きた産業のスローなブログ

会社のトピックスや出来事を、「スロー」に記録・発信するブログ。文章は、当社の各部門のスタッフが書きます。

ボルドーからBonjour! ヴィニテック展示会

2014年12月19日 09時48分48秒 | Weblog

前回のボルドー報告に続き、今回は「ヴィニテック展示会」のトピックスです。ヴィニテックは、ボルドーで2年に1回行われる、世界最大のワイン醸造機器・ワイン資材・ブドウ畑農業機器の展示会。指折り数えると私がこの展示会に来るのはこれで連続7回目。当社が輸入販売している多くのパートナー企業が出展しているので、仕事のコミュニケーションの上で大変好都合なのです。


当社はキャップ業なので、まずワイン栓から。「コルク、合成コルク、スクリューキャップ」の3大ワイン栓のトピックス。


<コルクは→スクリューキャップに対抗> 
(ポルトガル)アモリム社の新製品、栓抜き無しであけられる「へリックス」。コルク栓にオスネジが、ガラスびんの壜口内側にメスネジがあって、手で捻って開けられる(びんはOI社の製品)。リシールも容易。「コルクのスクリュー化」、あるいは「スクリューキャップ対抗策」といえるかもしれません。



<合成コルクは→天然コルクに対抗>
合成コルクで圧倒的シェアの(ベルギー)ノマコルク社の新製品「セレクト・ビオ」。今までのノマコルクはよく見ると合成コルク(プラスチック)であることがわかりましたが、これは私が見ても天然コルクとの判別が困難。「合成コルクの天然コルク化」戦略ですね。サトウキビから作ったバイオプラスチック製で、カーボンフットプリントゼロを謳っています。もちろん酸素透過度が選べます。発売は来年2月から。



<スクリューキャップは→合成コルクに対抗>
 30*60サイズのワイン用スクリューキャップは(フランス)アムコア社の「ステルヴァン」が有名ですが、ここでは(イタリア)グアラ社の製品を紹介。グアラは世界各国に工場を持ち、ワインキャップの世界生産量はアムコア以上ということです。で、写真は、グアラの酸素透過度別の3種類のライナー(のキャップとパンフレット)。アムコアのステルヴァンにも4種の透過度が選べます。「酸素透過度の選択肢バリエーション」は合成コルク陣営が仕掛けた戦略ですが、スクリューキャップでも対抗せざるを得ない状態です。


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<酸素関連→デュブルデュー教授> 
キャップと酸素透過度に続いて酸素の話。これはMO(マイクロオキシジェネーション=微量の酸素をワインに送る)装置の(イタリア)パルセック社のブースで飲ませてもらったワインで、もちろんMO使用の見本。ラベルの下をよく見ると「デゥニ・デュブルデュー」(ボルドー大学教授)とある。デュブルデューさんは「白ワインを酸素遮断で醸造」することで有名だが、「赤ワインでは酸素を補給」していたとは知らなかった。2012年とは思えない、まろやかなタンニンでした。


<デュブルデュー教授→ディエメ(当社取り扱いの機器紹介1)>
デュブルデューさんが自分のシャトーで酸素遮断で搾るために使っているプレスは、(イタリア)ディエメ社の「ニュートラル」。当然ながらブーハーと比較検討した上で、ディエメを選択したそうです。不活性ガス環境の搾汁プレスでは、日本にはブーハーが導入されていますが、ディエメのシステムはタンク下部からジュースを取るのでフリーランをフリーランとして集められる構造であることが大きな違いであると思います。(ブーハーはジュースを上部中心軸まで上げて集める。)



<当社取り扱いの機器紹介2:ラベラー> 
2年ほど前から当社で取り扱っている(フランス)CDa社のブース。品質と価格でずいぶん販売台数が増えたようで、毎回ブースが大きくなっています。先月はアメリカの展示会に出展していたそう。すでに日本でも、数台を納入し、好評をいただいています。


<当社取り扱いの機器紹介3:ジロパレット> 
壜内二次醗酵のスパークリングのための動壜機。小規模生産ならピュピトルで対応できますが、5,000本以上の生産をお考えならジロパレットをお勧めします。日本にも数台を納入し、好評をいただいています。ジロパレットの左は営業担当のマックスさん、エノログの資格を持つ。



<当社取り扱いの機器紹介4:ヴァランタン社> 
壜内二次醗酵のスパークリングのためのネックフリーザー、デゴルジュマン、ドサージュ、コルカー、ワイヤーフーダーなど一連の機械を製作する老舗。ヴィニテックで展示もしていたのですがこれは後日、シャンパーニュ地方にある同社を尋ねたときのスナップ写真。アジア女性は国際営業担当のリンさん。



<興味深かった機械>
(フランス)アモス社のブースにて。ブドウを粒の大きさで選別する新製品の装置。粒が小さいのと大きいのでは、1粒あたりの果肉と皮・種の比率が異なって、出来るワイン品質が異なる。これは、設定した幅より小さな粒をより分けるという装置。大きな粒と小さな粒では、実際に醸造するとワインの味わいは大きく異なるそう。(参考情報:日本にもドイツのアモスの除梗破砕機が多く存在しますが、この「ドイツのアモス」は今はなく、「フランスのアモス」と「イタリアのアモス(デフランチェスキ)」が、それぞれ事業や名称を引き継いでいます。)



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<おまけ:リレにもロゼ>
 
フランスでは近年、ロゼワインが大流行であるのは関係者の知るところ。「リレ」は、知る人ぞ知るボルドー名物のリキュール。従来は「赤」と「白」でしたが、リレにも「ロゼ」が新登場していました。これは、ヴィニテック展示会場内のレストラン前のリレ・ロゼの看板。もちろん、みなさん、昼からワインを飲んでいます。


<おまけに関する参考資料:「ロゼが23%in France」> 
これは、ヴィニテック展示会でなく、別の機会にパリのSOPEXA(日本のJETROのような組織。しかし一足早く完全民営化されている)で聞いたフランスワイン事情のスライドの1枚。「フランスの国内消費は、赤60%、ロゼ23%、白17%」なのだそう。白よりロゼが多いとは!!? ロゼのシェア増加には、ちょっと驚かされます。




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<ワインとは関係ないですがフランスで驚いたこと→キャップがなくなる?> 
最後にこれは、エールフランスの待合室で見つけたミネラルウォーター、エヴィアン。「キャップ」がなくなって「ヒートシール蓋」になっている。(左の2本がヒートシール蓋、右は通常のキャップつきエヴィアン) エヴィアンは世界ブランドだけにインパクトが大きい。ミネラルウォーターのキャップが将来なくなっていくとすれば、数が多いだけに世界のキャップ産業に与えるインパクトはとても大きい。PETボトルでペナペナの薄いものが流通し始めたときには懐疑的でしたが、結局主流となった事例が示すように、省資源の流れは止められません。



喜多常夫(代表取締役)


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