昨年の夏は、各地で豪雨になりました。天気予報で「前線」という言葉をよく聞くけど、どういう意味ですか?
前線というのは、南から来る暖かい空気と北から来る冷たい空気がぶつかり、せめぎ合っている場所のことです。気象庁によると、ぶつかり方によって「温暖」「寒冷」「停滞」などに分けられます。
何が違うのですか?
温暖前線では、暖かい空気の方が強く、冷たい空気の上に、ドカンと乗り上げた形になります。西から東に移動する前線の周囲では雨が降り、通過後は暖かい空気が広がって、気温が上がりやすい。寒冷前線は、逆に冷たい空気が強く、暖かい空気の下に急速に潜り込む。寒冷前線の通過時は、雷雨や竜巻など突然、荒れ模様の天気になります。
梅雨前線や秋雨前線は、また別の種類ですか?
この二つは、停滞前線の代表例です。暖かい空気と冷たい空気の勢力がほぼ互角で、がっぷり四つの状態になると、前線は文字通り停滞して、ほとんど動かなくなります。だから、梅雨や秋雨は長引きやすいのです。
前線は最後にはどうなるのですか?
暖かい空気と冷たい空気が徐々に混じり合って、温度差が小さくなると、前線は消滅してしまいます。梅雨前線も、暖かい「太平洋高気圧」が強くなるにつれて北に移動しながら、最後は姿を消します。一方、秋雨前線は、梅雨前線ほど、動きがはっきりしないまま、いつの間にか消滅してしまうことが珍しくありません。
「前線の活動が活発になる」という表現も、耳にしたことがありますが?
台風や低気圧が近づくと、前線が刺激され、雨が強まったり、降雨範囲が広がったりしやすいのです。天気予報などでは、こうした状態を「活発になる」と表現することが多いのです。
参考文献:読売新聞