アングラファンならお馴染みの、寺山修司が手掛けた作品
さらば箱舟 を観た。
娯楽映画とは程遠い、難解至極のこの映画。
十数年前に初めて観た(観たと思うんだけど…)時、免疫の無かった寺山ワールドに 完全KO負けだった。
意味不明って意味でね。
この度、原田芳雄氏が出てたので 年を重ねた自分に挑戦も兼ねて、観る事にしたわ。
あらすじは、長くなるので自分で調べて。(笑)
生きていながら死へと落ちていく者、死んでいながらも生き支配する者。
寺山氏の遺作とあって、死生観が色濃く映る この作品。
主人公の山崎努氏を、自分と重ね合わせて撮っていたのかもしれないね。
見どころの1つとして、若かりし頃の 高橋ひとみ氏や 三上博史氏 も要の役として出演してる。
この世とあの世、過去と未来、その中間となる境界線の無いあやふやな世界を、青 緑 モノクロ セピアに調色された画面で表現している。
幻想的な色彩感覚から作られた映像は、なかなか素晴らしいよ。
そして何より素晴らしかったと言うか、凄かったってのが、
小川真由美
序盤、どー見ても アホの子にしか見えなかった 小川真由美氏。
いや、それもアッパレな事なんだけどね、
終盤、小川真由美の独壇場みたいなシーンがあって、それが圧巻の演技なのさ。
死への恐怖、生きる事の執着心。
これまでの物語は、このセリフを吐かせる為のものだったと言える、寺山修司渾身のカット。
セリフを少し…。
だれもいなくなってしまった......何でも望みを叶えてくれるお焼場の煙突のけむりもとまってしまった.....お日様が照っているのに、地上は暗い....にんげんは、中途半端な死体として生まれてきて、一生かかって完全な死体になるんだ。あ、黄色い花だわ!
‥・・・
隣の町なんて、どこにもない.....神様トンボはうそつきだ。両目とじれば、みな消える....隣の町なんかどこにもない....百年たてば、その意味わかる!百年たったら帰っておいで! 百年たったら.....
「百年たったらその意味わかる!」 と絶叫する 小川真由美。
顔つきが、全く別人、さすが女優。
…と、映画観てなかったら、なんの事?って思うだろうけど、
残念ながら、観てても 上手く説明出来る程には至らなかったわ。
なんとなくは伝わるんだけどね、映画観てたら。
百年経ったらスッキリできるのかしらね。
まあ、以前観た時よりは理解出来たから 少しは脳みそと感受性は進歩したのかしらね。
難解ついでに今さ、
「いつかきっと面白くなるんだろう、見続けた暁には きっと何かがあるはずよ」
と、思ってガマン大会の如く見続けているドラマがあるんだわ。
「さらば箱舟」観た後に、続けて観たけど
なんのこた~ない
ただの、コメディーって事っすわ。
なんか、すげー深いのか?と期待しながら観ていた自分が ちゃんちゃら可笑しく、
難しく考える必要全く無し。
勝手に難解ドラマにしてしまっていたぞ。
河童の小栗旬に してやられるトコだったぜ。