美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




というわけで大琳派展に参戦してきました...

私は混雑する展覧会が苦手なので、今回はパスしてしようと思って
いたのですが、大琳派展オフにお邪魔することにしたので、観てお
かないのは無粋かなぁ...と。

金曜日の夜間開館。当日券を求める人たちは、きっと昼間は働いた
り勉強していたのであろう善男善女。会場内はそこそこ混んでいま
したが、善男善女が多いせいか思いのほか観やすい。私はもともと
パスつもりだったので、こだわりなく空いてるとこからすいすいと
観る作戦...

一周目...

宗達と光悦は凄く混んでいます。風神雷神は二年前に出光の三作揃
い踏みを観ているので軽く流して光琳の部屋へ...

小品ならここら辺からゆっくり観られます。『寿老人・山水図団扇』
『蔦図香包』あたりは美術品ではないけどいい感じ。尾形乾山が描
いた『立葵図屏風』の正方形の画面にリズミカルな葵もよかったな...

そして、今回、私的に発見だったのが酒井抱一です。『波図屏風』
の銀地に描かれた荒々とした波や、大きな余白を残した『柿図屏風』
の隙のない構図...特に抱一の柿には小林古径を思い出しました。ど
こかで近代の日本画に繋がっていく道のりを感じました。

そして『夏秋草図屏風』...もともと光琳の風神雷神図屏風の裏に描
かれていたのだそうです。風神の裏にはススキ揺らめくさまに、は
らはらと舞り行く落ち葉...そして雷神の裏には少し湿った夏草...
先人の作品を昇華した上で、それをさらに越えんばかりの型にはま
らないこの作品は自在...凄いなぁ...

そこから二周目へ突入...

夏の対決展で観た作品もあります。特に宗達の『槙檜図屏風』と光
琳の『竹梅図屏風』はいつ観てもいいなぁ...この二枚を比べながら、
対決展ではどちらに軍配をあげたのか思い出せませんでした。
答えは対決展の感想に...(^^)
特別展「対決-巨匠たちの日本美術」 (東京国立博物館)

そういえば『槙檜図屏風』の前に張り付いているおじさんがいまし
た。きちんとした身なりの人なのですが、ガラスケースの前で暗算
でもするかのように指を細かく動かしています。槇や檜の枝をなぞ
っていたのだろうな...

二周目になると気持ちに余裕が出てきて、並ばないと観られない作
品も観ようという気になります。これまで光琳の線を意識すること
はなかったのですが、蒔絵の下絵には色々な線が使われていてなか
なか興味深く...

抱一の『四季花鳥図巻』を春からたどるのもなかなか。ちょうど春
先の土筆が芽吹くあたりで『つくし...つくし...』とつぶやく女性
がいました。野草が好きなのかな...

だけど、その先に行っても『つくし...つくし...』つぶやいている
のでした。どうしたのだろうと思ってよくよく聞いてみると、『う
つくし...うつくし...』と感嘆していたのでした(実話)...(^^)

そして三周目...

閉館時間も近くなれば宗達・光悦のコーナーも空いてきます。さっ
きまでの喧噪が嘘のよう。『槙檜図屏風』の前のおじさんはまだ張
り付いていて、こんどは屏風を縦に走査しながら(うなずきながら)
なめるように観ています。単なる美術好きにしてはただならぬ気配...
# 実は贋作家だったりして...(^^;

一方、抱一のコーナーは大混雑。最初にゆっくり観ておいてよかっ
た...

最後の四周目...

『槙檜図屏風』のおじさんもいなくなったので、じっくりと堪能。
そして宗達の『風神雷神図屏風』へ...

閉館の時間が近づき引いてくる人の波...上半身しか拝めなかった屏
風がその全貌を魅せます。閉館の時間が過ぎても立ち去り難く...

『閉館時間です...』といいながらガラスケースを拭こうとする係員
を『観てるんだぞっ!』と恫喝した強面のおじさんも含め、皆が真
剣な眼差しを注ぎます。時間が止まったような心地がします...

そんな時があります。

それは光琳の『燕子花図屏風』を観た時だったり、若冲の『鳥獣草
花図屏風』を観た時
だったり...それは永遠に続くような気がするの
ですが、そんな気持ちになれるのはほんのひと時です。やがて現実
に戻らなくてはなりません。係りの人が閉めようとしている扉を、
すいませんすいませんといいながら、いつものように外界へと出て
きたわけでした...

大琳派展 (東京国立博物館) - 11/16まで...

そう、この展覧会は、はろるどさんがオフ会に誘ってくれなかった
ら見逃すところでした。感謝、感謝です...

おまけ
私が観た琳派な展覧会...
特別展 国宝 燕子花図 (根津美術館)
国宝 風神雷神図屏風 (出光美術館)
春季展 琳派 四季の"きょうえん" (畠山記念館)

そして琳派から続く近代日本画...
生誕110年 速水御舟展 (山種美術館)
小林古径展 前期 (東京国立近代美術館)
小林古径展 後期 (東京国立近代美術館)
揺らぐ近代 (東京国立近代美術館)
秋の彩り (山種美術館)

そういえば四年前の『琳派 RIMPA』展もよかったな...

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (Tak)
2008-11-15 08:00:41
こんにちは。

抱一の「波図屏風」がとにかく
この目で一度は目にしておきたかった作品。

二次会でお会いしましょう。
 
 
 
Unknown (lysander)
2008-11-15 22:40:14
Takさん
こんばんは

抱一がこんなによかったとは...

明日の二次会、よろしくお願いします。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2008-11-17 00:37:25
先ほどはどうもありがとうございました。
やはりオフ会にはlysanderさんがいらっしゃらないとはじまりませんね!(電車は大丈夫でしたか?)

抱一への新発見、ファンとしてはとても嬉しいです。
今度千葉で抱一展もあるそうなので、またその時も是非!
 
 
 
Unknown (lysander)
2008-11-17 00:48:30
はろるどさん
こんばんは

今日はどうもありがとうございました。
おかげさまで無事帰着いたしました。

酒井抱一って面白いですね。
今回は蓮の作品を見逃してしまったのですが、
いつか観てやろうと思いました。

また、遊びに行きましょう。
奥さんにもよろしく。

ではでは...(^^)
 
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