玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

「(銃刀法)規制強化をよく考えなければならない」

2008年06月10日 | 日々思うことなど
町村官房長官が秋葉原の事件に関連して銃刀法について「規制強化をよく考えなければならない」と語ったそうだ。
2ちゃんねるやはてなブックマークでは町村長官が「銃刀法をさらに強化する」「特にサバイバルナイフを規制する」意向を明らかにしたものとみて批判する声が高い。

asahi.com(朝日新聞社):銃刀規制強化「よく考える」 秋葉原事件で町村官房長官
 町村官房長官は9日の記者会見で、東京・秋葉原で起きた連続殺傷事件について「本当に忌まわしい凶行だ」と述べたうえで、刃渡り13センチのサバイバルナイフが凶器となったことに触れ、「6センチを超えるものは正当な理由なく持ってはいけないという銃刀法の規制はあるが、現実には出回っている。規制強化(のあり方)をよく考えなければならない」と語った。
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痛いニュース(ノ∀`):町村官房長官 「サバイバルナイフ(ダガーナイフ)の規制強化を検討する」
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サバイバルナイフの規制強化検討 「本当に忌まわしい凶行」と官房長官 - MSN産経ニュース
 町村信孝官房長官は9日午前の記者会見で、東京・秋葉原の無差別殺傷事件に使われたサバイバルナイフの規制について「よく考えなければいけない」と述べ、規制強化の在り方を検討する必要性があるとの認識を示した。

 町村長官は事件について「本当に忌まわしい凶行であり、犠牲になられた方々のご冥福(めいふく)を心からお祈り申し上げるとともに、けがをされた方々の速やかかなる本復をお祈りしたい」と語った。若者による無差別殺人事件が相次いでいることに関しては「社会全般のモラルが低下しているとか、人と人との関係が希薄になっているとか、よく言われる。一般論的には言えるかもしれないが、だからといって、こういう事件が起きる説明にはならない」と述べた。
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時事ドットコム:再発防止策を指示=秋葉原通り魔事件で福田首相
 一方、町村信孝官房長官は同日午前の記者会見で「容疑者が正当な理由なくサバイバルナイフを持っていた。銃刀法の規制強化についてどうするのか、よく考えないといけない」と述べ、刀剣類や刃物の規制強化を検討する考えを示した。相次ぐ無差別殺傷事件の発生については「社会全体のモラル低下や人と人との関係の希薄化が背景にある」と指摘した。


47NEWS:政府、ナイフ規制検討
 町村信孝官房長官は9日午前の記者会見で、東京・秋葉原の無差別殺傷事件の犯行に殺傷力が高いナイフが使われたことを受け、銃刀法の規制強化の在り方を検討する必要があるとの認識を示した。福田康夫首相は官邸で泉信也国家公安委員長と会い「社会的背景を含めて、しっかり調べ、対応してほしい」と指示した。

 会見で町村氏は、容疑者が刃渡り13センチのナイフで犯行に及んだことを踏まえ「銃刀法では刃渡り6センチを超えるものは正当な理由なしに携帯してはいけない。(容疑者は)正当な理由なく持っていた。規制強化(の在り方)について考えなければいけない」と強調した。事件に関しては「忌まわしい凶行だ。犠牲者の冥福を心から祈りたい」と述べた。


NIKKEI NET(日経ネット):銃刀法規制強化も検討 秋葉原無差別殺傷で官房長官
 町村信孝官房長官は9日午前の記者会見で、東京・秋葉原の事件でダガーナイフが使われたことに関連し、「規制の強化についてどう考えるのか、よく考えなければいけない」と述べ、危険な刃物などの所持規制の強化を検討する考えを示した。


残念ながら政府インターネットテレビでは9日午前の官房長官記者会見は配信されていない。



町村長官の真意がどこにあるのか知らないけれど、伝えられる発言自体を見る限り特に「更なる規制強化に前向き」とは思えない。「凄惨な事件が起きたからといってナイフ規制に飛びつくのは軽率だろ」と町村氏を批判する人たちのほうが早とちりじゃないかと感じる。

朝日の記事によると「刃渡り13センチのサバイバルナイフが凶器となったことに触れ」た町村長官の発言はこうだ。

「6センチを超えるものは正当な理由なく持ってはいけないという銃刀法の規制はあるが、現実には出回っている。規制強化をよく考えなければならない」


私の理解では、この発言における問題意識の中心は「規制強化」ではなく、「銃刀法の規制はあるが、現実には出回っている」「よく考えなければならない」のほうである。

すでに銃刀法では厳しく規制されているが、それが実効性を伴っていない(「現実には出回っている」)。
紙の上で規制を強化すればそれで解決、という簡単な問題ではない。
だから原点に戻って、どのような規制が適切で効果的なのか「よく考えなければならない」。

というのが私の推測する町村長官の真意だ。
本気で規制強化を目指すなら「現在の銃刀法は無きに等しい」とか「早急なサバイバルナイフ規制が必要だ」といった言い方をしそうなものだ。「よく考えなければならない」という言葉から私はむしろ「国民のみなさんもよく考えてください、ナイフを悪者にしてさらに規制強化すれば済むのですか?」という問いかけを感じる。

これがなぜ「サバイバルナイフの規制強化検討」(産経)とか「銃刀法規制強化も検討」(日経)という見出しになるのだろう。ヒステリックな刀狩りを望むマスコミの願望が投影されているとしか思えない。朝日の「銃刀規制強化『よく考える』」のほうがマシだがそれでも誤解を誘う。
私が町村長官のコメントに見出しを付けるとしたら「現実を見据えた銃刀法規制再考の必要を示唆」になる。再考の内容は必ずしも規制強化に限らない。無意味に厳しい規制・取締り(カッターナイフ狩り等)を緩和して、その分のリソースをもっと効果的に用いる、ということだってありうる。


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