まろの公園ライフ

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風に吹かれてノーベル賞

2016年10月14日 | 日記

いやあ、驚きました!
発表を聞いたとたん「へ?」という感じでした。
ノーベル賞史上最大のサプライズです。

注目のノーベル文学賞は
な、な、なんと歌手のボブ・ディランでした。
ノーベル賞の長い歴史でも
歌手の受賞はおそらく初めてではないでしょうか。
そのことに異議を申し立てるつもりはサラサラありませんが
やはり多少の違和感があると言うのか・・・
ノーベル賞の概念そのものが大きく変わったと言えます。

彼の代表作「風に吹かれて」は
私はピーター・ポール&マリーの歌で初めて知りました。
アメリカを代表するフォーク・グループですね。
中学生の頃はこの「PPM」を夢中になって聴きました。
「500マイル」「パフ」「花はどこへ行った」「レモン・トゥリー」など
ヒット曲は枚挙にいとまがありませんが
折からベトナム反戦運動を背景にした空前のフォークブーム。
少ない小遣いを必死にやりくりしてレコード買い
鼻の穴をふくらませて聴いたものです。



ススキの穂が儚げに風に吹かれています。
ボブ・ディランの「風に吹かれては」はそんな情緒とは無縁の
強烈なメッセージソングでした。

  「どれだけの砲弾を発射すれば武器を永久に廃絶する気になるのか」
  「為政者たちは、いつになったら人々に自由を与えるのか」
  「一人一人にいくつの耳をつければ、他人の泣き声が聞こえるようになるのか」
  「人はどれだけの死人を見れば、これは死に過ぎだと気づくのか」

当時の政治状況を考えれば
単なるメッセージソングと言うより
怒りを込めたプロテストソングと言った印象です。
ただ、最後の「答えは風に吹かれている」というリフレインが大いに不満でした。
問題提起をして置きながら、風に聴いてくれはないだろ!

  「そんな曖昧なことでどうする!」

なんて思わず机を叩いたりしたものです。(笑)



かつての「フォークの神様」は
いつしか「ロックの神様」に宗旨替えしました。
ファンの一部にはそのことをとやかく言うムキもあるようですが
でも、やっぱりカッコいいですねえ。
PPMの美しいハーモニーも素敵ですが
独特のしゃがれ声の「風に吹かれて」も味があります。
ノーベル賞に違和感を覚えながらも
彼の歌の普遍性と詩情はノーベル文学賞にふさわしいかも知れない
などと、思い直したのでした。
この受賞で彼はますます「伝説」となるのでしょうか。