録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

希望かキホーテか、FriioのB-CAS共有サービス

2008-08-21 21:28:53 | Friio
ネタとしてはすでに知っていたわけなんだけど、おおっぴらに書くべきではないかなぁと判断し、記事にするのは遅れていた。だが、2ちゃんねるのスレならともかく各ニュースサイトに、池田信夫blogコデラノブログ3と言った有名ブログでも取りあげられているあたり、もうわたし一人控えていてもしょうがないかなと思い、取りあげることにした。乗り遅れたくないしね・・・。もうとっくに乗り遅れてるだろ、とか言わないでちょーだい。この手の内容だと、実験なしで書くわけに行かないでしょ。仕事終わるまで動けなかったのよ。

問題のものは、Friio公式サイトからダウンロードできる、「最新BETA ドライバーとソフト」から落とせるソフトをインストールすると出来る機能である。ベータ版でもあるし、今の環境で十分安定していることもあるし、万が一を恐れてのこともあって普段Friioを使っていないPCにインストールすることにした。なぜかインストールの途中、おそらくMPEG2のデコード系のdllファイルでエラーが起きたが、"無視"して続ける。接続したのは、B-CASカードを挿していないサブのFriioBS/CS。前に入れたFriioViewerの設定が残っているので。カードはGeneralErrorを起こす。そこで「設定」をクリックし、右側にある「制御方式:」の項目を"B-CAS"から"ネットワーク"に変更、OKをクリックし、一度FriioViewerを終了してから再起動すると・・・無事、システムの"B-CAS"項目が"カードOK"と表示され、B-CASカードの挿さっていないシステムでありながら、BS放送を受信することが出来た。

おそらくBonCasLinkの、BonCasProxy相当の機能が入っているのだろう。以前の実験で、BonCasLinkによるB-CASカード復号情報の共有がインターネットを越えて行えるのは確認済みである。
ただし、その時にねこさんと一対一で行った実験と比べると、レスポンスは悪い。一瞬「止まった?」と思うこともしばしばあった。とはいえ、何度チャンネル変更を行っていても失敗することはなかった。コデラノブログ3では「カードの動作が、ユニークIDを偽装する形でエミュレーションされているのではないかという気がする」と書いているが、ありうる話である。快適にするには同じバージョンのFriioViewerを入れたもの同士のP2PでB-CASを共有する、という手をとってくる可能性もあったが(わたしが万が一恐れたのはコレだ。さすがに有料放送のIDを送信するわけにはいかない)、セキュリティソフトが何も言ってこないところを見ると、サーバーからの受信専用で動いているようにも見える。


わたしは、ご存知の通り(?)無料放送における録画制限とB-CASによる規制利権に反対し続けている。ゆえに、B-CASを逆利用して快適な録画システムを構築するようなやり方は歓迎・肯定し、フォローしたいと思っている。そのため、Friioが登場したときに「違法だ違法だ」と業界がわめきだした時も、「どの面から見てもFriioに違法性はない。違法性があるのはむしろB-CASやARIBの側である」とその主張を真っ向から否定してきた。まぁその影響力たるや微々たるものだっただろうけど。
だが、今回のB-CAS共有システムは、もちろんこれを違法と断言する法を知らないが、逆に「違法性はない」と断言する根拠もない。むしろ購入したデータをインターネットで流して共有するという行為には漠然とした違法性を感じてしまう。ただ、即違法扱いできるとしたら、例の「ダウンロード違法化」後くらいしか思いつかない。総務省らデジタル放送推進派はFriioが登場した時、即対策を検討し始めたが、10ヶ月近くたった今でも、対策らしい対策はなされていない。せいぜいHDUSを除いて全く売れない、所謂合法チューナーの単体販売のガイドラインが出されたくらいである。B-CASが利権システムであるがゆえに、法律で保護することが出来ないからだろうと推測される。
だが、今度の共有システムとなるとこういう漠然とした違法性を前面に押し出し、強引にサーバーの停止や実質的な販売の停止にもって行きかねない。理由なんか「著作権の保護」以外なら、どうにでもつけてくるだろう。ただ、そういう行動を派手に行うことで、B-CASそのものが一般の前にクローズアップされ、Friio以前にB-CAS自体が違法ではないか、という議論が出てくることが、おそらくB-CASやARIB、Dpaと言った連中がもっとも恐れる結果ではないかと思う。何度も言うが、B-CASは独禁法違反ど真ん中であり、特にレコーダーで海外メーカーの参入を阻む壁であり、利権の巣窟である。B-CASの中心になっているメンバーの一番好ましい行為は、B-CASの存在を気にしなくなり、規制に慣れてしまって当たり前と思ってしまう、「無関心」になることだ。それでいてデジタル放送受信システムだけはバカ売れするのが、彼らが思い描く理想郷だ。ヘタに合法・違法でかき回し、批判が噴出することは望ましいことではないだろう。当然テレビ局はそういう報道を行うことはないだろうが、新聞、特に朝日新聞はなぜか最近やたらデジタル放送に否定的な記事を平気で載せることがある。B-CAS絡みの件で違法を問うようなことがあれば、喜んでB-CAS自体を否定する記事を載せてくるかもしれない。そうなれば、規制システムが崩壊するか、デジタル放送が崩壊するかのどちらかになるまで騒動が続くこと
だってありうる。

なんとなくだが、Friio側もそこら辺まで飲み込んだ玉砕覚悟と言う気もする。先日のPT1の発表によって、Friioはある意味歴史的な役割を終える存在へとなりつつある。もしもう売れないのなら、B-CASシステム自体の崩壊を置き土産に消えるつもりもあるのだろうか。
いつぞや2ちゃんねるのスレッドで、Friioの中の人(と、思われるトリップ)で「望んでいるのは儲けることじゃなくて、自由に録画できること」(うろ覚え)というようなことが書かれていたことがある。それは本気だったのだろうか。

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13 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-08-22 01:18:34
そう、まさにこの一件を好機と見て、一層の規制強化に乗り出すことになりはしないかと、その点が心配なのですよ
民意が反映されるような法律の方が少ないお国柄で、先生方さえ動かせばどうにかなりそうで怖い。
ましてやB-CASなんて一般には興味も持たれていないジャンルですしねぇ、お得意の知らないうちに法律が!・・・とかね
広告代理店の野望 (ヒガップル)
2008-08-22 02:54:50
初めまして。
私にはB-CASのもくろむものは広告収入の低迷する業界がピンポイント広告を導入する(同一番組にユーザー別に別のCMを出す)ことだと疑っています。B-CASが破られれば、ちょうどネットのプロキシのように、ユーザーの特定を不可能にすることもできますからね。
multi2の復号には (名も無く清く美しくもなく)
2008-08-22 12:41:30
IDは必要ないんじゃないかという話が池田信夫ブログのコメントのとこに訂正で出てるね。これが事実だとすると法的にも技術的にもB-CASは完全に破綻か。

地デジに勝手に導入して普及させてしまった為に他の技術的手段を取れなくなって身動き出来なくなってしまうとは何とも皮肉な話。自業自得。
Unknown (Unknown)
2008-08-22 15:13:36
本当なら、同じカードリーダーを使うにしても、将来こういったクラックによる不正視聴が起きた際に新規格へ移行できるように、ダウンロードなり販売店修理なりでアップデートできるようにすべきだったのに、多分そういうものは無いんでしょうねぇ・・・
その辺のことはコピ1からダビ10に規格変更する際に、対応予定の機種しか対応できなかったことからも容易に予想できる
Unknown (Unknown)
2008-08-22 20:31:13
デジタル機が山ほど出ているのに、いまさらB-CASからほかの規格に変わるのはありえないでしょう。
高いTV買ったジジババが怒り狂うこと請け合い。
すでに倒産、撤退したメーカーの対応もできないだろうし、健在のメーカーだって、デジタル放送が始まって10年近くもたつとすでに開発環境のないセットだって大量にあるだろう。

このままgdgdでやるか、有料放送のユーザー切り分けのみに利用を特化して、他はすぱっとやめるか。
メーカーはB-CASシステムを売って特許料が欲しいだけだろーしなー。やめる理由にはまだまだ乏しいよなーと思うのが私の見解。
だれかが訴えて、独禁法で規制受けない限り止まらないだろう。
Unknown (krmmk3)
2008-08-22 21:56:19
>2008-08-22 01:18:34さん
新聞とかテレビって、現在審議中や提出されている法案をあまり取り上げないので、いつの間にやら国民にツケが回る法案が決まっていることはしばしばありますね。ただ、法律を作るにはあまりにヘンな民間企業を間に作りすぎているのですよ、この問題は。そう簡単にはいかないはずです。

>ヒガップルさん
以前、ニュースサイトのインタービューにB-CAS側が「民間ならではのサービスを行う予定がある」と答えていますけど、そのサービスはおっしゃるような個人情報を企業に提供したうえで行うピンポイントCMやテロップがメインになるだろうな、と予想しています。あまり好ましいとは思えないけど、それくらいしか思いつかないです。

>名も無く清く美しくもなくさん
IDを使っていないわけではないでしょうけど、それは有料放送利用時に限定されているものと想像できます。少なくとも技術的には破綻した、と言っていいでしょうね。これからは中途半端に高い普及率がB-CASの足を引っ張って身動きが取れなくなるでしょう。

>2008-08-22 15:13:36さん
B-CASのアップデートは不可能でしょうね。しょせん有料放送の加入者管理用カードの流用ですから、そこまで強い機能を持たせなかったのがアダ、わたしらにとっては救いでした。

>2008-08-22 20:31:13さん
結局面倒だから、おとなしく使っている人が貧乏くじを引く現状維持、ってのが一番ありそうな展開ですけど、JVAが黙ってないでしょうから悪い意味でグダグダになりそうです。
著作権違反幇助、に匹敵する無理やり法案がとびだすかも。
Unknown (元技術者)
2008-08-23 01:12:41
ここのサイトのコメントを読んでいると、どうもfriioを「完全合法」と勘違いされている方が多いようで・・・
friioは現行の販売方法でしか「合法」にはなり得ません。売買を台湾国内で完結させ、ドライバ類を添付せず「所有者が任意で通信して入手」というスタンスを押し通せるぎりぎりの方法を採っているのもそのためです。EMSの伝票の内容物の欄に「USBアダプタ」(あるいはそれに類する品名)としか書いていないのも「これは研究・実験用部材である」と言い切るためではないかと思います。

PT1は復号に要するパーツを自前では持たないことでさらにビデオキャプチャーとしての機能を薄め、「電波の受信実験用部材である」と言い切るつもりではないかと思います。(実際、ビル影やマルチパス障害などの受信障害の観測には、正確な電界強度は無理としてもエラー発生率を測定する等、十分使えます)

デジタル受信機が放送電波によるファームウェアアップデート機能を搭載しているのは、単に受信機メーカーの出荷後のバグ修正のためにあるのではなく、「将来の規格変更に備えるため」実装を義務づけられているものです。(もっとも、想定しているのはデータ放送の規格変更と電波の物理チャンネルの変更ぐらいだったと思いますが・・・ちなみに地上波ではファームのアップデート信号の送出はNHK総合&教育が担当します。NHKはアップデート用の帯域を負担する見返りにリモコン番号1を総合、2を教育に全国統一で割り当てるべくVHF1chで放送している民放各局に交渉していましたが見事玉砕しました)
ダビング10対応のアップデートが一部機種にしか行われていないのは、ダビング10が「必ず実装しなければならない機能」として位置付けられていないからで、「それならば販売時点での規格に準拠していればいい」と旧機種を見捨てるか、順次フォローするかはメーカーの「経営判断」にまかされる部分です。

B-CASカード自体のアップデートは不可能とタカをくくってはいけません。ここで忘れてはいけないのはカードの所有権はB-CAS社にあり、カードは「貸し出し品」だということです。これはやろうと思えばカードリーダー端子の互換性を残しつつ、新型暗号方式に対応した「新カード」に交換可能であることを意味します。ケーブルテレビ局がスクランブル方式の変更に合わせてレンタルの受信機を交換するのと本質的には同じことです。
Unknown (krmmk3)
2008-08-23 02:10:32
>元技術者さん
いつもどうもです。確かにおっしゃることももっともです。ですけど、まぁわたしとしましては、Friioの持つ胡散臭さを書きたくないわけなんです。むしろ、本来普通の録画機程度の能力でなければならないFriioが、わざわざ現在のような形をとらなければならない現状を憂うべきだ、というのが主張なわけでして。
B-CASに関しては、だからこそ「ユーザー登録をしろ」と、特にBSのNHKの視聴を質に要求しているのでしょうが、地上デジタルに応用したためにユーザー登録していない、する必要のない視聴者が大量に存在することになってしまいました。また、新方式のDRMを導入するとしたらカードだけでなく、ハードの対応も必要になるはずですが、ダビ10にすら放送波のアップデートに対応出来ない機種がやはりたくさんあります。それらを強制アップデートするのも不可能です。何より後3年で入れ替えさせなければならないデジタル放送にミソはつけられないので、アナログ停波まではやはりB-CASカードに新方式の導入は出来ないと思います。そして、100%になってから一斉に使えなくすることもまた不可能に近いのではないでしょうか。ちょっと甘い考えかもしれませんが。
Unknown (Unknown)
2008-08-23 04:27:35
>「望んでいるのは儲けることじゃなくて、自由に録画できること」
メーカーにいる友人と話した際に,現行の録画やコピーの管理システムに対する不満が,技術者間で完全に共有されているという印象を受けました.想像するに,Friioの中の人には,いろんな立場の人がいそうですね.高給でもないのに長時間労働を強いられながら,やりたいことも満足にやれないとなれば,ぶち切れるのも当然かと.中の人達はネット社会の中で`ハブ電脳'の役割を果たしてくれているのかもしれませんが,自爆テロの段階には進んで欲しくないですね.
Unknown (2008-08-22 20:31:13)
2008-08-23 14:40:07
元技術者さんの意見には私は否定的です。
理論的には可能でも、暗号化方式の変更は難しいと思います。

開発環境、開発リソース、対応させる機器。
どれをとっても、ある一定のところで線引きをしないとメーカーは対応不可能であることは間違いありません。
暗号化方式を変えるということは、ソフトウェア云々の問題ではなく、使用しているマイコンのスペック不足や、ソフトウェアの組み方から容易に対応できない、といったことも考えられます。

しかも、未対応となったデジタル機器は、ダビング10とは違い、一切の視聴が不可能になる。

そんなことがアナログ放送終了の数年後にある、となったら買い控えどころか、それこそ集団訴訟を起こされる可能性も高い大問題になるのではないかと思います。

利権を維持する修正のための膨大な費用は誰が持つんでしょうね・・・

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