芝居が終わって気分転換に観たかった映画をまず1本観て来ました。
これが思った以上にノックアウトされるすごい作品でした。
『潜水服は蝶の夢を見る』、フランス映画です。2008年度アカデミー賞監督賞他3部門ノミネート、ゴールデングローブ賞の監督賞と外国語映画賞受賞、カンヌでも監督賞他評価された作品なので、今更・・・感はあるんですが、あんまり感動したので。
不思議なタイトルですが、作品を見るとその意味がよく解ります。
日本でも有名なファッション雑誌ELLE編集長のジャン=ドミニク・ボビーという実在の人物が脳梗塞で倒れ、その後不自由な身体になりつつも、言語療法士が考えた、彼の身体で唯一動く左目の瞬きを使ったコミュニケーション手段を使って書き上げた伝記を元にした作品です。
何年か前に「海を飛ぶ夢」という、やはり全身麻痺で寝たきりになった実在の男性の人生を描いた秀作がありましたが、あれよりもこの作品の主人公は悲惨な状況に置かれています。意識があって明晰な理解力と記憶が残っているのは同じですが、ジャン=ドー(主人公の愛称)は喋る事ができません。動かせるのは左目のまぶたと目玉のみ。もし自分がこんな状況下に陥ったら・・・全く想像できません。自殺する事さえ出来ないそんな状況を、ジャン=ドーは潜水服に閉じ込められたと表現しています。自分の思いを伝えられなくなって初めて、妻や子供達にあまり構ってやれなかった事や、友人や愛人へ伝えてない言葉や、想いが洪水のように溢れて来る様子がユーモアを交えながら綴られています。
監督のジュリアン・シュナーベルはアーティスト出身、そのおかげか、物凄く映像が綺麗なんです。綺麗といっても前半は主人公のぼやけた視力や、左目だけの視界のみでほとんど表現されていきます。あまり予備知識を入れないで観始めたのですが、この監督は天才だ!と思っちゃいました。映像の断片が繋がっていって段々にジャン=ドーの倒れる前後がわかっていく手腕は、アメリカの映画でも最近よくありましたが、何とも言えず穏やかで流れるようなフランスっぽい感じで新鮮でした。
監督の構成力もさることながら、一番感動したのは、主人公の父親役のマックス・フォン・シドーの演技です。私なんかはついついマックス・フォン・シドーというと一番に『エクソシスト』を思い浮かべちゃいますが、今回は年老いた父親の威厳と不器用な愛情表現を目一杯なにげなく、でも信じられないほど的確に表現していました。観ながら涙が止まらない中、こんな演技がしたいんだよっ!と心の中で叫んでおりました・・・・この間の私の芝居を観てくれた先輩に「役者の想像力がたりない。これは戯曲を読んだほうが想像力が広がるな、と見てる側に思わせるような演技ではだめだ」と言われたのが、この映画を観て、しみじみ反省しました。この題材で、こんな撮り方の映画を作る凄さ、ほんのちょっとした息使いで心の痛みを感じさせる演技・・・こうじゃなくちゃあだめなんですね!
主人公はかなりなプレイボーイ(まあELLEの編集長ですからもてるでしう・・・私も美容院で熱心にこの雑誌読んでます。自分では買えませんが)なのですが、まわりの女性が皆すごい美人なんです。特に病院関係者。言語療法士や理学療法士(こちらの女優さんはなんと監督の奥さんだそう)が綺麗なオネエサンたちで最初見分けがつかなくて困りました。主人公の奥さんも愛人も編集者もみんな美人、ハリウッド系ではない、年齢の中にあるしっとりした美人さんたちで、アップになったときの目じりのしわがとても素敵で、中年といえる年齢の女優さんをこんなに綺麗に撮って描けるのはフランス映画の持つ力だなと思いました。うらやまい・・・あんな風に撮られるならアップもコワくないかもしれません・・・(いや、素材がいいのか、やっぱり)
映画でしか表現できない作品だと思います。そして映像や芸術性にばかり走ることなく、ちゃ~んとエンターティメント性もしっかり持った素敵な作品だと思います。この映像の美しさはぜひ映画館で観る事をお薦めします。
大学生の頃、友人達とヌーヴェル・ヌーヴェルバーグの作品ばかり見まくっていた時期があるんですが、最近めっきりフランス映画を映画館で観る事が減っちゃいました。レオス・カラックスやリヴェットの作品は今でも好きですが、最近のオゾン監督とかは苦手で・・・いや、でも久しぶりにフランス映画の素晴らしい作品を観ました。観に行ってよかった。DVDも買っちゃうかもしれませんが、ちょっと重い題材なので早々見直すとは思えず・・・やっぱりまずは「パンズ・ラビリンス」を買おうっと。
実はタイトルを「蝶は潜水服の夢を見る」だと覚えていて、一生懸命携帯サイトで上映情報を調べようとして「ないじゃん!終わってんの、もしかして?」と一人悪戦苦闘していたワタシです・・・
これが思った以上にノックアウトされるすごい作品でした。
『潜水服は蝶の夢を見る』、フランス映画です。2008年度アカデミー賞監督賞他3部門ノミネート、ゴールデングローブ賞の監督賞と外国語映画賞受賞、カンヌでも監督賞他評価された作品なので、今更・・・感はあるんですが、あんまり感動したので。
不思議なタイトルですが、作品を見るとその意味がよく解ります。
日本でも有名なファッション雑誌ELLE編集長のジャン=ドミニク・ボビーという実在の人物が脳梗塞で倒れ、その後不自由な身体になりつつも、言語療法士が考えた、彼の身体で唯一動く左目の瞬きを使ったコミュニケーション手段を使って書き上げた伝記を元にした作品です。
何年か前に「海を飛ぶ夢」という、やはり全身麻痺で寝たきりになった実在の男性の人生を描いた秀作がありましたが、あれよりもこの作品の主人公は悲惨な状況に置かれています。意識があって明晰な理解力と記憶が残っているのは同じですが、ジャン=ドー(主人公の愛称)は喋る事ができません。動かせるのは左目のまぶたと目玉のみ。もし自分がこんな状況下に陥ったら・・・全く想像できません。自殺する事さえ出来ないそんな状況を、ジャン=ドーは潜水服に閉じ込められたと表現しています。自分の思いを伝えられなくなって初めて、妻や子供達にあまり構ってやれなかった事や、友人や愛人へ伝えてない言葉や、想いが洪水のように溢れて来る様子がユーモアを交えながら綴られています。
監督のジュリアン・シュナーベルはアーティスト出身、そのおかげか、物凄く映像が綺麗なんです。綺麗といっても前半は主人公のぼやけた視力や、左目だけの視界のみでほとんど表現されていきます。あまり予備知識を入れないで観始めたのですが、この監督は天才だ!と思っちゃいました。映像の断片が繋がっていって段々にジャン=ドーの倒れる前後がわかっていく手腕は、アメリカの映画でも最近よくありましたが、何とも言えず穏やかで流れるようなフランスっぽい感じで新鮮でした。
監督の構成力もさることながら、一番感動したのは、主人公の父親役のマックス・フォン・シドーの演技です。私なんかはついついマックス・フォン・シドーというと一番に『エクソシスト』を思い浮かべちゃいますが、今回は年老いた父親の威厳と不器用な愛情表現を目一杯なにげなく、でも信じられないほど的確に表現していました。観ながら涙が止まらない中、こんな演技がしたいんだよっ!と心の中で叫んでおりました・・・・この間の私の芝居を観てくれた先輩に「役者の想像力がたりない。これは戯曲を読んだほうが想像力が広がるな、と見てる側に思わせるような演技ではだめだ」と言われたのが、この映画を観て、しみじみ反省しました。この題材で、こんな撮り方の映画を作る凄さ、ほんのちょっとした息使いで心の痛みを感じさせる演技・・・こうじゃなくちゃあだめなんですね!
主人公はかなりなプレイボーイ(まあELLEの編集長ですからもてるでしう・・・私も美容院で熱心にこの雑誌読んでます。自分では買えませんが)なのですが、まわりの女性が皆すごい美人なんです。特に病院関係者。言語療法士や理学療法士(こちらの女優さんはなんと監督の奥さんだそう)が綺麗なオネエサンたちで最初見分けがつかなくて困りました。主人公の奥さんも愛人も編集者もみんな美人、ハリウッド系ではない、年齢の中にあるしっとりした美人さんたちで、アップになったときの目じりのしわがとても素敵で、中年といえる年齢の女優さんをこんなに綺麗に撮って描けるのはフランス映画の持つ力だなと思いました。うらやまい・・・あんな風に撮られるならアップもコワくないかもしれません・・・(いや、素材がいいのか、やっぱり)
映画でしか表現できない作品だと思います。そして映像や芸術性にばかり走ることなく、ちゃ~んとエンターティメント性もしっかり持った素敵な作品だと思います。この映像の美しさはぜひ映画館で観る事をお薦めします。
大学生の頃、友人達とヌーヴェル・ヌーヴェルバーグの作品ばかり見まくっていた時期があるんですが、最近めっきりフランス映画を映画館で観る事が減っちゃいました。レオス・カラックスやリヴェットの作品は今でも好きですが、最近のオゾン監督とかは苦手で・・・いや、でも久しぶりにフランス映画の素晴らしい作品を観ました。観に行ってよかった。DVDも買っちゃうかもしれませんが、ちょっと重い題材なので早々見直すとは思えず・・・やっぱりまずは「パンズ・ラビリンス」を買おうっと。
実はタイトルを「蝶は潜水服の夢を見る」だと覚えていて、一生懸命携帯サイトで上映情報を調べようとして「ないじゃん!終わってんの、もしかして?」と一人悪戦苦闘していたワタシです・・・