建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

時間50mm超えのゲリラ豪雨多発。GLに注意!

2014年08月17日 | 小ネタ
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

短い盆休み、京都で時間100mmに近い雨に遭遇して来ました。
大文字焼き目当ての観光客を直撃です。

かつて雨水排水の降雨量の基準といえば、地域にもよりますが1時間当たり50mmで見ているところが多かったと思います。
開発許可手続等で義務付けられる「雨水流出抑制」について、時間50mmで計算したり、雨どいやドレーンの設置についても、時間50mmと10分降水量の最大をチェックして決めた記憶があります。

ところが、最近のゲリラ豪雨は、時間50mmを軽々と超えています。
新しく建てる建物については、雨水排水量を大目に見込まないと、瑕疵を問われる可能性も否定できません。

また、気を付けなければならないのは、GL、つまり建物の敷地のレベルです。

裁判や相談で、GLの設定が低すぎるとか、間違って建ててしまったというケースが、散見されます。
是正は不可能ですから、道路からのレベル差の設定を甘くみると、大変なことになります。
判決において高い損害の評価をされているものはあまり見受けられませんが、実害が出て対応を余儀なくされるという実例はあります。
被害の程度によっては、瑕疵担保期間が経過しても、不法行為責任を問われるかもしれません。

洪水の経験のある地域は、特に要注意ですね。
ゲリラ豪雨で浸水の頻度が増えていますので、かつてのように「不可抗力」では逃げられない可能性があります。

洪水履歴は、お施主さんや役所から地域の情報を聞くほか、付近の建物を観察すると分かることがあります。
現地を見に行ったら、他の近所の建物はどれも、入口でかなりの段差やスロープを付けていることが判明した、などということもありました。
(設計者の過失を認める要素になります。)

しかし、京都というのはすごいです。
鴨川が濁流になり、五条通が川になっても、送り火が雨天中止というのは絶対にあり得ない、と。
そりゃそうですね。
お盆に帰って来た人が戻れなくなるのは、困りますからね。
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