SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

トニー滝谷 ~ トニー谷?

2005年08月09日 | 映画(タ行)

 市川準監督だから多分静謐な雰囲気の映画なのだろう。村上春樹原作だし、宮沢りえが出ているし、坂本龍一の音楽だからある種のスタイルを持った映画に違いない。と、顔ぶれを見た上での予想はまったく裏切られることのない作品。
 孤独に慣れてきた人間が人とのコミュニケーションをそう悪いものでもないなと思い始める、その心の機微がジワッと描かれている。

 西島秀俊の語りと坂本龍一の音楽に絵が付いたと言っても良いくらいの映像詩的な作品だが、語りの一部が突然台詞として俳優に語られるという実験的な試みがなされている。パソコンのマウス・クリックでウィンドウが切り替わるというか、瞬時に「地」と「図」が入れ替わるような不思議な感覚である。「映像作家」の作品が好きな人にはお勧め、ハリウッド映画ファンは見なくても良いかもしれない。
 ここまで主演のイッセー尾形にはまったく触れていないが、物語の核として確かに画面の中に存在していた、というのはやはり見事なんだと思う。

 古い世代で原作を知らない人は、タイトルから「トニー谷」を連想し、イッセー尾形主演だから芸人の一代記のような映画だと思うかもしれない。



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