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特別展 国宝 燕子花図
美術
/
2005-10-17
国の宝を観た。何年ぶりかの根津美術館。日本庭園の遠景には、私
の昔の記憶にはなかった六本木ヒルズが顔を覗かせている...
『燕子花図』は四年半ぶりの公開で、会場には多くの人たちが集っ
ている。
前後期で展示を替える今回は前期の鑑賞、前期展示の目玉は『竹梅
図』だろう。高さ六十センチほどの金屏風が目の高さに展示されて
いる。両手広げたら届きそうな幅の屏風には、墨一色で竹と梅とが
描かれている。ガラスケースの前に立つ、視界一杯に広がる空間、
色を剥いで、形を殺いで、最後に残った竹梅と名付けられたイメー
ジに、一瞬、会場のざわめきが消えた。
『燕子花図』...
作品の前の空間は狭い。狭い中で多くの人が国宝に魅入る。通り過
ぎる人、斜めからじっと観ている人、至近から眺める人、これまで
も多くの人の視線を集めてきたであろう国の宝は、修復を終えたと
は言え、痛々しく見える。所詮、私たちは完成した当時の姿を観る
事はできない。今、観ることができる、作品を観る、それしかやり
ようがない。
ガラス越しの作品の前を往き交う人の流れ...
それが一瞬、途絶える。音がなくなる。燕子花の輝きが増す。
中央のガラスケースに背中預けてじっと観ていた。その瞬間、どき
どきした、胸が重くなった。だけど決して嫌ではない。寄せては返
す波、あるいは吹き抜ける風、そんな自然の営みが一瞬凪いだ、そ
んな感覚に身を包まれた...
そうした時は長く続かない。斜めから、『燕子花図』と書かれた札
を確認しに行く人に合わせて、音が聴こえてくる、またざわめく...
後期には東京国立博物館の『八橋蒔絵硯箱』が展示される。これは
もう一度、行ってやろうと思う。
・
特別展 国宝 燕子花図
前期 ~10/23、後期 10/25~11/6
コメント (
6
)
|
Trackback ( 0 )
«
こてんぱん
芸術の秋(美術...
»
コメント
Unknown
(
はろるど
)
2005-10-21 23:52:30
こんばんは。
>国の宝は、修復を終えたとは言え、痛々しく見える。所詮、私たちは完成した当時の姿を観る事はできない。
少し同じようなことを思いました。
こんなに輝いていて良いのかなあと…。
もちろんこうして修復しないことには展示も出来ないのでしょうが、
ちょっと複雑な気持ちでした。
後期は行こうかまだ迷っています。
そういえば根津美術館は初めてでした。
お庭付きで豪華ですよね。
Unknown
(
lysander
)
2005-10-22 00:09:52
これは、ちょっと、言葉にするのが難しかった...
> 後期は行こうかまだ迷っています。
紅葉はこれからではないですか!
もちろん行くべきです!
初めてでした
(
えみ丸
)
2005-11-05 12:43:53
根津美術館も燕子花図の本物観るのも初めてでした
屏風絵は写真ではダメなんだと思いました
当時の姿想像します
トラックバックしました
Re: 初めてでした
(
lysander
)
2005-11-06 00:06:44
えみ丸さん
コメントありがとうございます。
> 写真ではダメ
そうですよね。やっぱり実物にはかないません...
同じような体験をしました。
(
アイレ
)
2005-11-10 22:16:54
lysanderさま
拙ブログへのTB&コメントありがとうございます。
私がこの屏風を見たのは、終了間際の5日でしたので、「燕子花図」屏風の前には多くの鑑賞者が。私も色々な角度からゆっくり鑑賞していましたが、丁度屏風の真中に来た時でした。自分の前から人の流れが途絶えたのです。
その時の緊張感は言葉には言い尽くせないものがありました。広がる燕子花の群れに対峙した時、金地から浮かび上がる青と緑に圧倒されそうでした。
Re: 同じような体験をしました。
(
lysander
)
2005-11-11 00:40:43
アイレさん
コメントありがとうございます。
> 自分の前から人の流れが途絶えたのです。
あるんですよね!そういうことって...
もう一度行きたかったです...
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>国の宝は、修復を終えたとは言え、痛々しく見える。所詮、私たちは完成した当時の姿を観る事はできない。
少し同じようなことを思いました。
こんなに輝いていて良いのかなあと…。
もちろんこうして修復しないことには展示も出来ないのでしょうが、
ちょっと複雑な気持ちでした。
後期は行こうかまだ迷っています。
そういえば根津美術館は初めてでした。
お庭付きで豪華ですよね。
> 後期は行こうかまだ迷っています。
紅葉はこれからではないですか!
もちろん行くべきです!
屏風絵は写真ではダメなんだと思いました
当時の姿想像します
トラックバックしました
コメントありがとうございます。
> 写真ではダメ
そうですよね。やっぱり実物にはかないません...
拙ブログへのTB&コメントありがとうございます。
私がこの屏風を見たのは、終了間際の5日でしたので、「燕子花図」屏風の前には多くの鑑賞者が。私も色々な角度からゆっくり鑑賞していましたが、丁度屏風の真中に来た時でした。自分の前から人の流れが途絶えたのです。
その時の緊張感は言葉には言い尽くせないものがありました。広がる燕子花の群れに対峙した時、金地から浮かび上がる青と緑に圧倒されそうでした。
コメントありがとうございます。
> 自分の前から人の流れが途絶えたのです。
あるんですよね!そういうことって...
もう一度行きたかったです...