はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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私が小学校低学年のころのある日の出来事なのだが、ある人(隣戸に住む義理の伯父)が、竹竿にホースを括った「サイホン」で庭の池の水を汲み出しているところを観た。
とても衝撃的だった。低い池の水面からホースを通って水が登る現象は、私には奇跡的に見えた。水は高いところから低いところへ向かって流れる-と信じていたからだ。
私は、その伯父に、「どうして途中の高い所へ水が上がれるのか」の旨の質問をした。伯父は、意外な問いかけに戸惑った、、というか、むしろちょっと機嫌を害した風で、「サイホンだから‥」というようなこと以上の返事をくれなかった(思い起こせば、伯父はいわゆる文系分野の優れた社会人であった)。
その一瞬の伯父の反応は、私にとっての二度目の強い驚きであった。平然としてこの不思議な現象を眺め利用できる大人を、ある意味凄い存在だと思った。

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科学を教育することの本質は、単に面白い現象を紹介しその使い方を教えることにあるのではなく、そこから生じる素朴な疑問を重視し、その疑問の構造を解きほぐし、一般的な理解に導くことを手助けすることにある、という今の私の信念を持つに至る源泉ともなる出来事であった。

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〔追記〕
実は、今の立場からでも、上に書いた昔の私の質問に答えるのは結構難しい。--つづく--


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