高校における野球特待生を積極的に認めるべきだと以下のブログで私が主張したのは2007年4月20日から5月4日にかけてで、もう3年前になる。
特待生制度を認めない日本学生野球憲章の怪
野球特待生のどこが悪い?
日本学生野球憲章第十三条を廃止すべし
まさかこの素人談義が日本高等学校野球連盟(高野連)を動かしたとは考えられないが、同じ2007年11月30日に高野連は「高校野球特待制度に関する取り扱いについて」なる文書を公表して、暫定的であれ野球特待生を認めることなった。特待生制度はこのように定義されている。
そして特待生制度の条件として私が注目するのは次の箇所である。
項目はさらに4)まで続くが、この条件を満たす特待生制度は、日本学生野球検証第13条の規則に抵触しないとすることで、実質的には私の提言「日本学生野球憲章第十三条を廃止すべし」に応えた形になっている。
この野球特待生制度を採用する高校の現況は次のとおりである。
採用予定の457校はほとんどは私立高校であろうから、高野連加盟の私立約800校の半分以上が特待生制度を採用していることになる。そして特待生が許容限界の各学年5名とすると1校で15名、457校では6800名ほどになって、以前の調査結果、すなわち私立校のほぼ半分が日本学生野球憲章を無視して、総数が8000人近くの特待生を採用していたそのレベル近くまで特待生が確保出来て、私立校にすれば目出度しめでたしとなるはずであった。ところが実はとんでも無い状況の激変が生じた。この4月にスタートした公立校の無償化である。授業料の高い私立校も自治体と種々の条件によるが、ほぼ無償化の場合もあり得ることになる。
と言うように、野球の能力が特に優秀であればたとえ家が貧しくても野球特待生制度により無料で高校に進学する道が開かれたのであるが、高校無償化でそのメリットが影薄くなってしまったのである。そうなると寮費その他の生活費を援助することが解禁とならない限り、野球名門校といえども優秀な素質の生徒を集め難くなることであろう。私立校にとってはまことに頭の痛い状況である。
しかし従来は授業料・入学金を援助することで優秀な野球部員を集められた私立校は、公立校に比べて優位な立場にあり、だからこそ公立校が甲子園に出場したときはニュース種にもなったのである。その優位性が薄れると野球をやりたい生徒の学校間分布に大きな変動が起きる可能性が考えられる。「野球名門校」の看板が傾いてくると私立校の経営にも当然影響が出てくるので、対策に苦慮することになるだろう。智慧を絞っていただきたいものである。しかし高校野球を単純に楽しむ立場でいえば、甲子園出場校がその度ごとに変わってもそれなりに面白い。さしあたり公立校の復権があるのかどうか、そう言うことにも関心が向く。なかなか目が離されそうにない。
特待生制度を認めない日本学生野球憲章の怪
野球特待生のどこが悪い?
日本学生野球憲章第十三条を廃止すべし
まさかこの素人談義が日本高等学校野球連盟(高野連)を動かしたとは考えられないが、同じ2007年11月30日に高野連は「高校野球特待制度に関する取り扱いについて」なる文書を公表して、暫定的であれ野球特待生を認めることなった。特待生制度はこのように定義されている。
1. 加盟校が、野球の能力が特に優秀である生徒に対して、入学金、授業料その他これに類する負担金を免除する制度をいう。
そして特待生制度の条件として私が注目するのは次の箇所である。
3. 加盟校が予め次の事項を自主的に定めるとともに、募集要項などによって、一般に公開していること。
1)野球の能力が特に優秀である生徒に対し、入学金、授業料その他これに類する負担金を免除する制度を設けていること。ただし、遠征費、用具費その他部活動に必要な費用、および量比その他の生活費の援助を対象としていない。
1)野球の能力が特に優秀である生徒に対し、入学金、授業料その他これに類する負担金を免除する制度を設けていること。ただし、遠征費、用具費その他部活動に必要な費用、および量比その他の生活費の援助を対象としていない。
項目はさらに4)まで続くが、この条件を満たす特待生制度は、日本学生野球検証第13条の規則に抵触しないとすることで、実質的には私の提言「日本学生野球憲章第十三条を廃止すべし」に応えた形になっている。
この野球特待生制度を採用する高校の現況は次のとおりである。
日本高校野球連盟は8日、2011年度の野球特待生の採用予定校数を457校(軟式4校含む)と発表した。今年度と比べて12校増えた。新たに特待生の採用を始める高校は、報徳学園(兵庫)、広陵(広島)など26校。採用を中止するのは14校だった。日本高野連加盟校(硬式)は約4100校(うち私立は約800校)。 来年度は日本高野連が条件付きで認めた特待生制度の試行期間(3年間)の最終年度で、特待生問題研究委員会の西岡宏堂委員長は「特待生は学校の活性化に好影響、との調査結果もあり、実施校からは継続を望む声が圧倒的。それをふまえて、よりよいルールを作りたい」と話した。
(asahi.com 2010年12月08日)
採用予定の457校はほとんどは私立高校であろうから、高野連加盟の私立約800校の半分以上が特待生制度を採用していることになる。そして特待生が許容限界の各学年5名とすると1校で15名、457校では6800名ほどになって、以前の調査結果、すなわち私立校のほぼ半分が日本学生野球憲章を無視して、総数が8000人近くの特待生を採用していたそのレベル近くまで特待生が確保出来て、私立校にすれば目出度しめでたしとなるはずであった。ところが実はとんでも無い状況の激変が生じた。この4月にスタートした公立校の無償化である。授業料の高い私立校も自治体と種々の条件によるが、ほぼ無償化の場合もあり得ることになる。
野球特待生の採用予定校は、調査を開始した2009年度の428校から微増が続いた。今年度から始まった公立高校の無償化などで、私学を取り巻く環境は激変した。新たに特待生採用に踏み切る広陵(広島)の上高原悟校長は「競争が激しくなる。特色を出さないと生き残れない」との危機感をにじませる。
(asahi.com 2010年12月09日)
と言うように、野球の能力が特に優秀であればたとえ家が貧しくても野球特待生制度により無料で高校に進学する道が開かれたのであるが、高校無償化でそのメリットが影薄くなってしまったのである。そうなると寮費その他の生活費を援助することが解禁とならない限り、野球名門校といえども優秀な素質の生徒を集め難くなることであろう。私立校にとってはまことに頭の痛い状況である。
しかし従来は授業料・入学金を援助することで優秀な野球部員を集められた私立校は、公立校に比べて優位な立場にあり、だからこそ公立校が甲子園に出場したときはニュース種にもなったのである。その優位性が薄れると野球をやりたい生徒の学校間分布に大きな変動が起きる可能性が考えられる。「野球名門校」の看板が傾いてくると私立校の経営にも当然影響が出てくるので、対策に苦慮することになるだろう。智慧を絞っていただきたいものである。しかし高校野球を単純に楽しむ立場でいえば、甲子園出場校がその度ごとに変わってもそれなりに面白い。さしあたり公立校の復権があるのかどうか、そう言うことにも関心が向く。なかなか目が離されそうにない。