Keep Your Stick on the Ice!

カナダで出会った生きている英語

Please wear a helmet and ...

2007年04月26日 | Weblog
 いよいよ日本に帰って来た。最も嬉しいことは、合わせて2年間も離ればなれだった娘との再会、そしてこれからの生活である。さっそく自転車に乗る練習をしようと、補助輪を外して公園に繰り出した。いきなり転んで、運悪くそこにあった縁石に頭をぶつけて大泣きである。練習意欲をそがれ、汚い顔で家に戻ると「だからヘルメットをかぶらせるよう言ったでしょう」と妻が怒る。「血と汗と涙なくして乗れるようになるものか」と反論しておいたが、ヘルメットはかぶらせた方がいいかもしれない。ふと、職場のみんなからもらった寄せ書きをあらためて読んでみると、隅にChristianからのメッセージがあった。イニシャルしか書かれていなかったので今まで気付かなかったのだが、最後に"Please wear a helmet and keep your stick on the ice."と書かれている。"Keep your stick on the ice."は僕が挨拶の最後で、みんなに使った言葉である。彼は僕がその挨拶をする前にそれを書き込んでくれたはずだ。最もカナダらしい挨拶だと教えられ、このblogを書き始めた初日に、"Keep your stick on the ice!"をタイトルにした。では、"Wear a helmet."とは何だろう。僕がスケートで転んで頬骨を折ったことを言っているのか? それとも特別な意味でもあるのか。聞きたくても彼らはもう地球の反対側だ。電子メールで聞いても口調が分からないし、電話しても表情が、ビデオチャットしたって英語で説明してくれる彼らの心が読み取れない。残念ながらもう終わりである。でも確かにこれからの人生、"Wear a helmet."と"Keep your stick on the ice."が重要になってくるように思われる年男36である。僕のhelmetとstickは、それぞれAndrewとChristianに託して来たが。181回にわたって、自分のために書き綴ってきたが、けっこうな人に読んでいただいた。そんな人たちへの感謝として彼の言葉を贈ってこのblogを完了したいと思う。"Please wear a helmet and keep your stick on the ice."

I'm fit as a fiddle.

2007年04月25日 | Weblog
 日本にいる時に覚えた"I'm fit as a fiddle."という表現がある。「ぴんぴんしている」という意味だ。例によってこれもrhyme、いや正確には頭韻なのでalliterationというべきかもしれない。6日間でカナダ西部を4,000km運転し、7年前、独りで初めてカナダに来てうろうろした場所を、意図せず訪れることもでき、もう思い残すことなくカナダを去ることができる。そんな気分で"I'm fit as a fiddle."という言葉が思い浮かび、空港で"How are you?"と聞かれた時に使ってみたのだが、相手は無反応だった。それどころか、これからは、こうやって覚えた英語を試すことすらできなくなる。それはそれで残念だが、これから再び日本での新しい生活が始まる。最後は、運良く初めてのファーストクラスでのフライトだった。

They should get sacked.

2007年04月24日 | Weblog
 最後のESLで"I got sacked."という俗語を教わった。"That sucks."に似ているが、「首になった」という意味である。突然、人が解雇される場面を目の当たりにしたこともあるので、日本とは違い、こっちではこんな言葉もまじめに、それなりの頻度で使われているのかもしれない。そこで僕がそのESLでひねり出した英語が"They should get sacked."で、ここでは日本人の英語教師たちを指している。カナダに来る以前からずっと思っていたが、日本では、英語の重要性を全く理解していない、文学部英文学科を出たようなやからが資格を取り、中学校や高校の英語教育を行う。だいたい他の教科と違い、英語は学問ではなく単なる手段である。英文学科を卒業したような文学オタクの出てくる場所ではない。国際社会で実際に英語を使って活躍している人たち、あるいはそんな経験の持ち主を子供たちに接させる必要がある。日本の英語教育を根本から改善するために、現行制度の英語教師は全て首にするのがいい。そう確信を深めた3年間だった。

No way, Jose.

2007年04月23日 | Weblog
 Torontoを去り、British Columbia州、Alberta州、Saskatchewan州を独り車を運転して旅を続けている。初日から3日かけてVancouverからReginaまでドライブし、Trans-Canada Highwayを、大西洋岸のSt. John'sから太平洋岸のVictoriaまで、7,477kmをつなげるという一つの大きな夢を達成した。そしてYellowhead Highwayを東へ、Rocky山脈の麓Hintonにやって来た。McDonald'sに入って、ハンバーガーをほおばりながら雪を頂いた急峻な山々を眺めていると、近くにいた父親が子供に向かって、"No way, Jose."と言っているのが耳に入り、びっくりした。Torontoでは"No way."はよく耳にする。辞書を見ると、"Jose"を添えることもあるらしいのだが、実際に使われているのを初めて確認できた。ここは観光地だろうから、その家族がどこから来ているのかは分からないが。子供の何らかの要求に「だめだめ」と応えていたのだろう。"Jose"はスペイン語で「ホウゼイ」のように発音し、正しくはeの上にacuteが付く。例によって"way"と"Jose"がrhymeになっている。ひょっとしたら、その子の名前が単に"Jose"だったという可能性がないわけでもないが。

I am done university!

2007年04月22日 | Weblog
 もうかなり前になるが『さくら』というなかなかいいドラマがあって、今ではネイティヴによる英語の指導助手の存在が良く知られている。僕が生徒だった頃はあまり一般的ではなかったが、今の児童や生徒にとってはごく普通の存在なのかもしれない。その指導助手を採用するJETプログラムなど、もちろん僕は知らなかったが、Zachが採用されて鳥取で働いていたなどと聞き、カナダに来てからいろいろと知ることとなった。娘がsummer day campsでお世話なったToronto大学の学生Jonathanも、先日、採用が決まったとのことで電子メールで連絡をくれた。その中に"I am done university!"という一文があった。口語で"I'm done."とか"I'm done with it."とか言って、何かを済ませたことを簡単に表現することがあるが、これはbe動詞と過去分詞が組み合わされた受け身ではなく、非常に特殊な完了形である。"I'm done with university."で「大学を終える」とすることができるが、Jonathanの文には前置詞"with"がない。つまり"do"が自動詞ではなく他動詞として使われ、"university"、つまり大学での課程を目的語としてとり、それを修めるために頑張ってきたことが暗示されているような気がする。彼は日本語も勉強してきた。英文学オタクの日本人英語教師たちに囲まれ、『さくら』の主人公Elizabeth Sakura Matsushitaが体験したような苦労がこれから彼を待ち構えているだろうが、夢と初心を忘れず、頑張って欲しいと思う。

Hit the road.

2007年04月21日 | Weblog
 火曜日は、何年も前に僕らが始めたimprintingのjournal clubの、僕が参加できる最後の回で、担当は今やclubを仕切ってくれているAdamだった。15階会議室の前に行くと、どうやらまだ前の会議が終わっていないらしい。Adamがちょっと扉を開けて、笑いながら"Hit the road."と言っていたが、これはどんな意味だろう。後で辞書を見てみると、口語として「旅を始める」、「出かける」、「出て行く」という意味が出ている。どうもこれは「出て行く」の命令形のように思えるが、Adamの使い方と、それに応えて会議室から出て来た人たちの様子を見ていると、軽い気持ちで「早く出て行ってよ」と言っているような感じだろうか。原義は「旅を始める」ということなので、"When will you hit the road?"で、「例の旅はいつからだい?」という質問文を作ることができる。さて、その論文紹介終了後、Adamが「30秒したら戻るからちょっと待ってて」とみんなを待たせて出て行った。どうしたのかと思ったら、2日後にTorontoを去る僕のために、その場のみんなで食べるケーキを持ってきてくれるという粋なsurpriseだった。

All the best in your life and plans.

2007年04月20日 | Weblog
 4月18日は何ヶ月も前に自分自身で決めたTorontoで仕事をする最後の日であった。実際には最後の数日間は後片付けなどに追われて、仕事と呼べるような仕事はしていないが、とにかく給料が支給される最後の日である。午後にみんなが開いてくれた、職場でケーキなどを食べるfarewell teaではもちろんのこと、この日は多くの人と別れの挨拶を交わした。最も頭に残っている表現は"All the best!"である。辞書には「ごきげんよう」と「さようなら」という訳が書かれている。僕はほとんど使ったことがなく、あまり聞くこともなかったが、みんながこの言葉をかけてくれた。寄せ書きのカードももらった。Sherilynは"All the best in your life and plans."、それからJenniferは"I wish you all the best in the future."と書いてくれていて、"All the best!"は、この省略表現かと思わされる。直後の前置詞は"in"を使うようだ。Leeは"All the best to you."と書いてあるので、相手がくる場合の前置詞は"to"らしい。Webで検索してみると、両方の場合で"for"が使われている例も多く見受けられるが、彼女たちが僕のために使ってくれた"in"と"to"を僕も使うことにしよう。

You suck!

2007年04月19日 | Weblog
 Toronto滞在中に幸運にも野茂英雄、松井秀喜、イチロー、長谷川滋利、城島剛志といった日本人メジャーリーガーの活躍を目の前で見ることができたが、最後の最後で、松坂大輔と岡島秀樹の力投を観戦するチャンスに恵まれた。特に松坂は野茂に次ぐ大物ピッチャーであると僕は思っているので、昨年末、Boston Red Soxに入団が決まった際には、なんとかタイミングを合わせられないものかと思っていた。Red SoxファンのChristianにとっても評判の高いDice-KのToronto初登板は見逃せるわけもなく、Sanjeevら職場のMLBファンで行く今シーズン初観戦と僕の送別会を兼ねて、30人ほどでManny Ramirezが守るleft field側の一角を陣取ることになった。こっちはToronto Blue Jays側の応援席で、"DICE-K U SUCK"などというプラカードが掲げられていた。これは正しくは"Daisuke, you suck!"と書き直した方がいいだろうが、「へたくそ!」という感じだろうか。以前、"That sucks."で紹介したことがあるが、ものでなく人が主語になると、スポーツなどでのできが悪いことを表せる。"suck"は動詞だから、これはれっきとした第1文型の英文である。去年、Seattle Mariners戦でたまたまChristianらに会ったことがあるのだが、そのとき彼は目の前にいるイチローに、"Ichiro, zenzen dame!"と知っている日本語で叫んでいたが、これが"You suck!"に相当するだろう。そんなプラカードのためか、6回10奪三振のなかなかの好投だったものの、押し出しなどもあり、Dice-Kは敗戦投手となった。

She said she would not miss it for the world.

2007年04月18日 | Weblog
 Taraの住むOntario州Kitchenerは、以前はBerlinと呼ばれていたように、恐らくドイツからの入植者で栄えた市で、Torontoから401号線で南西に約100kmほど行ったところにある。すぐ隣には大学のあるWaterloo、Mennoniteと呼ばれる人たちが住むSt. Jacobsがあり、僕も訪れたことがある。もともとnaturopathになるためTorontoで学校に通っていたのだが、卒業して、資格を取得し、去年からnaturopathとしてKitchenerで働き始めた。かわいそうにChristianとは離ればなれである。金曜日の僕の送別会はもちろんTorontoでやったわけだが、Christianは"She said she would not miss it for the world."と言っていた。"not for the world"で「決してしない」という意味である。本当にTaraがそう言ってくれたのかは不明だが、全く嬉しいことである。金曜日は本当に来てくれたし、土曜日はお別れのbig hugをした。きっと、そう言ってくれたんだろう。

Could I have the honour of taking your photo?

2007年04月17日 | Weblog
 金曜日の送別会の時、カメラを持っていたDavidが、TaraとChristianに向かって、"Could I have the honour of taking your photo?"と言って、2人の許しを得てから2人の写真を撮っていた。これは逐語訳すれば「栄誉をください」などという仰々しい表現になる。実際、その時、僕には直感的にすごい表現に感じられて耳に残ったのだが、後で辞書を見てみると"May I have the honour of doing?"で「何かをしてもよろしいでしょうか」という意味であることが書かれていた。ぶっきらぼうなイメージのある米国人が使ったから、僕にはとても小じゃれた言い回しのように思われたが、Davidの顔はけっこうまじめだった。Texas出身の彼は、確かに、一般的な米国人のイメージからはかけ離れているかもしれない。僕もいずれ、機会があればこんなことを言ってみたいものである。彼は"honour"ではなく、"honor"のつもりで言っているはずだが、ここではカナダらしく"honour"と綴ってみた。

Knock on wood.

2007年04月16日 | Weblog
 僕のCanadian Prairiesへの旅行計画に対し、Julieを除く誰もが「そんなところにいったい何がある?」とか「何が面白いのか?」という怪訝な態度を示していた。Steveには事後報告をしたのだが、"Prairies?!"という予想通り驚きの反応だった。しかし、そのすばらしさを下手な英語で語る必要はなく、300枚近く撮って来た写真のうち、きれいなのを何枚か見せてあげればいい。それだけでみんなが感動してくる。Laylaにも写真を見せ、「将来機会があったらぜひ行くといい」と勧めると、"Knock on wood."と言って机をコツコツと2度叩いた。これはESLで習ったことがあるが、おまじないのようなもので、この場合は、未来のことを述べた後に「うまく行けばそうなったらいい」という軽い意味を持つ。何かしら良からぬことを言った後に「嫌なめに遭わないように」という意味でも使わる。辞書には「くわばらくわばら」とも出ていた。最近、全く聞かないおまじないだが、確かにこの"Knock on wood."に近いかもしれない。Jenniferは「叩く木がない時、おどけて自分の頭を叩く人もいる」と言っていた。

Give me a big hug!

2007年04月15日 | Weblog
 Toronto最後の土曜日は散髪に行って、職場へ最後の実験のための作業をしに行った。そしてbenchと呼ばれる自分の実験台をきれいに片付けた。この9年間、DNAを扱った研究をずっと続けてきたが、DNAそのものを操作するような仕事はこれから数年はしなくなる。ひょっとしたらもう一生しないかもしれない。そうなればこれが本当に最後の実験かと思うと、感慨深いものがある。そんなことを思っていると、昨夜の送別会に来てくれたTaraとChristianが現れた。そして2人はすぐに帰って行ったが、Taraは僕に「これでお別れ」と、なんと両腕を大きく広げて構えている。僕がびっくりしてうろたえていると、"Give me a big hug!"と言うので、勇気を出して歩み寄ってしばらく抱き合った。しかもけっこう強く。僕も倣って強く抱き返した。もちろん、横にはChristianがいる。これが女同士、あるいは女と男の別れ方である。男同士はしないらしい。

I'm slowing down.

2007年04月14日 | Weblog
 おとといは隣のインド人家族に招かれ、カレーなどをごちそうになった。きのうは僕に加え、日本人8家族が集まってくれて中華料理屋で送別会。そして今日は職場のコアメンバーであるChristian、Andrew、Layla、および彼らのsignificant othersが集まって日本料理屋に繰り出した。僕の送別会といっても、参加者への連絡から、予約から何から何まで僕がやる。会の最中も、すき焼きと鍋が中心だったので、もちろん役に立つような人は皆無で、僕自身が鍋奉行にならざるをえず、予想外に忙しかった。注文も全て僕が取り仕切り、鮨は一切頼まず、日本のごく普通の家庭や居酒屋で出てくるような料理を頼んだ。僕と仲のいい奴らだから、僕の意図を理解してくれ、みんな大いに楽しんでくれたようだった。お腹いっぱいの状態は英語では、お腹ではなく自分自身を主語にして"I'm full."と言うが、そこまではいかない状態、つまり"I'm almost full."の時は、"I'm slowing down."と言うようだ。僕の辞書には載っていないが。"They're slowing down."になったらようやく僕が自分のお腹を満たす時である。そして僕も"I'm slowing down."になり"I'm full."、そして最後はデザートでなく熱燗を頼んで"I'm toast."となった。

Apple has to iron out the kinks in Leopard.

2007年04月13日 | Weblog
 Windows Vistaが発売されてしばらく経つが、先日、Mac OS Xの次バージョンであるLeopardの発売延期が発表されたらしい。そんなことを聞いたChristianは、いつものようにMacユーザである僕を"pick on"してくる。今や職場のほとんどがWindowsユーザで、時には集中攻撃を受ける。それはともかく、Christianは"Apple has to iron out the kinks in Leopard."と言っていた。Appleとはコンピュータメーカで、Leopardはその商品名の一つであるが、いつものように「それは何だ?」と聞き返すと、「今日の表現だ」と言われた。辞書で調べてみたら"iron out the kinks"または"work out the kinds"で「問題点をうまく処理する」と書かれている。どうやらこれも口語である。見たことも聞いたこともなかったが、周りにいたnative speakerたちはもちろん両方とも知っていて、「確かにそれはいい表現だ」というような顔をしていた。そんなstylish Englishは、この例のように僕の気付かないところで溢れ返っているのだろう。

Heads up!

2007年04月12日 | Weblog
 ソフトボールの練習をやっている時、フライが上がると"Heads up!"とみんなが叫ぶ。上からあの固いボールが落ちてくるから気をつけろということであろう。何が主語で何が動詞なのか良く分からないが、意味は取れる。僕はカナダではやったことがないものの山登りが好きなのだが、落石の場合など、注意を喚起する時にこの"Heads up!"は使える。いざという時にとっさに口から出るように練習しておかねばならぬ。カナダで「危ない!」と叫んでも分かってもらず、手遅れになりそうだ。辞書を見てみると"Heads up."はもっと広く使えるようだ。実際、Carrieがみんなにこんなメールを送って来た。"Heads up everyone...Maryam is off with the chicken pox. Hopefully everyone had them as a kid!" このように大人になってから水疱瘡や帯状疱疹にかかる人もけっこういるらしい。職場復帰後、彼女の性格もあるであろうが、ちょっとした笑われ者になっていた。