言の葉ひらひら - Wordy Leaves Dancing

「はじめに言葉があった」
"In the beginning was the Word."

バイリンガル語:Code Switching (1)

2006-06-08 | 言の葉
ちょっと時間ができたので、久しぶりの言語学ネタいきまーす!この頃、近状報告的だった「言の葉ひらひら」でしたが、英語学習&言語学系の「言の葉」を目当てにこのブログに御来板される方達、お待たせしました!?

実は1月のセントラル・カンファレンス準備委員会の頃から、このネタを考えていたんですが・・・在米日本人には面白い言語的傾向があるのですよ。講師のパスター・マックも彼らについて「自由自在に日英両語を操っており」と言及しておられましたが、その両刀使いが特徴的なのです。まず、一つの会話の中で、二言語を行ったり来たりするのをCode Switchingといいます。
例:「それ失くしちゃったんだよね。I don’t know what to do.」
その中でも特に、もっと短いスパンの中で行われるのはCode Mixingと呼ばれています。一つの文の中で二言語が混ざっちゃってます。
例:「それがexactlyどこにあるのかわかんなくてさぁ。」
実は、昨年Code Switchingについてリサーチしていたので、これが気になってしょうがなかったんです。「あ、今のは前置詞句Code Mixing 、難易度高いわ・・・」とか。CCでも、けっこう激しくCode Switching & Code Mixingしている方がおられました・・・でもいったいこれって、言語学的・教育的にどうなんでしょうか?

ESL教師をしていた頃は、「一つの文の中で、二言語を混ぜるのはよろしくない。」というのをどこかで読んだので、自分でもCode Mixingしないように、またESL生徒にもさせないようにと、なるべく気をつけていました。それは、どちらかの言語の語彙で欠落した単語を、別の言語で補ってごまかすようになってしまうから、だそうです。セミリンガル化が進んじゃう。もっともに聞こえますよね。However, (←こんなところでやってみる)去年「Code Switching & Code Mixingしても二言語の能力に悪影響を及ぼさない。」という文献を読んで、目からウロコがdrop!drop!でした。そこで、それが本当かどうかリサーチしてみたんです。とはいっても、新しくデータを集めるのは大変なので、ESL教師時代の英語能力判断テストのデータを使わせて頂きました。(もちろん学校に許可を取りましたが。)

これは幼稚園入園当時~小1学年末までの間にやったテストの内のStory-retelling(まず英語でお話を聞かせて、次に自分の言葉で同じ話をしてもらう)の10数人のデータを比べるというものでした。初めてのテストでは英語で同じ話ができないと言うので日本語もOKにしていました。次にテストした時は、「ちょっとでもいいから、知ってる英語を使ってみて。」(少しでも英語を使うと点数が高くなるので。)とお願いしたところ、結構Code Switching & Code Mixingする子がいました。(点数上げたいから?)ちなみに男の子が多かったです。面白いのは、始めは日本語文法をベースに英語が混ざっていたのに、次回は逆に英語文法ベースにしている子がいたこと。
例:「いぬ meet いぬ. 」← SVO型(幼稚園児の頭は柔らかいのか、高度な技だ!)
でも最後のテストでは、全員ぜんぶ英語で話が出来るようになっていました!途中でCode Switching & Code Mixingしたからって、英語の発達が遅れたってこともなさそうでした。英語の発言単語数も数えたけどみんな順調に増えてたし、最終的には文法構造的にも悪影響はなさそうでした。(これらのデータをグラフにしたり表にしたりと、結構このリサーチにハマったなぁ。)ってなわけで、Code Switching & Code Mixingしても、オッケーですよ!(たぶん。)(←サンプル人数少ない&経過の期間が短い&いつもCSしてるわけじゃないかもしれない、ので確かじゃない。)

どっちにしろ、日本語ってCode Mixingウェルカム!な言語なんですよね。外来語多いし。J-POPには?な英語が氾濫しているし。他文化を取り入れて自国風にアレンジする国民性が表われてる?。「ハグする」とか「キスする」って言うものね。(でも、hug もkissもともと動詞なのに、なぜ「~する」を付けなきゃいけないのか疑問に思うのは私だけ?)あと、友達が「私、あの人にhiしたのに、あの人は私にhiしてくれなかったんだよー!」(hiする=挨拶する)というように、面白いCode Mixingをしてました。単なるCode Mixingじゃなく、英語だったら動詞になりえない“hi”を進化させてます。(この人は日本語も話せるトライリンガル韓国人でした。ちなみに在米コリアンは激しくCode Switchingするらしい。)中華料理を食べに行く事を「チャイナる。」タコベルに行く事を「タコる。」って言ってた日本人留学生の友達もいたな~。他に面白いCode Mixingを聞いたこと・使ったことがあったら、ぜひ教えてください!

次回は、バイリンガルの人同士がどのようにCode Switchingをするのか、その用途・用法に迫ります!お楽しみに・・・ 

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5 コメント

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こういう話題大好き! (はちこ)
2006-06-09 03:43:01
私は大学院で言語心理学を専攻したので、このテのネタは大好きですーー! 私も、Language Acquisition のクラスを取ったとき、(20年以上前じゃー!)複数の言語を混ぜて使うのは正確な言語習得の妨げになる、みたいなことを習った覚えがあります。でも、今では新しいデータが出てきているんだね! これは楽しみ♪

CCではほんと、バイリンガルな人たちが多くてcode mixing/switching ビシバシだったよね。雄司がある時の準備委員会で「I was really 刺激された」と言うのを聞いて、メチャ受けしたこともありました。

うちは、エミがcode mixingしますねー。「This is so なつかしい」「I'm つらい today」とか。英語では十分に表現しきれないと感じる部分を日本語で埋め合わせてるみたい。



しばらく前のゆふちゃんのブログにも、こんな記事がありました。

http://yaplog.jp/pinker/archive/125

とてもインタレスティングよ。(^^)



次の記事も楽しみにしてまーす!
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Unknown (めぐんちゃん)
2006-06-09 04:35:40
すごいInterestingなトピック!Lol!!



「自由自在に日英両語を操っており」かあ。



どっちかというと私は「日英両語不自由になっており」かもしれない。そう、まさに「どちらかの言語の語彙で欠落した単語を、別の言語で補ってごまかす」という状態。



その英単語にしても日本語単語にしても知らないわけじゃないんだけど、頭の中の棚の奥の方にしまってあって、見つけるのが面倒臭いからとりあえず手前の方の棚にある言葉を掴んで出してみました、みたいな。



あとちょっとSwitchingとは違うんだけど、こっちの生活が長い子が「俺の親父すごいいっぱいお金作ってるよ」って言うのを聞いたことあるな。お金作る=Make Money。直訳!?「それ言うなら“稼ぐ”だろ~!?」と他の日本人につっこまれてましたが。本人はほんとに違和感なく言ってたなあ。
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Unknown (たみこ)
2006-06-10 03:23:25
めぐんちゃんの、日記にも推薦かいてあって、とんできたよお!でもほんとに、おもしろいですねええ。自分も含め、留学生の間に多いなあと、おもうのは、時計とか、コンピューターとかペンが、”work”しないとき。”はたらかない!!”とか(笑)よくある。

うちのだんな様は、ただただ日本語をよく知らないだけ、だろうけど、 I love you, tooを ”あいしてるも”、と始めいわれたときは ”えええ??”だった。(笑)、あとは、典型的に、Whenで始まる、普通の(クエスチョンじゃない)センテンスを、”いつ。。。”ではじめたり(笑)

言葉は、どんなにMessupしても、通じるところがおもしろいですよね!(笑)
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わぁ!w (yufu)
2006-06-10 18:03:47
はちこママにすすめられてるぅww



おぉ~code mixingっていう正式な名前があったのね!

私みたいにてきとうにちゃんぽんとか言ってるのとは格が違うゎ・・・w



確かにCCには沢山バイリンガルいたよね!

私も"code mixing"をぶっかましてた奴の一人ですが。w

ってか話ちょっとそれるけど、

やっぱりCCに来る日本人留学生はめっちゃ英語がうまい!!!!

ロスに留学してる子達そんなにしゃべれないよ。

っていうか日本語だけしゃべってても生きていけるところだからねー。

mid statesは日本人が少ない代わりに、

英語の勉強にはもってこぃの場所だね!!

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チャンマスの棚 (kuriks)
2006-06-24 12:45:55
はちこさん、

言語心理学を専攻していらしたんですね!話が合うわけです。(笑)

そうそう、この後のY司君のコメントをきっかけに、私の頭の中ではこのcode mixing/switchingネタが膨らんでいったんですよ!「いつかこれ、ブログに書こ!」って。でも、肝心の彼のcode switchingの実例を忘れてしまっていたので、教えて下さってありがとうございます。「I was really 刺激された。」面白いわぁ。ただの動詞じゃない受動態のcode mixingって難易度高っ!?BTW、エミちゃんのカワイイcode mixingも、次回のネタに使わせていただいちゃいます!



ゆふちゃんのブログも見ました!はい、とってもインタレスティングでした。教えて下さってありがとうございます。出会う前からシンクロしてるわ♪チャンポンマスターかぁ、上手いこと言いますね!LAにはチャンマスがいっぱいいるから、いよいよcode switchingが促進されるんでしょうね。。。



めぐんちゃん、

その棚のメタファー、すごい分かりやすいわ!そうそう、手前の方にある単語をついつい使ってしまうよね。私の棚の奥の方の単語達はホコリかぶってたりして。いや、溶けてるかもしんない・・・ あと、めぐんちゃんのブログにも書いてあったけど、日本語だけの場合でも、奥の方にある固有名詞にいちいち登場してもらわずに「アレ・ソレ・コレ」代名詞で用が済んじゃったりするもんね。でも時々、その代名詞についた糸をたぐり寄せてみたら、相手の棚の奥では自分と全然違う固有名詞とつながってたりするので要注意なのだ。(笑)



私も英語直訳風日本語をしゃべっている時があります。「このCDプレーヤー、働いてないよ!」とか。“It doesn’t work.”の直訳ですね。でも怠け者みたいに言われて可哀想なCDプレーヤー・・・



たみちゃん、

上の二人へのコメントを載せてからここに戻ってみたら、僅差でタミちゃんからのコメントも来てた~。しかもおんなじ実例!わーお。「はたらかない。」言っちゃうよねぇ!旦那様の「あいしてるも♡」かわいいいいいい!



「言葉は、どんなにMess upしても、通じるところがおもしろいですよね」

愛があるから通じるのだ、と私は思うぞ!本当にほのぼのして素敵な夫婦だわ。



yufuちゃん、

全ての言語現象には正式な名前があるらしい。。。(ほとんど知らないけど)でも「ちゃんぽん」って分かりやすくていいよぉ。自然に縦糸と横糸を織るように二言語をすいすい混ぜてメッセージを織り上げるyufuちゃんは、ほんとにチャンポンマスターだわ。



そっかぁ、mid statesは、英語習得のためには恵まれた環境なんだね。でもミツワがいっぱいあるLAもうらやましいな。
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