「うつろ庵」 のガレージに、「あけびの花」 が咲いた。
ガレージの屋根の軒先に、木通(あけび)の蔓を絡ませてあるが、春までは落葉して蔓だけになるので、一見して異様に見えたのであろうか。半月ほど前に、若い外人女性が虚庵居士に問いかけてきた。
「お洒落なガレージのお飾りですが、この蔓は何ですか?」 と。
「お花は?」 「果実は?」 と矢継ぎ早のご質問に、たどたどしい英語で応えたが、
「花の咲く頃が楽しみだわ、その頃また来ます!」 と、手を振って去って行った。
「うつろ庵」 のご近所には、かなりの数の外人がお住まいだが、こんな珍しい花を見たら、どんな反応を示すだろうか?
雌花と雄花の番いに見惚れけり
あけびの蔓のそこ此処に咲く
花びらを一杯に拡げ蕊みせて
これが 「あけびの果実になるのよ」 と
蕊の先 濡れてひかるは糊ならむ
雄花の花粉をしかと受けむと
すぐ脇に控えし雄花の数々は
風待つらむか花粉を運べと
緑葉の萌えたつ前に花咲かせ
受粉を促す木通の知恵かな