「という、はなし」吉田篤弘
この吉田篤弘さんの本は1冊読んだことがあります。「つむじ風食堂の夜」です。文庫を買いました。
静かで、読みやすくて、いい文章です。文章の進むかんじが、私の好きなテンポなのです。
「という、はなし」は、リビング京都(毎週金曜日にポストインされているフリーペーパー)の読書コーナーでどこかの本屋さんの人が薦めていて、気になっていたもの。
こないだ財布にちょっと余裕があったから買いました。
24の短いお話。
すべてに「読書をする動物」のかわいらしい絵がついています。
短いにも、「ふむふむ」と思うようなことが詰まっていました。
たとえば、携帯の出現以来、「待ち時間」というものがなくなってしまったなあということや、情報化社会の中で便利になったことはたくさんあるけれど、「ほどよい」が消えてしまったような気がすることや、日曜日の夜は憂鬱だけど、もしも永久に土日が繰り返されたらそれは本当に退屈しないのだろうか、とか。そんなことをちょっとしたユーモアを
交えて短いお話にしています。
巧いなあと思います。
1日あればすぐ読めるような1冊です。
ちょっと切なくて、この時代のスピードにいまひとつ乗り切れない者としては、なんだかすごくよくわかる感覚でした。