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日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

教育テレビで「万葉集への招待」を観て

2009-02-03 13:39:16 | 一弦琴
この前の日曜日(2月1日)の午後、教育テレビで「万葉集への招待」を観た。すでにハイビジョンなどで放映したらしいが見逃していたようである。万葉集をいくつかの角度から取り上げていて風景や植物などの映像も美しく、なかなか楽しかった。

聴視者を対象にアンケート調査をしたのだろうか、選ばれたベスト10のほとんどは私も好きな歌なので共感を覚えたが、そのうちの二首は記憶になかった。

  恋ひ恋ひて 逢える時だに 愛(うつく)しき
    言尽くしてよ 長くと思はば (巻四・六六一)    
               大伴坂上郎女

万葉集の歌の多くは教科書と斎藤茂吉の「万葉秀歌 上下」(岩波新書)を通して入ってきたので、教科書にこのような歌は出てこないだろうから覚えがなくても当然だろうと思った。でも「万葉秀歌」にもこの歌が出てこないのはどうしてだろう。昭和13年に出版されているので、当時の世情を慮ったのかなとふと思った。

もう一首は万葉集に出てくる最後の歌である。

  新(あらた)しき 年の初めの 初春の
    今日降る雪の いやしけ吉事(よごと) (巻二十・四五一六)
               大伴宿禰家持

天平宝字三(七五九)年、因幡国の国司家持が国庁において郡司などのお役人を饗応した宴での歌だそうである。歌としてはなんともないが、筆の立つ人はすらすらと賀状にしたためるのにもってこいのようである。

下位から順番に紹介されて第一位はもう間違いなくこれだと思ったらやはりその通りであった。

  あかねさす 紫野行き 標野行き
    野守は見ずや 君が袖振る  (巻一・二十)
               額田王

額田王はすでに大海人皇子(後の天武天皇)との間に十市皇女を儲けていたのに、大海人皇子の兄である天智天皇に召されて宮中に侍っている。大海人皇子から見れば人妻ということなのだからそういことなんだろう、何がどうなっているのやら不思議な状況である。なんせ源氏物語よりもまだまだ古い時代なのだから、現代人の常識ではつかみがたいのも当然だろう。

そのあたりをリービ 英雄さんがどのように英訳しているだろうと思って「英語でよむ万葉集」(岩波新書)を探したが手元に見つからない。そこで「The Ten Thusand Leaves」を開いてみた。



Poem by Princess Nukada when the Emperor went
hunting on the fields of Kamau


Goint this way on the crimson-
gleaming fields of murasaki grass,
going that way on the fields
of imperial domain-
won't the guardians of the fields
see you wave your sleeves at me?

翻訳だからこれでよいとは思うが、ただこれだけを読んだ外国人が日本文化の味わいを感じ取るのはまず不可能であろうと思った。しかし私とて偉そうなことは言えない。この歌について何方かの斬新な切り口が私には目から鱗だったのである。それは歌が詠まれた時のそれぞれの年齢で、額田王が三十何歳で大海人皇子が四十何歳、天智天皇に至っては五十何歳なんだそうである。今風に眺めるとまさに熟年の恋歌なので、そう思ってみると、歌にいぶし銀の深みが備わってきたのである。

そういえば番組で紹介された次の歌なども素晴らしい。今の長寿時代にぴったりである。

  事もなく 生き来しものを 老いなみに
    かかる恋にも 我はあへるかも  (巻四・五五九)
               太宰大監大伴宿禰百代

ぜひ一弦琴の歌として唄ってみようと思う。


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