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地球温暖化とCO2排出規制
社会・時事批評
/
2007-03-22 16:02:28
昨今では、地球温暖化の問題と、その原因であるCO2の排出規制の必要性が、一般にも広く知られている。ところが一方、地球温暖化の原因を、人間の工業社会が排出したCO2ガスと見なすのは早計だとする意見が以前より存在する。先日まで参加していた日本物理学会のあるセッションでも、このことが取り上げられ、CO2による温暖化説が間違いだと主張する先鋒論者:槌田敦氏の意見を巡って議論が繰り広げられていた。
氏の主張は以下の2点に要約できるだろう。
(1)平均気温とCO2量のデータの年次変動データを比較すると、気温の変動から(約1年)遅れてCO2が変動する傾向がある。よって、CO2増加は気温上昇の結果であって、原因ではない。
(2)因果の根拠とされる研究は、コンピュータシミュレーションに基づくが、計算結果はパラメータの選び方でいか様にも変わる。また、現在のモデルは、水圏や生態系まで含め、排出されたCO2がどこにのように移動・固定化するのかを正しく予測できていないない。よって、シミュレーション研究は、温暖化の因果を判断する根拠にならない。
-----
私は、自らデーターを検討したわけでもないし、気象学や地球物理の詳しい知識を持つわけでもないので、反証も賛同もしかねる立場にいる。また、特段の権限や影響力を伴わないある個人の見解に対して、あえて論評を加えたいとも思わない。しかし、今回の槌田氏の意見を巡る議論を聴いていると、何か、釈然としないフラストレーションを覚える。
槌田氏の意見は、完成された説得力をもつ調査や論理になっているとは言い難いように感じる。しかし、無視すべきと判断されるような、思いつきの意見でもない。この疑義については、物理学会の片隅などで、ちまちました討論など行っている場合ではないのだ。先ずは、上記のような氏の疑問にどれだけ明確に反論できるのか(できないのか)、これまでの国際会議等を主導した専門家は一旦は全力で応答すべきではないか。また、政治の動きとの連動する事態に立ち入っているのだから、中央省庁や立法府も、あらためて、主流派と異なる論をひな壇に上げて、様々な疑問を徹底的に議論する場をつくる役を果たすべきではないか。
以下、専門家ではない私の立場で考えることを記す。
複雑で大規模な系について、単純な因果を見つけることは困難である、、これはすぐに想像できることである。しかし、我々の生存を託している地球環境に対して「はっきり分からないのが結論だ.」と言っても済まないことも理解できる。
『このままで行けば、いずれは人為排出CO2に由来する効果がはっきりしてくるだろうが、その時点に至ってしまえば、取り返しが極めて困難になるので、早めに対策をはじめて、その間に研究を進めるべきだ。』-これが、現在主流となっている専門家の意見だろう。
ここでの対策とは、地球のCO2量を減らすことではないことに注意する必要がある。人為排出CO2の量をある程度コントロールできるように、技術的および国際政治関係的な方法を築き始めるべきということなのだ。そのように、打てる手を広げておいて、実際にとる行動は、研究の進捗に合わせ、見直しを含めて決めていけばいいということだろう。
このように説明すれば、CO2排出規制の考え方も比較的すっきりしてくる。削減の数値をふりかざすことにあまり意味はないのだ。それこそ、欧・米・アジア間の政治力学の問題のようになってしまう。先ずは、世界的に資金と頭脳を供出し合い、温暖化の原因を調べる多面的てロングスパンの研究を進めることだ。さらに、地球のCO2(ただし人為排出に限らない)の大気圏以外への固定化を促進・調整する方法を研究することだ。可逆的固定が望ましいだろう。そして最後に、工業的に排出されるCO2量を削減する技術を募ることだ。これらの研究に対しては、世界から十二分の資金を出し合い、より重要な成果を出した国に、多くの利益が戻るような方法を採り入れるのが良いだろう。
このような観点で、「京都議定書」の基本的認識と方向は誤っていないが、その方法論はあまり賢いものでない、、というのが私の感想だ。
=====
〔オフィシャル資料/環境省〕
地球温暖化の科学的知見
気候変動枠組条約・京都議定書関連文書
京都議定書の概要
〔諸論等〕
京都議定書「発効」とこれからの地球温暖化対策
/佐和隆光氏の文書
地球温暖化&対策への懐疑論について
/ブログ:温暖化いろいろ
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〔補足情報〕
CO2問題と密接な関係をもつ「大規模森林火災」について。
何が原因で何が結果であるのか、単純には結論できないが、かといって放置することも許されない、、という典型的難問題。とりあえず、コメント抜きでリンクを紹介する。認識の薄かった方はぜひご覧いただきたい。
ETV2002「検証・シベリア森林火災」
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