maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

02 覚悟も何もする間無し

2006-05-18 17:48:12 | 虚々実々-心筋梗塞顛末記

02 覚悟も何もする間無し

救急車の乗員は男性二人女性一人の三人組、この女性が実にテキパキと確りしてました。
176号線を左折したのは判ったけれど、それから先は何処をどう通ったかまったく不明。
一緒に乗っていたカミさんも、どんな経路を走ったのか皆目判らんかったそうな。

何処をどう走ってるのかは判らんけれど、これはひょっとしたら死ぬかも知れん状況やな!と遅まきながら気が付きましてね。
惚気(ノロケ)でも何でも無く、最後の時にはカミさんに居て欲しいと常々思うてましてん。
よかった・・・、救急車にはカミさんが一緒に乗ってるねんから、仮に容体が急変しても安心ですやんか。

千里丘陵にある国立循環器センターの救急外来に着いたのは10:10やったそうです。
さすがに、ここではストレッチャーのまま処置室に入りましたわ。

処置台に載せられたと思ったら、スプレーを手に持った人が「口を開いて舌を上げて」と言うんです。
その通りにしたら、「アレッ、ニトロがそのまんま残ってる!」口の中がカラカラで舌下錠が溶けてなかったらしいんですなぁ。
「じゃぁ、その錠剤をしゃぶっていて下さい」何やねん、舌下錠は今までまったく役に立ってなかったんかいな。
ほんなら、楽になったような気がしたのは何やってん?急に痛みが増したような気が・・・。

ワッと何人もが寄ってきて、あれよあれよという間に身包(ミグル)みはがれて、毛を剃られるは導尿管を入れられるは、オムツまでされてるみたいやけれど、もう無抵抗でなすがまま。
左で採血してるかと思えば右では血圧を測って、その間、今までの経過や過去の病歴に関する質問責め。

モガモガいうているうちに左手首には点滴の針をがっちり固定されてしもた。
「最初の痛さを10としたら今はどうですか?」
そういう難しい事を突然きかれてもなぁ・・・。

覆い被さった人が早口で何やら言うてるなぁと思ったら、これからする処置の説明らしい。
その間にも手足のアチコチにマジックで印をつけられたり、胸には電極を取り付けられてますねん。
このドサクサしてる最中に、血管に穴があいたり、場合によっては心臓に刺さったり、血栓が他の部位に飛んで脳梗塞、肺梗塞になる危険も有るとか何とか説明されてもねぇ・・・。

早い話が「これから行う処置に、非常に少ないとはいえそういう危険が有るということを了承してもらえますか?」ということらしい。
そんなもん、了承するも何も早う何とかして貰わんとしんどいがな、ハイハイなんでもしてちょうだい!

後で聞いたら、その間カミさんも同じようなことを説明されて、何枚もの同意書にサインしてたんやそうです。
寄ってたかってストレッチャーに移されてカテーテル室へ運ばれたんですが、まぁストレッチャーの移動速度が早かったねぇ。
5~6人掛かりで殺気立ってて、まるでダンジリの引き回しか山笠の宮入りでっせ。

2本の弧状のレールにでかいライトみたいなのが2個セットされた手術台に移し替えられて、ガバガバした紙みたいなシーツを掛けられて、ビリビリと裂いて顔だけは出るようにしてくれたのは武士の情?

「最初の痛さを10としたら今はどうですか?」
まぁ、この後同じ質問を何十回されたことか。

右手首「消毒しますよ」何やら生暖かい液体を塗りたくられている様子。
「それでは局部麻酔します」何個所かチクチクとしたけれど、さて一体何をどうされているのやら?
「最初の痛さを10としたら今はどうですか?」
「10、10!」

「造影剤が入ります」と言うが早いか、手首から全身にカァ~ッと熱感が広がるんです。
ちゃんと血が流れているという実感がして、ある種の快感がありまっせ。
してみると思っていたよりも血液というのは早く全身を廻ってるんですなぁ。

丁度右の腰辺りにモニターが数台纏まっていて何か写ってるんですが、目玉をどう動かしてもよう見えんのです。
何かが動いているんですが、あれは自分の心臓やったんかいな?
透視しながら何か処置をしてるんでしょうねぇ。

でかいライトみたいなのがガァ~と位置を変えて、作動する時なのか、終わった時か判らんのですが「ファン、ファン、ファン、ファン、ファン」と尻上がりに電子音がするんです。
周囲の道具立てとあいまって、この音が実にSFティックで印象的でしたなぁ。

オッ、何だか痛みが薄れたような。
これはええぞ!と思ったら、不意にキャン!と痛みが・・・。
「最初の痛さを10としたら今はどうですか?」
「う、う、とにかく痛い!」

「そうですねぇ、今血管を拡張してますから痛みますでしょう」
殺生な、判ってるんやったら聞かんといてや!

右の手首は今まで何も感覚が無かったのに、時々ダル痛いような感じがしだしましたねぇ。
そうこうする内に胸の痛みがかなり楽になって来ました。

「最初の痛さを10としたら今はどうですか?」
「0」は痛みが無いのやから判るんですが、果たして今の痛みは「4」か「6」か?

他に訊き方がないんでしょうが、これを基に処置をするのなら、何とかして正確に伝えたいしね。
とはいえ、どっちみち痛みなんてなもんは定量的に表現できませんやんか。
訊いてる方もそれは先刻ご承知やろうから、適当に「7」とか「8」てな事をいうてました。

目の届く範囲に時計が無いので、果たしてどれくらいの時間が経ったのか?
喉と胸の痛みは相当軽減されたけれど、深く息をしても酸素が足りんような気がするんです。
全身がダルイ、しんどい。

「はい、お疲れさま、今から抜きます。」
右腕に一本だる~い筋があって、それがずるずると引きずり出されてる感じですねぇ。
丁度脈を測る時に押さえる辺りを、手首が砕けへんかいな?と思うほどエライ力で圧迫してます。

一瞬緩んだかと思ったら、プシュプシュと音がして以前にも増して圧迫感が。
右手の指同士が貼り着いてるのは消毒薬でかそれとも血?

2006/05/18
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