建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

長周期への備えが急務となってきました。

2015年06月01日 | 建築物の安全
ケンチクベンゴシの豆蔵です。
関東地方、比較的大きな地震が続いていますね。

最近目につく火山活動の活発化と結びつけてイメージしがちですが、
直接的な関連性はないようです。
(火山活動自体は、むしろ最近大人しかったのが戻ってきたという話です。)

昨晩(5月30日)夜の地震は、P波(先行する縦揺れ)を全く感じませんでした。
遠く深い場所での巨大地震特有の揺れです。
ぐぐぐっと大きく横揺れして、しばらくそれが続きました。
地下なのにあの揺れ幅だったので、地上、高層階は結構な揺れだったかもしれません。
ビルから臨時の放送も入りました。

月曜の昼間の地震は、P→S波の順で結構揺れました。
事務所で会議中でしたが、ちゃぽちゃぽとおお茶がこぼれました。

東日本大震災以降、(超)高層ビルの長周期対策は大分知られるようになってきました。
長周期地震に対し、基準法の新耐震では対応できず、倒壊や大規模破壊に至る可能性があるという話です。
遠方で起きる巨大地震によるゆっくりとした大きな揺れ、海溝・プレートで起きる地震で、
東日本や東南海地震などもこのタイプです。

最近のビルや大資本の大規模ビルは、制震装置を付けるなどして対策をしているようですが、
そうではないビルもたくさんあるのではないでしょうか。
特に、分譲マンションで比較的古いものについては、対策が必要な場合にいろいろ難しいように思います。
対策を行おうにも区分所有者に費用負担が発生し、総会決議が必要になります。

地震への備えは、一つのパターンでカバーできないのがつらいところですね。
例えば、各段に普及が進んできた免震についても、
阪神のような直下型の揺れに対しては、効果を発揮しがたいと思われるところですし。
コストの関係もあるし、技術的にも万全ではない。

対策がなんて万全なんてことはあり得ない、ということを一人ひとりが理解して、
自らの身を守ることを真剣に考える必要があると思っています。
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