★★★ 修理のご依頼 ★★★
ようこそ"『京とんび』"へ
「もったいない」をモットーにラジカセやミニコンポ等の修理を中心に更新 since 2009
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私のオークションでを通じ、懇意になった方からの再注文だ。同型機を2台所有されており、「ダメ元でも良いので、見て欲しい」との依頼だ。
依頼品の到着後、早速診断作業に着手。
前回のSONY CFD-700よりもきれいだ。スペックが低い分、音響性能は良いが劣化し易い部材の使用が少なく、何とか修理できそうな感触だ。
[SONY CFD-DW83]
[前面パネルを外したところ]
今回の修理は、「SONY CFD-700 CDラジカセ(1989年製)」だ。いわゆる「バブルラジカセ」で、多機能豪華仕様な時代の中堅機種といったところだ。
この作業は、私のオークションで
落札頂いた御方と懇意になり、修理を依頼されたものだ。同型機を2台所有されており、「二個一」ででも良いので、何とか1台でも稼動状態にできないかとの
依頼だ。万一修理が完了しなくても、最低限の経費は負担するとのありがたいお申し出。もちろん、ありがたく受託させていただいた。
さて、患者機器の到着後、早速診断作業に着手。
まず分解すると、とにかく両機体とも汚い。粉塵が進入しやすい構造で、内部が相当汚れている。天板面にスイッチ類や放熱口の多い機種に顕著な症状だ。
また、内部構成もかなり煩雑/複雑で、枯れた設計でないことが分かる。中堅機種とはいえ、機能優先が当時の命題だったのだろう。力技で実装したように思われる箇所が多い。
当時、機能的、音響的に評価は高かったのかもしれないが、構造的/長期使用的に見ると必ずしも高い評価はできない。
[バブル期の機種によく見られる、航空母艦然とした外観]
[ネジが多い。宝探しのようだ]
◎1号機
◎2号機
両機体とも、かなりシビアな状態。人間で例えると、末期的状態だ。しかし、気を取り直し、まずは単機ごとに復旧を試みる。
■修理作業◎1号機
◎2号機
以上の結果より、単機での復旧を断念。依頼者の許可の下、「二個一」での復旧作業に着手した。
■移植修理作業
程度の良い1号機をベースにし、2号機から正常稼動のCDユニットとテープAユニットを移植する。
移植完了。移植ユニットの正常動作墓を確認。しかし、テープBが指定した操作ボタンと異なる動作は以前解消しない。
思い切って、操作スイッチの全交換を実施。結果は、一部NG。順方向の再生指示を逆方向で機能することが稀にある。方策が手詰まりとなった。
目先を変え、スピーカーの良品ユニット選別を行う。ここで、致命的症状を確認。本シリーズ売りのDodecaHONEたらしめるサブウーファーユニットが、A/B号機のいずれもエッジ劣化していることが判明。
目視では亀裂等なかったのだが、触診したところ、硬化していることを確認。スピーカーコーン紙の前後往復運動を著しく阻害していた。
プラスチック保護剤を塗布し、軟化を試みたが、いずれも失敗。卵の殻のようにバラバラと割れ落ちてしまった。
この時点で、テープB、サブウーファーユニットを復旧できないことが確定。また、電子基板も半田劣化が進行しており、分解・組立の度に半田不良が発生することから、「二個一」復旧も断念する判断をした。
依頼者にも説明し、了解を得た。20年を過ぎた音響機器修理の困難さを実感する結果となった。
なお、修理・復旧できなかったにもかかわらず、同じ依頼者から次の修理依頼を頂いてしまった。1988年製の「SONY CFD-DW83」だ。更に古い機種だ!
当たって砕けろ。だめで元々の精神で、がんばりたいと思う。←がんばってどうにかなるものでもないが...
今回の修理は、プチ修理だ。機種は「KENWOOD MDX-G7 MDラジカセ(2000/11/1発売)」だ。
壊れたのは我が家で活躍中のもの。昨年の春に中古で入手し、修理して使っていたのだが、FMラジオのアンテナを接続する同軸端子がもげてしまった。
室内に屋外にと、ポータブル機の機動性をフルに活用していたので仕方がないところだ。
まだまだ活躍してもらわねばと、早速修理に着手。
普通のラジカセの3倍はネジがある。
幸い、半田付けをやり直すだけで復旧できそうだ。
めでたく復旧。ついでに接点回復剤を塗布し、アンテナ線の脱着もスムースにできるようになった。
今回の修理は、「SONY CMT-PX333 ミニコンポ(2001/5/1発売)」だ。
[修理の完了した SONY CMT-PX333 ミニコンポ(2001/5/1発売)]
■故障状況
原因の見当をつけ、分解修理に着手した。内部はシンプルで、メンテナンスし易い。
CDとMDはクリーニングで復旧可能と判断し、作業を実施した。
[クリーニング中のCDユニット]
難題は、スピーカー出力不能の原因。ヘッドフォンでは、正常に左右とも聞くことができた。故にアンプ由来の原因はないと判断した。
ヘッドフォンのジャックを抜くが、スピーカーとヘッドフォンを切り替えるリレー回路の動作音がしない。
よって、リレーが怪しいと判断し、パーツと周辺回路を確認。 すると、リレーを基板に接続する半田にクラックが2箇所発見された。
[スピーカ/ヘッドフォン切り替えリレーの半田クラック(中央2箇所)]
端子周りは、コネクタ類の脱着により、力が加わるため、半田付けにクラックが生じ易い。1箇所でも発見すると、その周辺と類似箇所の半田付けを全て修正する。今回も約80ヶ所を修正。
仮組上げし、動作を確認する。OK! 修理完了。
再度分解し、オーバーフォール。各部を清掃/調整を行い、最終組上げを行った。
最終確認作業を行い、正常動作を確認できたので、全復旧と判断して全ての作業を完了した。
今回の修理は、「小型プッシュスイッチ(通称、タクトスイッチ←アルプス電気の商標らしい)」なるスイッチを使用した電子機器(ラジカセなどの音響機器、マウスなど)に共通故障の修理だ。
【電子工作】工作用部品:タクトスイッチ小HK-TKS01H タクトスイッチ
小 ELPA(エルパ・朝日電機) スイッチ
このタクトスイッチは物理的にも電気的にも特性が良く、また安価なため、音響機器やパソコンのキーボードやマウス、電話機のボタンなど、実に多彩な情報機器で多用されている。
[タクトスイッチ(上段)と経年劣化したその構成パーツ(下段)]
このタクトスイッチと抵抗器がセットで用いられ、所定の抵抗値で電流が流れたことを制御ICが判断し、どのスイッチが操作されたかを判断する仕組みとなっている。
しかし、タクトスイッチは経年劣化には勝てず、経過時間と使用頻度により、確実に劣化する。劣化すると抵抗値が変化(増加)するため、操作されたスイッチは別のスイッチが押下されたとICが勘違いし、機器が誤動作してしまうと言うわけだ。
上の写真は、10数年前のラジカセに使われていたタクトスイッチだ。下段左端の2つのパーツが、押下により接触することで電気が流れる仕組みだが、左から 2つ目のパーツを見ると、黄銅色の地金に茶色の縞模様が付いている。恐らく、酸化皮膜やカーボンと思われ、これが抵抗値を増加させる原因となる。
この原因による故障を修理するには、タクトスイッチを交換するのがもっとも確実だ。
因みに、バブル期のラジカセなどは、1台にこのタクトスイッチが50個くらい使用されているものもあり、交換作業は忍耐と時間を要することとなる。
パソコンのマウスなら2個のタクトスイッチを交換するだけで修理が完了するので、「どうも最近クリックが怪しい」と感じている諸兄は、交換修理にチャレンジしてみてはどうだろうか。もちろん、半田ごてを握る必要はあるが。