傘が苦手なんです。
片手がふさがって煩わしいし、使っていない時もかさばります。畳むときは手が濡れてしまうし。
左手にはスマートフォンを、右手にはショルダーバッグの持ち手をそれぞれ持ったり持たなかったりすることで手の空いている状況がつくれるのに、
傘を持っているときは片手は必ず常時塞がり続けた状態を受け入れなければならない。
僕が傘というものに昔からあまり期待していなかったからというのもあるのでしょう。
雨の日の大人は皆傘を差す。あれは雨から濡れない大人の知恵。
そう期待して握った傘は幼子の手には重く、肩に担ぐように保持していました。
頭は濡れなかったが、脚は濡れる。傘の持ち方かもと思いましたが、一向に改善されない。成長して、肩にかけずまっすぐ保持できるようになった今も。
これは、傘の機能に期待しすぎていたのだと思われます。
現状、自分が傘を使うと頭部と上半身はある程度雨から守られます。
顔に雨粒が当たらなければ不快感はかなり減ります。
また、自分が傘を厭うのは、身近に駅があり、駅で降りた後は地下街を歩くことが多く、傘が有効な範囲が狭いからです。
その狭い範囲だけで傘を使って後は荷物になるだけならば、多少濡れようが初めからもっていかないほうが良い。そういう判断を下すことが多くなりました。
その結果、傘を持ち歩くということが僕の習慣から薄れました。傘を持ち帰るという習慣もまた。
つまり、僕が「珍しく」傘を持ち出すと、その「珍しさ」ゆえに傘を高確率で忘れる/無くすのです。
店舗の中など歩き回っているうちに、自分が傘を持ってきていたことなどすっかり忘れてしまって。
そうはいっても、傘は偉大な発明です。顔面を濡らさないことは先述の通りかなりの不快感を軽減してくれます。
くるくると傘を降るときの水のしぶきも、楽しくないわけではありません。
フィクションでよく言及される、ゴルフの素振りの仕草をみかけるのも楽しい。
大きく振り上げてストップ。地面のボールを凝視する。コンディションは雨、風は南東から。
決意の間の後、渾身のスイングが振り抜かれる。
顎を砕かれた男は思わず呻きながら尻をつく。既に第二打のスイングが始まっている。クラブを見上げる顔面にナイスショット!
2打でグリーンオン、ミドルホールならバーディが狙えます。
グリーンは聊か左右に芝目を揺らしています。バーディを取るなら強気のパッティングが必要です。
鋭い視線をピンに向けています。風に揺れる芝目の隙間、これしかないラインを探しています。
ラインが見えたようです。クラブが低く上げられました。ピンまっすぐ。
渾身の狙いと力で振り下ろしたパターは見事ピン中央をガツーンと捉えホールアウト。
お見事でした。僕が思わず拍手をすると、ゴルファーは次のホールに向かう目でこちらを見たので。
「キャディをさせていただいても?」
「助かります。」
ゴルファーの傘を自分の傘と束ねて持ち、笑顔を交わします。
「次のホールはどちらでしょうか?」
「ちょうどカートが来ました。あれに乗りましょう。」
僕はうなずいて乗り込みました。次のホールはすぐそこ。今度はどんなプレーを見せてくれるのだろうか。
こんな刺激的なわくわくと出会えるのなら、傘もなかなか悪くないと思えるようになりました。
片手がふさがって煩わしいし、使っていない時もかさばります。畳むときは手が濡れてしまうし。
左手にはスマートフォンを、右手にはショルダーバッグの持ち手をそれぞれ持ったり持たなかったりすることで手の空いている状況がつくれるのに、
傘を持っているときは片手は必ず常時塞がり続けた状態を受け入れなければならない。
僕が傘というものに昔からあまり期待していなかったからというのもあるのでしょう。
雨の日の大人は皆傘を差す。あれは雨から濡れない大人の知恵。
そう期待して握った傘は幼子の手には重く、肩に担ぐように保持していました。
頭は濡れなかったが、脚は濡れる。傘の持ち方かもと思いましたが、一向に改善されない。成長して、肩にかけずまっすぐ保持できるようになった今も。
これは、傘の機能に期待しすぎていたのだと思われます。
現状、自分が傘を使うと頭部と上半身はある程度雨から守られます。
顔に雨粒が当たらなければ不快感はかなり減ります。
また、自分が傘を厭うのは、身近に駅があり、駅で降りた後は地下街を歩くことが多く、傘が有効な範囲が狭いからです。
その狭い範囲だけで傘を使って後は荷物になるだけならば、多少濡れようが初めからもっていかないほうが良い。そういう判断を下すことが多くなりました。
その結果、傘を持ち歩くということが僕の習慣から薄れました。傘を持ち帰るという習慣もまた。
つまり、僕が「珍しく」傘を持ち出すと、その「珍しさ」ゆえに傘を高確率で忘れる/無くすのです。
店舗の中など歩き回っているうちに、自分が傘を持ってきていたことなどすっかり忘れてしまって。
そうはいっても、傘は偉大な発明です。顔面を濡らさないことは先述の通りかなりの不快感を軽減してくれます。
くるくると傘を降るときの水のしぶきも、楽しくないわけではありません。
フィクションでよく言及される、ゴルフの素振りの仕草をみかけるのも楽しい。
大きく振り上げてストップ。地面のボールを凝視する。コンディションは雨、風は南東から。
決意の間の後、渾身のスイングが振り抜かれる。
顎を砕かれた男は思わず呻きながら尻をつく。既に第二打のスイングが始まっている。クラブを見上げる顔面にナイスショット!
2打でグリーンオン、ミドルホールならバーディが狙えます。
グリーンは聊か左右に芝目を揺らしています。バーディを取るなら強気のパッティングが必要です。
鋭い視線をピンに向けています。風に揺れる芝目の隙間、これしかないラインを探しています。
ラインが見えたようです。クラブが低く上げられました。ピンまっすぐ。
渾身の狙いと力で振り下ろしたパターは見事ピン中央をガツーンと捉えホールアウト。
お見事でした。僕が思わず拍手をすると、ゴルファーは次のホールに向かう目でこちらを見たので。
「キャディをさせていただいても?」
「助かります。」
ゴルファーの傘を自分の傘と束ねて持ち、笑顔を交わします。
「次のホールはどちらでしょうか?」
「ちょうどカートが来ました。あれに乗りましょう。」
僕はうなずいて乗り込みました。次のホールはすぐそこ。今度はどんなプレーを見せてくれるのだろうか。
こんな刺激的なわくわくと出会えるのなら、傘もなかなか悪くないと思えるようになりました。