SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ラストキング・オブ・スコットランド」

2007年04月10日 | 映画(ラ行、ワ行)
 優しげな黒人俳優という面影が一変、さすがに役者だ、フォレスト・ウィテカー。アカデミー主演男優賞受賞にも素直に納得した。

 アミンという男、良いか悪いかは別として、とてもテンションの高い男だ。そしてその高いテンションを保ったまま善良と邪悪の間を行き来する。そのカリスマ性が見事に演じられている。

 若い白人医者が人間としては何の経験もないまま、あれよあれよという間にアミンの主治医に取り立てられる。しかし人間としての大きさが違う。まして後半、アミンは巨大にして邪悪だ。偶然地球儀を回してウガンダ行きを決めたにすぎない若者の薄っぺらさなど見通しているのだ。

 かくして蜘蛛の巣に捕らえられたがごとき若者の脱出サスペンス劇となる。ラスト近くの残酷描写は「羊たちの沈黙」にも近い緊迫感があり、思わず引いてしまった。

 アミンの実録ものなどではなく、娯楽サスペンスとしてのフィクションに実在のアフリカ大統領と当時の社会背景、事件がまことにうまく取り込まれていると見るべきだろう。エンテベ空港のハイジャック事件と人質解放の顛末をフィクションに引きずり込んだ時点で、すでに素晴らしい物語が約束されていたといって良い。


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