、
自らの感情の高まりに気づき、
ではどう「適切な対応」を選択していくのかについて、
具体的な助けとなる自らに問う「3つの質問」を紹介しますね。
さて、これからワシントンDC方面に出かけてきます!
それではみなさん、今日もよい日を!