玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

「閣僚の定額給付金受け取り問題」の愚

2009年01月09日 | 政治・外交
ああ、くだらない!!!!!!!

定額給付金「受け取る」は11閣僚 足並みの乱れ露呈 - NIKKEI NET(日経ネット)
時事ドットコム:受領は11人、甘利行革相は辞退=閣僚の対応分かれる-定額給付金
給付金、閣僚11人が受給明言 甘利行革相は辞退 - 47NEWS(よんななニュース)
【定額給付金】閣僚11人が受給明言、甘利行革相は辞退 - MSN産経ニュース
asahi.com(朝日新聞社):飛騨牛とか電球型蛍光灯とか…10閣僚「給付金もらう」 - 政治
定額給付金、11閣僚「受け取る」…甘利氏は辞退明言 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

定額給付金:対応、閣内不一致 受け取り11人、留保5人、辞退1人 - 毎日jp(毎日新聞)
 9日の閣議後の記者会見で、定額給付金の受け取りに関する発言が相次いだ。閣僚17人のうち「受け取る」と明言したのは11人。5人は態度を留保し、甘利明行政改革担当相が辞退する考えを表明するなど、対応は分かれた。

 河村建夫官房長官は「寄付する代わりに、地元で障害者施設が作った物を買いたい」と表明。斉藤鉄夫環境相も「地元で省エネ製品や電球型の蛍光灯を買ったりして消費したい」と述べるなど、給付金を受け取って地元で消費したいとの意見が多く出された。

 一方で甘利行政改革担当相は「私は申請しない方がいいのではないかと思う」と受け取らない考えを示し、「ポケットマネーから家族に『定額給付』して、地元の商店街で使えと要請したい」と語った。

 中川昭一財務・金融担当相は、給付金を受け取るかどうかは「個人としては答えられない」。与謝野馨経済財政担当相も「予断を持ってどちらにするか言う段階ではない」と語り、態度を留保した。

 同日午前の閣僚懇談会で、河村氏は「性格上、政府が縛るというものではないが、定額給付金の趣旨にのっとり政治家として適切な判断をお願いしたい」と呼びかけた。給付金をめぐっては6日の政府・与党連絡会議で、自民党の細田博之幹事長が消費拡大のため「国会議員も、もらって使うべきだ」と主張して政府にこの趣旨の統一見解を出すよう求めた。だが麻生太郎首相が難色を示し、閣僚の自由意思を尊重する方針にとどめた。


世間やマスコミでは定額給付金の問題というと「麻生総理と閣僚が受け取るかどうか」が最大の関心事のようだ。もうまったく、本当に、うんざりして情けなくなるほどどうでもいいことにこだわる人が多すぎて嫌になる。まったくバカじゃなかろうか。
「閣僚の定額給付金受け取り問題」なんて「オバマ次期大統領がホワイトハウスでどんな犬を飼うか」よりもどうでもいいことだ。そんなことがゴシップではなく「政治問題」として論じられることにほとんど絶望する。

麻生総理が以前から言っているように、定額給付金の目的は「低額所得者に対する給付」と「景気の刺激」の二点である。
景気刺激の目的からすれば給付金とは「お金を使ってもらうための補助」であって、個人が受け取るかどうか、どんな目的で消費するかは「個人で決められるべきが正しいんであって、政府が何に使えとか、どうしろとかいうのを言うのはいかがなものか」というのはまったく正しい。
給付金は政府が国民に供与する「便宜」であって、どうしても受け取ってくれという「お願い」や「義務」ではない。政治家が受け取るのも受け取らないのもそれこそ勝手である。政府がお願いしたいのは消費拡大のほうなのだ。仮に私が政府の立場でいちばん虫のいい希望をするしたら、国民が「お気持ちだけいただきます、麻生さんの意気に感じて消費拡大は自分の財布でやりましょう」と言ってくれることだ。ところが実際は「給付金なんか要らないよ、景気回復は政府の責任だろ」とか「お金はありがたくいただいて貯金します、景気?誰かが何とかしてくれるでしょ」とか「金持ちだけどくれるものはもらっていいよね、『さもしい』なんて呼ばれたくない」といったわがまま勝手な意見ばかりクローズアップされる。
それが国民の本音かどうかはわからない。麻生総理を引きずりおろしたいマスコミが特に選んで増幅している気配もある。とはいえ、定額給付金がまったくの不評だとしても、「麻生総理が・閣僚が受け取るか受け取らないか」ばかりに注目が集まるのは私には理解できない。


日本人はやたらと政治家(特に政府与党)のことを批判しバカにするけれど、その反面妙に「徳の高さ」「人格の完璧さ」を求めるきらいがある。2004年におきた政治家の年金未納騒ぎなんかは典型的だ。
あのときも国会・マスコミ・世論のバカ騒ぎに辟易してニュースを見るのが苦痛だった。ずっと昔、年金未納が特に問題視されなかった時代のことをほじくりかえして「政治家失格」と言わんばかりに責めたてる。その年に始まった「報道ステーション」などはスタジオに「未納政治家」の大きな顔写真をズラリと並べて古舘伊知郎が得意げな顔をしていた。
国民年金には社会全体の支えあい助け合いの意味があるから「未納はよくない、無責任だ」と言いたくなるのもわかる。だが実際は未納を追及された政治家の多くは団塊世代かそれより上であって、「年金を払えば得をする」人たちなのである。政治家が「当たり馬券を買わなかった」のを外れ馬券をつかまされそうな国民が批判する、という奇妙な構図ができあがり、誰もそれを疑問視しない。そして、「未納騒ぎ」を追求する分だけ本来の年金制度見直し論議は後回しにされおろそかになった。
そのありさまを見て私は「未納騒ぎは金銭や政治の問題というより道徳の問題、正確には『国民が政治家に過剰な高潔さを求める』問題である」と思わずにいられなかった。

話を定額給付金に戻す。
私には「麻生総理や閣僚が受け取るか受け取らないか」にこだわる人たちの気持ちが理解できないのだが、彼らは閣僚に受け取ってほしいのだろうか、それとも断ってほしいのだろうか。どうも「どちらを選んでも文句を言う」気がしてならない。
言っちゃ悪いが、まるで駄々っ子だ。そんな「民意」のご機嫌取りをさせられる麻生総理には同情せずにいられない。


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2 コメント

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Unknown (よろずもめごと論)
2009-01-09 19:15:56
私もバカなことにこだわっているマスコミはおかしいと思っていました。

でもそもそも定額給付金という政策そのものが、どちらを目的とするにしてもおかしいのだから、麻生総理に同情する気にはなれませんね。
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Unknown (しゃんしゃん)
2009-01-10 10:42:14
初めてコメさせていただきます。

定額給付金という政策そのものは、オーストラリア、ドイツ、イタリア、台湾、アメリカと、他国でも採られている政策であり、

>「低額所得者に対する給付」と「景気の刺激」

という目的を達成するきっかけには成りうると考えます。
FRBのバーナンキ議長が「デフレ脱却のためには、ヘリコプターで金を撒け」と言ったように、内需刺激策というのは世の中に金を循環させるための策ですからね。
もちろん、これだけではダメで、二次補正予算案に挙げられている景気刺激策を順次行っていくことが必要でしょうけど。

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