ユーキャン詩集

創作した詩を不定期投稿していきます!感想などございましたらぜひコメントください!時々、旅日記なども載せます!

天使の一発

2018-11-20 13:44:20 | 創作(詩)
ダイヤモンドの中心から投げられた球が弾かれた
木材から発する打撃音は高く鈍く観客の鼓膜を震わせた
ふり抜かれたバットが地面に落ちようとする瞬間
エベレストを思わせる程に高く
スローモーションで描かれる美しい放物線に
私たちは吸い寄せられていく

唾を飲み込む喉仏の音が響く
腕を握る右の手は震えを抑えられなかった
白球が柵を越えて地に着いた刹那
私たちは立ち上がった

《Good-by Baseball Ootanisan!!》

ダイヤモンドを翔ける青年
たった一人の一振りに真っ赤に顔が腫れ上がり
産毛までもが痛いほどに叫び狂った

四月三日 カリフォルニア州アナハイム
スタジアムに若き天使が舞い降りた

イタイヒト

2018-11-15 22:59:11 | 創作(詩)
視界で捉えてすれ違い
数歩歩けば頭が回ってきて
初めて考える(そういえば)
顔に張り付いた蜘蛛の巣を一本ずつつまんで引き剝がしながら
地面と空を行き来する(誰だっけ)
見るものがなくなったら遠くの山がターゲットになる
ザラザラした顎を指の腹で撫でながら
いつかの舌で舐められた感覚を思い出して
「こんな気持ちだったのかな」
はてなが栄養になることなんてない
積もれば見えなくなっていって
時間が経てばまた同じものが湧いて
誰かが悩んでるのを傍観して記憶して
さも自分はベテランのような雰囲気で
失敗だけを積み重ねてく
僕は自己紹介の一言目を決めていて
天才ですよろしくって言うんだけど
君は初めになんていうの?

1つの鐘音

2018-11-11 15:34:30 | 創作(詩)
ペンシルが宙を舞った
白い黒板から入り口の扉に右肩下がりで
降下。

ただ、それだけ。
ペンシルの先がただ赤色のセーターを着るあなたに向いただけなんです
真横に落ちる稲妻の如くあなたを釘で壁に張り付けた夕刻
鐘が響いたのです

音の波が大きく揺らいだ時間
ハンマーで殴りつけた時、風の舞は地に伏せて
釘がめり込む一瞬一瞬には、砂が空に棘を刺してく

誰にもあげない宝物
格好良く見える最高の角度

この時間はひとつだけ
焼けて残る瞼写真は無数に
色変えその日に巡り合う

今夜人間は蕎麦をすする
闇に響くは除夜の鐘

お前か外か
喚く叫ぶ阿鼻叫喚の一室で面白半分のわたし。
こめかみ横にカッターを貼り付けてみた