心の兄貴、Y澤さんと久しぶりに連絡をとり、酒を飲むことになった。
場所はボクが適当に決めた。京成線の関屋で待ち合わせすることにした。
何故、関屋か。関屋に知っている酒場があるわけではない。
ボクが京成線で唯一降りたことのない駅が、関屋だった。だから、酒場探しも出たとこ勝負である。
でも、ボクには確信があった。いい酒場が確実にあると。
京成線沿線の酒場はほぼ間違いない。京成関屋でY澤さんと合流し、ボクらは酒場を探した。
大衆酒場はいとも簡単に見つかった。
「東菊水」。
こんなに簡単に見つかっていいのかというくらい、手応えのないものだった。もう少し、店を探そうかと思案もしたが、ボクとY澤さんは店に入った。
しかし、この店、読み方が分からない。
ボクは「とうきくすいかな?」とY澤さんに尋ねた。
「いやぁ、これは『あずまきくすい』じゃない?」とY澤さんは返した。
それを聞いていた店のおばちゃんが「そうよ」と口を挟んできた。
テーブル席に腰かけ、ボクらははじめに「生ビール」の中(550円)を頼んだ。
おもむろにメニューを見上げると、「まぐろぬた」(550円)、「レバカツ」(450円)の文字が飛びこんできた。
あぁ、ここは本物だ。
ホンマもんの大衆酒場だ。
ボクの定義では、「ぬた」のある酒場が大衆酒場である。
ますば、「もつ煮込み」(450円)で様子を見る。
「『もつ煮込み』ね!」とボクが声を出すと、Y澤さんは必ず、「2つ!」と指を2本たてて補足する。
今夜もばっちり続いてくれた。
煮込みは小ぶりの椀だった。
白味噌仕立ての優しい味。
うまい!
ボクは生ビールを秒殺して、次の飲みものへ。
「ホッピー」に決めていたのだが、「焼酎ハイボール」の文字を見て、気持ちが揺らいだ。
「ホッピー」は白黒、各450円。まぁ標準的だ。一方、「焼酎ハイボール」は290円。いや、値段だけの問題ではない。大衆酒場のハイボールは、下町の、いわゆるボールである。
ここは一発、琥珀のボールに命をかけてみるか。
下町には下町のルールがあるのだ。
「ポテトサラダ」は思ったとおり、手作りで、ボクらは大いに飲んで食べた。
多分、古い店なのだろう。
ところどころ、店がくたびれている。
気がつけば、Y澤さんも「焼酎ハイボール」を飲んでいる。
そして、ボクらは何杯も何杯もおかわりした。
この店、当たりだった。
さすが、京成線。
すばらしい店。
さぁ、次へ行ってみましょう。
あとで再投稿してみます。
今はなくなりましたが、昔は記事もたまに消失したりしました。
せっかく書いたのに、また同じことを書くときのやるせなさったらないですよね。
20代、J社に勤めていたころ、写植版下を請け負っていただいた写植屋さんがあった町です。
当時は印刷の前工程に写植版下を制作してから、印刷所に入稿していました。
DTP全盛の今にあって、写植版下といっても、今の方々には想像すら出来ないものだと思います。
印刷所入稿が近づき、スケジュールが押してくると、出張校正のため写植屋さんにたびたび通ったものです。
頭が付きそうな東武線のガードをくぐって行った先に、その写植屋さんはありました。このガードは今もそのままです。金八先生のドラマシーンにも何度かこのガードが映っていました。
北千住にも近いこの町は、今も昭和の面影がところどころ残っています。
次の機会に入店してみようかと思った酒処が、ひとつふたつありました。
東菊水は初めて入った店でしたが、楽しく呑み、語らったあと、懐かく感じるこの町とこのお店は、やわらかな印象を残してくれました。
また、よろしくお願いいたしますね。
このエピソードは、この店で聞かせてもらいましたね。
すっかり、失念していました。
懐かしい街を歩くのは、ドキドキするものですね。懐かしさとともに当時の自分を思い出したりして。
ボクにとっては初めて降りる駅でしたが、Y澤さんにとっては、懐かしい街。そんな心のありようで飲む酒は、多分お互いに違う味がしたのかもしれません。
近いうちに忘年会をやりましょう。