台南・ダイアリー

台湾の台南市で3年、新竹市で2年駐在して、色々な所へ行ったり美味しいものを食べたりしました。

梅金海産-台南夏林路海産其之四

2005年04月13日 | うまいもの


今日は、
” 夏林路海産 ”シリーズの4回で、
夏林路そのものじゃなくて、
少し北にあがった海安路 と成功路の路口近くにある
” 梅金海産 ” を紹介する。

それで、以前 ” 麻吉 ” の回に、

「 ” 海産 ” は、代表的な
 ” 台湾料理( 大陸と同じ中華料理ではなく 台湾独自のもの ) ” だ。 」

- ってなことを、ちょっと書いたんだが、

今回、
” 海産店の様式全般 ”
とか、
” 台湾の海産店の歴史 ” 
とかいったことについて、簡単にまとめるつもりなんで、

そのまとめが、
” 海産は代表的な台湾料理である ”
とオレ達が考えていることの、説明にもなるんじゃないかと思う。


それでは、まず
” 海産店の様式全般 ” について説明するために、
今日、オレ達が ” 梅金 ” で、
何を、どうやって食ったか、について簡単に書いていく。

 

海産店では、食べるものを選ぶとき、
一般に冷蔵ケースとか 生簀 から、食べたい食材を選び
調理法を指定する。

上2枚の写真は、冷蔵ケースの写真だが、
海産といいながら、魚や貝以外に、何故か
牛肉、エビのベーコン巻き、アヒルの舌、かえる、ホルモン
- なんてものも並んでいる。
海鮮は、イカ、キス、カイワリ等の、比較的単価が安いものが多いネ。

食材を選ぶときは 指差しでOKだが、
調理法の方は、北京語でちゃんと伝える必要がある。
中国語の教科書を見直して、

炒 ( ツァオ、いため )
炸 ( ザー、あぶらあげ )
蒸 ( ツェン、むし )
烤 ( カオ、やき )
紅焼 ( ホンサオ、しょうゆに )

みたいな、基本の調理法の発音を しっかり覚えておこう。

 

左上は、
オレが台南に来た頃から、この水槽にいる ” 錦エビ ”
( 伊勢海老の色が派手で、デカイやつ ) 。
値段が高くて、誰も注文しないので、こんなに大きくなった。
( これは開玩笑 )

それでも、
台湾に来たら、錦エビ を絶対に食わなくっちゃ。
日本では、もう沖縄くらいにしかいなくて
伊勢海老10匹に対して 1匹程度しか取れないから、
日本で食ったら、値段がすごいゾ。

右上は、海産店にはつきものの ” ビ-ル小姐 ” 。
有力海産店をまわって、自社のビールの販売促進をする。

「 おや、そこのイケメンのおにーさん、ウチのビール飲んでよ ♪」

っていう感じかな。
今日いたのは、ちょっと珍しくて、
福建省から輸入している ” 恵泉ビール ” の小姐だった。
( 顔出し禁止の小姐だったもんで、こんな写真になった。 )

 

左上は、”焼酒螺、サオジョウルオ ”。
小さな巻貝を にんにく、唐辛子、焼酎、しょうゆ のタレにつけたもの。
夜市でよくみるものだが、こういうミセの 突き出しになっているのは
珍しくて、よくある ピーナツ なんかより、よほど気が利いている。
貝を口にくわえて、ズッと吸い込むと中身が出てくる。

右上は、もう少し大きな巻貝の炒め物、
貝類の炒め物は、泥臭いのをカバーするため、こういう、
” 九層塔 ( ジョウゼンタオ、台湾バジル ) ”
とあわせ炒めしてあることが多い。

台湾に長く住んでいる日本人に、

「 どういう時に、” 自分も台湾人ぽくなったなぁ ” と感じるか ? 」

という質問をすると、一般に

「 香菜や九層塔のにおいが ” わりと好きだ ” と感じた時。 」

っていう答えが多い。
結構 特徴的なにおいの草だネ。

もっとも、この質問への回答には

「 親子3人で1台のバイクに乗ってるのをみて、
   ” もう一人乗れるじゃん ” と思った時。 」

なんて回答もあるんだが。


 

左上は、
海産店で売っているのは、はじめてみた
” カメジャコ ” の素揚げ。
この小さいシャコは、普通日本では
” ボケ ” と呼ばれる 釣り餌だが、殻が薄いので
揚げ物にすると、サクッとして、ビールのつまみに最適だ。

右上は、” 炒高麗菜 ” 。
キャベツの若いやつの 炒め物だが、
火がとおりやすい割には、シャキシャキ感も残るので
なかなか良い食材だ。
オレも、よく自炊に使っている。

他に一般的に、海産店には、

苦瓜 ( クークワ、にがうり )、塩漬けのアヒルの卵と炒める。
蘇菜 ( スツァイ、巻いた葉の野菜 )、破布子なんかと炒める。
空心菜 ( コンシンツァイ、茎が空洞のやわらかい野菜 )、単独に炒める。
川七 ( チュワンチー、ぬめりがある緑の葉 ) 少しエグみがあって、単独で炒める。

なんていう、緑色野菜がおいてある。
みんなも自分自身で、色々試して食べてみると良いゾ。

 

左上は、
” 龍珠 ( ロンツー、イカの口/日本名はとんび ) ” の揚げ物で
オレ達がよく海産店で頼むものだ。
原価が高いのか、台南では結構沢山でてくるが、
台北や新竹だと、ごまかしで入ってる ピーナツ の方が多かったりする。

右上は、” 炒意麺 ” 。
” 意麺 ” については、すでに今まで何回も書いてきているが、
普通、海産店においてあるのは、
” 福建式 ” の生麺ではなく、” 広東式 ” の揚げ麺だ。
これを煮て戻したあと、さらに他の具と炒め直すんである。
ちょっと、インスタントラーメンっぽい風味だが、なかなかうまいゾ。


以上で、今日行った ” 梅金 ” を題材にしての
” 海産店の様式 ” 概要紹介は終わりだ。

こういった、
置いてあるもの、システム、その他のことについて
台湾の海産店は、殆んど共通の様式をとっており、
大陸の ” 海鮮料理レストラン ” とは違った、
独特のスタイルを、作りあげている。

値段も含めて、
もはや、日本の ” 白木屋 ” とか ” 養老の瀧 ” みたいな
” 一般大衆食堂/居酒屋 ”
( 置いてあるものは、そういう所より、もっとウマいけどね )
として、一つのカテゴリーを完成させているネ。


 

上の写真は、台北の“ 海覇王 ” 海鮮レストランだが、
台湾の“ 海鮮/海産 ” という料理ジャンルは、
1973年高雄に、このミセの第1号店が開かれたことから
その歴史の全てが 始まるんだ。

当時、台湾の養殖や冷蔵の技術は、
そんなに大したことはなくて、
料理メニューは存在せず
( このスタイルは、結構今でも存続しているが )
その日取れた海産物を、そのまま客に出すだけの 状態だった。

それが1980年代、台湾のバブル景気の時期に、
“ 海鮮 “ は高級料理の代表として、
爆発的なグルメブームの対象になっていった。

当時、台北の六条通りには、
高級海鮮レストランが どんどん建ち、
大卒の初任給が、2万円ちょいの時だって言うのに
“ 海覇王 ” や “ 陶陶 ” では
イセエビ、アワビ、ふかひれを、たっぷり使った
1卓 10万円の海鮮コースが 3ヶ月先まで予約で一杯だった。

だが、そんなグルメブームも、
1990年代になって、株価が下落していくとともに 下火になってしまい、
贅を競った “ 高級海鮮レストラン ” は
軒並み、閉店していくことになった。

しかし、景気が下落しても、
いったん火がついた 台湾の人達の“ 海鮮 ” に対する嗜好は
全く衰えることはなかった。
( ここら辺は、台湾で “ 海鮮ブーム ” の前にあった
  “ 四川料理ブーム ” とはちょっと違ってた。
  やっぱり、子供のころから海に囲まれて 育ってきたからかナ。 )

” 高級海鮮レストラン ” は、どんどん衰退していったんだが
それと引き換えに、今度は
高級食材こそ置いてないが、
手ごろな値段で、新鮮なものを食わせる、いわゆる
” 海産店 ” が,
雨後のたけのこみたいに、台湾中に ぽこぽこ出現してきたんだ。

そういう “ 海産店 ” が、
もともとある 古早味の食堂 の間に
大挙してできたのが、台南の “ 夏林路 ” だ。

ここのミセ達は、
バラックのような建物で、氷の上に食材を並べ、
簡単な炒めものや、焼き物を、プロパンガスのコンロで
サッと作って客にだす。
アワビや、ふかひれ のような高級食材は置いてなくて、
“ 伊勢エビ ” は水槽にいたとしても、誰も注文しない
“ 見せエビ ” になっている。

何故、これらの庶民的な
“ 海産店 ” が、
昔は、高かった海鮮の食材を、より安く提供できるようになったか
という理由は、
“ 海覇王 ” が最初に “ 海鮮レストラン ” を
開業してから今にいたるまでの 30年の間に、台湾の
“ 養殖 ”と “ 冷蔵 ” の技術が
飛躍的に進歩したからなんだ。

前に ”家楽福売的魚 ” の回で書いたように、
高級魚だった ” 虱目魚 ” の養殖量は
台湾で ” 深水式養殖 ”が開発されたことにより、
同じ容積の池では、5倍にも増え、
その値段も、昔の5分の1に下がった。

また、” 呉郭魚、ティラピア ” のような、
日本では ほとんどできなかった、輸入魚の養殖と 品種改良も、
台湾では、立派に成功させている。

魚をとる漁船の数と、規模も大幅に増加した。
1960年代には、
台湾全体での エンジン漁船の数は、6000隻程度だったものが、
近年、1万数千隻も登録されるほどに増えているし、
台湾の人の大好きな、マグロを運ぶ 超低温冷凍船 は
今現在、全世界にある1400隻のうち、300隻程度が
台湾国籍のものになっている。


こういった、上に書いてきたようなことを、全部考えあわせると、
” 台湾の海産 ” というものは、

食材を調理して出す ” ミセ ” も、
” 海覇王 ” の登場以来、独特の経緯を経て
今あるようなスタイルを、完成させているし、

食材自体も、
台湾の人達独自の、色々の工夫と、努力で
種類、量、価格とも 進化してきたんだから、

やはり、” 海産 ” は
” 大陸中国の中華料理とは別の、台湾独自の料理 - 台菜 ”
の代表なんではないか、とオレ達は思うんである。




以上で、オレが
「 書こう、書こう 」 と思って、ずっと先延ばしにしていた
“ 台湾料理 “ としての ” 海産“
に関する能書きは、一応おしまいだ。
今回は、すごい大ネタだったんで、
書くのが二日がかりだった。

ずいぶん端折った所もあるけれど、
それなりに必要なことは、全部書いたつもりだ。
みんなも、夏林路に行くとき、
ちょびっとだけ、今回書いたような、オレの
“ 能書き ” を思い出してくれると、

オレも

“ ハッピー ♪“

- ってなもんサ。






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一昨昨日は、練習は休みでした。
一昨日は、夜、成功大学で13kmのJOGをやりました。
昨日は、練習は休みでした。
今日は、ウェイトだけやりました。

舒跑盃ロードレースまで、あと42日

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