ジャンボ~!
今日はとても興味深いアフリカ言語の本「アフリカのことばと社会」(三元社)をご紹
介します。
ブログ読者のみなさんから、時々ケニアやアフリカにかんするお問い合わせをいただ
きますが、そのなかに「ケニア語はなんですか?」というご質問がありました。
このお問い合わせには実はハッとしました。
ケニアに長く住んでいると、ケニアで使われる言語はそれぞれの部族語、国語はスワヒ
リ語、公用語は英語という認識があたりまえのようになっていますが、アフリカを知ら
ないひとにとっては、日本語やイタリア語のようにその国で話される言語はひとつと思
われて当然ですよね。
本書によると、現在全世界で話されている言語は6012あり、そのうちアフリカ大陸で話
されている言語は2092、実に世界の言語の3割以上がアフリカで話されているそうです。
すごーい!やはりアフリカは広大です。
拙ブログにてご紹介した品川大輔さんは本書第11章でケニア編を執筆されています。
ウガンダ編、タンザニア編もあり東アフリカの最新スワヒリ語状況がわかりとても興味
深いです。本書はアフリカ経験豊かな言語学者さんたちにより執筆編纂され以下全17章
で構成されています。
1章 アフリカにおける言語と社会 梶茂樹
2章 アフリカの言語問題 砂野幸稔
3章 言語の命を支える民族のアイデンティティ(ナイジェリア) 塩田勝彦
4章 英語主義か多言語主義か(ガーナ) 古閑恭子
5章 拡大するウォロフ語と重層的多言語状況の海に浮かぶフランス語(セネガル)
砂野幸稔
6章 ストリートで生成するスラング(コートジボワール) 鈴木裕之
7章 アフリカ諸語の有無が生む差異(カボ・ベルデとギニア・ビザウ)
市之瀬敦
8章 多言語使用と教育用言語を巡って(コンゴ民主共和国) 梶茂樹
9章 文字は誰のものか(エチオピア) 拓殖洋一
10章 数百万人の「マイノリティ」(エチオピア) 若狭基道
11章 言語的多様性とアイデンティティ,エスニシティ,そしてナショナリティ
(ケニア) 品川大輔
12章 多民族・多言語社会の諸相(ウガンダ) 宮崎久美子
13章 スワヒリ語の発展と民族語・英語との相克 (タンザニア)竹村景子・小森淳子
14章 未完の「国語(マダガスカル)」深澤秀夫
15章 動き続けるアフリカ諸語(ナミビア) 米田信子
16章 公用語政策の理想と現実(南アフリカ)神谷俊朗
17章 アメリカ手話とフランス語の接触が生んだ手話言語(フランス語圏西・中部
アフリカ)亀井伸考
広大なアフリカ大陸にすむ人々が多言語のふくざつな問題や多様な価値観をもつ隣人
とどのように折り合いをつけ暮らしているか、今の時代、本書からたいせつなヒントを
もらえそうです。
ナイロビ在住のかたは、本書を日本学術振興会ナイロビ研究連絡センター
(Tel 020-4442424)に併設された学術振興会ライブラリーにて貸出し閲覧できます。
アフリカ大陸の多様なことばと社会について書かれた本書、アフリカのことばに興味の
あるかたはぜひふれてみてくださいね。
さらにスワヒリ語ファンのみなさんにうれしいお知らせです♪
品川大輔さんが11月21日NHK Worldのスワヒリ語放送(現地時間6時半)に出演され
アフリカの多言語についてお話されます。海外向け番組ですが、短波を聞きそびれ
たかたはインターネットで一週間ずっと聞けるそうです。
うわ~い!楽しみ!楽しみ!*♪*
Tuisikilize Idhaa ya Kiswahili NHK!(NHKのスワヒリ語放送を聞こう!)