はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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本稿は、以下の続きである。
07-03-27 浮力の説明の謎
07-04-03 浮力の説明の謎 (2)
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「豆腐の表面が水圧を受けて押し込まれる力を受け、それが浮力の起源になる.」という解釈が如何に不自然であるかは、以下の図のような状況を考えれば、はっきり実感することができるだろう。

図のように、石のまな板に乗った(絹ごし)豆腐を考える。石のまな板は十分硬く、また、その表面は平面仕上げされており、豆腐との間に隙間が生じることはない。このまな板上の豆腐の浮力の状況を、水中に入れたときと、水中から出したときとで比較する。
水中に入れたとき、この豆腐は、浮力を受けて、自重による変形が軽減され、崩れにくくなるだろうか、、あるいは、そんなことは起こらず、浮力の効果は表れないのだろうか。

(前掲の)浮力の説明図を知らないか、あるいは知っていたとしても納得しなかった人は、素直な経験に基づいて、まな板の上にあろうがなかろうが同様に豆腐は軽くなると思うだろう。

一方、浮力の説明図を信じ込んでしまった人は、この場合の豆腐の底面には水圧がかかりようがないことに気づき、慌てることになる。その後の反応は二通りに分かれる。ある人は、底面以外のところに描かれたベクトル矢印の足し算を考えて、豆腐はまな板に押し付けられる一方で、軽くなるはずがないと(自己洗脳的に)信じ込んでしまう。こう考えると、水圧はもろに豆腐をまな板に向け押しつぶす効果をもたらすことになるが、これはさすがにおかしいと気づいた人は、「石のまな板から豆腐が受ける力を考えるべきなのか、、」とか、「豆腐の内側の水分の効果はどうだろう?」とか思い悩み、迷路から抜け出せなくなって、ついには「物理とは分らぬものだ.」という、欲求不満や、諦めや、挫折の印象だけが残ることになってしまう。なまじ、浮力の説明図を知っていると、正しい自然現象の認識とその本質的な理解が妨げられてしまうのだ。
<続く>

===追記===
実際に豆腐を使って実験した結果を写真にして載せようと試みたが、水から出した豆腐は自ら水分を失って(結構なはやさで)縮んでいき、また、そうこうしているうちに欠けたり崩れたりして、説得力のある一目瞭然の写真を揃えるのは案外難しいことを認識した(日ごろ台所仕事をしていないことの反省を迫られた)。別の材料を使ってもう一工夫してみようと思う。ただし、豆腐への浮力の効果が、豆腐の底が水槽底面に着いたとたんに変容したりしないことははっきり実感できた。やはり、各自、流しや風呂で試してもらうのが一番いいのかも知れない、、(ただし、豆腐一丁持って風呂場に行くと、家族に、奇行と見られるのは必至だが、、、(^^;)。

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