僕達の小さくて大きな森(9)

2020-06-25 07:14:16 | 童話
『また二人でエンピツを近付けてみようよ。』
『うん、ソッとだよ。』
『ブルブルとならないね。』
『そうだね、今日はならないのかなぁ?』
『うわっ。』
『うわっ。』

僕達はブルブルを忘れかけていたのでビックリした。
『ブルブルとなったね。』
『うん、ブルブルとなったね。』
『盆栽の時のように中に入ってみようか?』
『今度も入れるのかなぁ?』
『そうだね、それに出られるのかなぁ?』
『行ってみようよ。』
『うん、あの動物達にまた会えるかも知れないしね。』
『たのしみだね。』
『行くよ。』
ブルブル、ブルブル。
『うわっ。』
『うわっ。』

僕達の小さくて大きな森(8)

2020-06-24 07:29:26 | 童話
ある日、僕がテーブルで宿題をしていると、お母さんが梅の木の大きな枝を挿した花瓶をテーブルに置いた。
『倒さないでね。』
『うん、大丈夫だよ、倒さないよ。』
宿題が終ったので片付けをしている時に、エンピツを持った右手が梅の枝に近付いた。
その時、おじいちゃんの大切にしていた盆栽の時と同じように、エンピツがブルブルとなった。
『うわっ。』

僕は急いで友達の家へ行くと、友達も宿題が終っていた。
『大変だ、ブルブルとなったよ。』
『どこで?』
『今度は盆栽ではなく、お母さんが飾った花瓶の梅の枝だよ。』
『本当? 花瓶の梅の枝でもブルブルとなるんだ。』
『早くおいでよ。』
『うん、お母さんに君んちへ行くと言ってくるからね。』
僕達はエンピツを持って花瓶の梅の枝の前にいた。

僕達の小さくて大きな森(7)

2020-06-23 07:22:19 | 童話
そして、僕達が3度目の植木探検をしようとしたが、植木の盆栽が無くなっていたので、おじいちゃんに聞いてみた。
『ねぇ、おじいちゃん。おじいちゃんが大切にしていた盆栽が無くなっているけれど、どうしたの?』
『そうなんじゃ。大事にしていたが古い木なので痛んできたので、薬をやっていたが枯れてしまったので燃やしてしまたんじゃ。残念だった。』

僕は友達と森の中の動物と若い木がどうなったのか心配になった。
『ねぇ、みんなどうしているのかなぁ。』
『森の中の動物達が引越しの準備をしていたので、今は新しい森で、みんな仲良くしていると思うよ。』
『そうしているといいんだけどね。』
『きっとそうだよ。』
『みんなに会えた小さくて大きな森は無くなったけれど、新しい森の場所を教えてくれる約束をしたので、きっと約束を守ってくれると思うよ。』

僕達はおじいちゃんが大事にしている盆栽がたくさん置かれている所で、エンピツを持って、小さくて大きな森を毎日探した。
『たくさんの動物達がきっと約束を守ってくれるよね。』
『そうだね、きっと約束を守ってくれるよね。』

おじいちゃんの大切な盆栽という植木が枯れてからずいぶん日にちが過ぎたが、僕達の小さくて大きな森で会った動物達からの連絡はまだ無い。
そして、僕も友達も動物達のことを忘れてしまっていた。

僕達の小さくて大きな森(6)

2020-06-22 07:18:35 | 童話
次の日、僕達の小さくて大きな森の盆栽を、おじいちゃんが大事にしている花壇の、一番奥の安全な場所に置いてあるのを見つけた。
『お~い、有ったよ、僕達の小さくて大きな森が。』
『本当だ、良かったね。』
『また、二人一緒に入って行くよ。』
『いいよ。』
また二人でエンピツを持って植木に近付いて行った。
『うわっ。』
『うわっ。』

僕達は森の中に入って行くと、多くの動物が集まっている広場に出た。
『みんなで何をやっているのかなぁ?』
『何をやっているのかね。』
『ゾウやキリンもいるし、カブトムシやクワガタもいるよ。』
『本当だ、チンパンジーやカピバラもいるよ。』
『やぁ、人間がやって来た。』

『みんなで何をやっているの?』
『相談しているんだよ。』
『みんな僕達とお話しができるの?』
『うん、みんなお話しができるよ。』
『みんなで何の相談をしていたの?』
『この森からの引越しを相談しているんだよ。』
『どうして引越しをするの?』
『この森はね、すごく年を取ったので、みんなで遠くへ引越しをするんだよ。この森が生まれ変わるのには永い時間がかかるので、それまでのあいだ、若い木も連れてみんな引越しするんだよ。』
『生まれ変わるのにはどれくらいの時間がかかるの?』
『何百年か何千年か分からないんだよ』
『ふぅ~ん。引越したら新しい森の場所を教えてね。』
『ああ、いいよ。』
『きっとだよ。』
『ああ、約束するよ。』


僕達の小さくて大きな森(5)

2020-06-21 07:27:20 | 童話
二人は気が付くと、森の中にいた。
『ここはどこなんだろう?』
『どこなのかね。』
『僕達は植木の中に入って行ったんだよ。』
『そうか、植木の中なんだ。』
『少し歩いて行ってみようか?』
『そうだね、サッカーボールと野球のボールを探さなくっちゃ。』

森の中を進んで行くとサッカーボールが有った。ボールはブルブルと震えないし、空気も抜けていなかった。
もっと進んで行くと野球のボールが3個有った。
『ボールが全部有ったので、もう帰ろうよ。』
『そうだね、この先の探検はまた今度にしようね。』
『さっきの所まで帰って来たけれど、どうすればいいのかなぁ?』
『入って来た時と同じように、エンピツを持っていると出られないかなぁ?』
『やってみようよ。』
『うん、やってみようね。』
『うわっ。』
ブルブル。
『うわ~~っ。』

気が付くと二人は家の庭にいた。
サッカーボールも野球のボールも全部有った。
『出られたね。』
『うん、出られたね。』
僕達は植木から森に入る方法が分かったので、次に探検する事を考えた。
森の中にはどんな生き物がいるのかなぁ?』
『カブトムシやクワガタはいるのかなぁ?』
『犬や猫もいるのかなぁ?』
『明日、行ってみようか?』
『そうだね。』