出すことのない手紙

出すことのない手紙を書く。宛先はまだわからない。

電話帳

2008-11-14 18:09:12 | 今日の能書き

  筑紫氏が答えた愛読書は「時刻表」。時刻表が書物といえるのか疑義がないわけではないが、少なくとも常識で凝り固まった頭からは金輪際出てこない答えだろう。ただしこの手の答えは、二番煎じは禁物。即不採用になるだろう。

  筑紫氏が昨年「タイトル・アワード」に選んだのは「不都合な真実」。原題「An inconvenient Truth」。「inconvenient」を「不都合な」と訳したところを評価した。確かに「不都合」という言葉は微妙な意味合いがあって、「誰にとって」を問いかけている。ひとり企業や政府を責めるだけでいいのか、自分自身が環境問題にどうかかわっているかも問いかけている。そう考えると、日々環境問題を考えずに毎日を過ごす大多数の人々にとっても、できれば知りたくなかった「不都合な」真実ではないだろうか。

  愛読書を答える、といった設問のバリエーションとして次のようなものもある。「無人島で暮らすのに本を一冊だけ持っていけるとしたら何を持っていくか?」

  たいていの人はボリュームがあり何回読み返しても読み飽きない本を探すとおもう。私もそうだが実際に選ぶのは至難の業に近い。私の場合、何度もくり返して読んだという意味では吉川英治の「三国志」になるのだが、それがベストかどうか自信はない。

  作家の井上ひさしはこの問いに電話帳と答えている。活字の量では納得だが、内容は?と私などは大いに疑問におもう。でも、電話帳の1頁にのっている名前だけでもひとつひとつそれぞれの人生を想像したら一生かけても時間が足らないだろう。彼ならそんなことは朝飯前かもしれない。


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