Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

サンタンデールプライベートバンキング -カードのアクティベーション-

2015年02月16日 | グローバル投資


 Santander Private Banking(旧アビーインターナショナル)のカードの更新がまた例によって来た。口座作ったときはこれでオフショア口座ができて日本が崩壊しても何とかなるかもなんていう妄想で満足していたが、セキュリティのせいなのか、結構めんどい。カードの有効期限が2年なんですぐに新しいカードが送られてくる。しかも、日本の銀行と違ってカードは受け取っただけではだめで「アクティベーション」というプロセスが必要になってくる。これは以前にブログにも書いたのでそれを参照してください。

 アクティベーション自体はそれほど難しいことはないのだが、いちいち国際電話をかけなくてはならない。英国人だから、わかりにくい英語ではないのだが、たまにアクセントが強い人だったりするとこれがさらに面倒になる。普通のクイーンズイングリッシュだったらいいのだが、スコットランドアクセントだったりするとこれがよくわからない。(実際、強いスコットランドなまりは英国人でもわからないという話だ。) オフショア口座ではないが、香港にHSBCの口座もあるし、それで十分なのだが、今となってはなんでアカウントオープンしたんだろうと自分で思ってしまう。まだ死ぬ年でもないので、それほど考える必要はないのだが、相続で海外口座があるとかなり面倒らしい。でも、自分は関係ないし。(その時は自分は死んでるし) HSBCの口座と違ってほとんど利用していないし、解約しておくか。少し迷う。

 因みにアクティベーションの時にはこんなやり取りがあった。(英語です)

オペレータ 「サンタンデールプライベートバンキングです。何か御用でしょうか」
私     「新しいカードを受け取ったのでアクティベーションをお願いします。」
オペレータ 「わかりました。しばらくお待ちください。カード番号をどうぞ」
私     「カード番号は ****-****-****です。名前は *** ****です。綴りは******です。」
オペレータ 「生年月日をお願いします。」

(アクティベーションの際にはセキュリティ対策として事前に登録しておいた個人情報を確認する。必ずしも生年月日をきくわけでなく、生まれた場所とか他の質問をする場合があり、それはオペレータ次第)

私     「** ** **です。」
オペレータ 「ありがとうございます。テレホンバンキングパスのコードの3番目と7番目を教えてください」

(事前に登録してあるテレホンバンキングパスはインターネットバンキング用のパスワードと異なっているので間違えやすい。前回はテレホンバンキングパスを忘れて、少しトラぶった。)

私     「3番目は*、7番目は*です。」
オペレータ 「ありがとうございます。受け取ったカードはreplacement cardですか」
私     「いえ、renewal cardです。」

(Replacement Cardとはつまり紛失などで新しく受け取ったという意味、私の場合は紛失でなく、期限が切れて新しいカードが来たことからRenewal Cardと答えた。Replacementだと、新しいパワードやPINを設定しなくてはならないのでオペレータが聞いてきたと考えられる)

オペレータ 「わかりました。受け取ったカードのstart dateを教えてください」
私     「....... あっ、March 15です」
オペレータ 「新しいカードは3月からご使用ください。それまでは古いカードが使用できます。継続カードですのでパスワード、PINともに従来のものをご使用ください。」

(オペレータがStart Dateを聞いてきた時は一瞬理由が分からなかったが、そういうことだった。海外とのやり取りではこういう、判断に困る質問で一瞬フリーズしてしまうことがよくある。)

私     「わかりました。ありがとう」
オペレータ 「ありがとうございました。」

 何年かに一度は海外投資ブームがやってきて、中には現地まで行って口座をオープンする人がいる。私は香港もサンタンデールの口座もすべてメールでやり取りして開設した。よくわからないのはわざわざ現地に行って、少額のお金を入れたり、ほとんど意味のないことをする人たちがいる。飛行機代のほうが高いのに。それとこれは私も反省するのだが、使うつもりがないのに開設する場合。ほんと勿体ない。一番もったいないと思うのは、代理人を雇って口座開設する人。お金払うだけ無駄。わからないのならやらないほうがいい。やっても多分利用しないのは確実。

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HSBCの新型セキュリティデバイス

2014年03月30日 | グローバル投資
インターネットバンキングでのフィッシング詐欺など日本でも問題になっているが、海外でもオンラインバンキングでのセキュリティ強化は問題になっている。HSBCでは従来からPINコードの自動生成ができるデバイスを配っていたが、今回から新型のデバイスに変更された。


 ① 変更方法は至って簡単だ。まず、新しいデバイスの電源を入れると新規パスワードの入力を求められる。エンターキーの表示がないが、左下の四角ボタンを押せば入力できる。確認の為に再度パスワードの入力が求められ同じく入力してエンターを押すとデバイスにパスワードがかかる。
 ② 次にインターネットバンキングにログオンする。旧来のデバイスでログオンするとHPに新型デバイスのアクティベーションをしてくれというメッセージがでているはず。日本人はなじみが薄いアクティベーションだが、新しいデバイスを受け取っただけでは使用できないので注意が必要。どうも日本人は安全意識が薄いらしく、なんでアクティベーションなんて面倒なことをするのかと思っている人が多いと思うが、本人であるという証明なので必要。
 ③ メッセージに従ってアクティベーションページに移ると新型端末のシリアルコード(端末の裏に書いてある数字。説明書には表記されていないので戸惑う人がいるかもしれない。)を入力する。さらに新型端末の電源を押し、パワーが入ったらもうパスワードを入力してエンター、さらに一度電源ボタンを押すとPINが表示される。これを入力。それが終わったら古い端末の電源を入れてPINを入れる。アクティベーションには旧型・新型の両方からのPINが必要なことに注意。まあ、ちゃんと説明書にかいてあるからそれに従えばOK(但し、英語)


 旧来のデバイスと比較すると電卓型になっているのだが、なにが変更されたかというとデバイスにパスワードロックがかけられるという点が新しい。PINの自動生成でセキュリティを高めても、第三者にデバイスを盗まれたら元も子もないという発想なのだろう。言ってみればパスワードにパスワードをかけるようなものだが、それだけにリスクが減少するならば歓迎することなのだろうか。日本でもジャパンネット銀行はデバイスの無料配布を行っているが、他の銀行は有料がほとんどであまり浸透していない。フィッシング詐欺を防止するという観点からはユーザーに無料に配布するのが望ましいが、コスト面からの問題が大きいと思われる。せめて残高の多い預金者向けには無料配布した方がいいと思うが日本の金融機関の腰は重い。因みに日本で電子デバイスによるPIN生成は利用可能だが、HSBCのようなさらに強固なパスワード管理をしている金融機関は日本には存在していない。

 自分には関係ない。もしくは自分は大丈夫だと考えている人ほど詐欺にあいやすい。振り込め詐欺にあうほとんどの人が「自分はそんなものに引っかからない」と考えている人が大半らしい。まあ、日本人特有の「根拠のない自信」というやつだが、どうも日本人は危機意識が足りない。

 フィッシング対策協議会という団体が発表しているフィッシングレポート2013によれば2012年3月に成立した不正アクセス防止法成立後の方がトロイの木馬型のような悪質なウィルスが増加している。特に引っかかりやすいのが無料ソフトというやつでスマートフォンのアプリなんかで引っかかりやすい。最近はユーザーもスマホによる被害を警戒してアプリで個人情報を送付するアプリなのかどうかをチェックするユーザーは確かに多くなったが、騙そうとする人間はさらに巧妙だ。例えば、無料のゲームアプリをダウンロードしたとする。インストールする際にはアプリが個人情報を送信する機能がないと安心してインストールしても、しばらくたってアプリのアップデートをしたら個人情報を送られてしまったというのもある。インストールするときに注意しても、アップデートで新規に個人情報を送る機能を付加してもユーザーに気が付かれにくい。


 上の表は国家公安委員会・総務省・経済産業省がまとめた「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」というレポートから抜き出したものだが、5年前と比較して認知件数が減少しているのがわかる。これは事件が減少しているのではなく、ユーザーに認知されずに不正行為が増加しているという可能性がきわめて高い。仮に自分の銀行口座が被害に合わなくても、自分のパソコンが詐欺グループの踏み台にされている可能性だってある。つまり、経済的な被害はないが犯罪の片棒を担いでいる可能性だってある。気を付けるのも大切なんだが、なによりも「タダより高いものはない」と考えていたずらに無料ソフトに頼ることをしないのが重要だ。とはいってもタダと聞くと心躍る日本人がなんと多いことか。

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HSBCの新型キャッシュカード

2013年04月01日 | グローバル投資


 HSBC香港で直接口座を開設した人はすでに届いていると思うが、新しいATMカードがメールで来ているはずだ。(写真) 個人名と番号は消してあるが、こんなカードがきている。一番の変更点は磁気カードであった従来のカードがICチップになった点だが、それだけで特に気が付かない人がいるかもしれないが大きな変更点がもう一つある。

 それは新カード切り替えに伴い、香港以外の海外ATMの取引可能額がゼロにリセットされる。つまり、手続きしないと国内でのATM利用に制限がかかることだ。「聞いてないよ!! そんなこと!!」と思う人がいるかもしれない。(個人的には意外に多くの人が該当するのではと思っている) でも、これは昨年、HSBCから手紙が来ていてちゃんとアナウンスされている。



 私の場合、昨年手紙が来た時、「また、しちめんどくさいことをやりやがって」と思ったが、よく見ると次の年の2月中までなら、インターネット経由でリミット変更できると書いてある。早速、探すがよく分からない。悪戦苦闘してようやく変更完了。これで問題なし。ATMは実は使っているので制限されると困る。もしかしたら、HSBCに口座を作って、そのままほったらかしにしている人がいるのかもしれない。海外口座開設ブームで自分でも開設したが、いざ開設してみると結局使い道がなかったり、単に開設して安心してしまった人なんかが多いような気がする。

 もし、あなたがその部類なら少し考えた方がいい。多分、すでにインターネットバンキングもできなくなっている。(12か月間インターネットバンキングにアクセス記録がないとネットバンキングのパス自体凍結されている。) ATMも日本で利用できなくなっている。もし両方該当するなら、香港に電話してネットバンキングのパスの凍結の解除の手続きとATM利用制限のリミット変更の手続きをしなくてはならない。というか、口座開設してから単にキャッシュを置きっぱなしにしていて、ネットバンキングもATMも利用せずに1年以上も経過している人ということだから、多分、海外口座もつ必要がないかもしれない。手紙には2月までと書いてあったが、実は今でも限度額の変更はウェブでできるのだが、これがまた少しわかりにくいところにある。ログインすると(インターネットバンキング自体ロックされている人はまず解除してもらわなければならない)、上部のメニュータブに「MY HSBC」というのがあり、さらに下のメニューにATM限度額を変更するメニューがあるのでそこをクリックして変更することになる。



 来年の確定申告で海外口座の資産報告義務が課せられるが、「私は早めに海外に口座開設してあって良かった」などと考えている人は甘い。国税に調査能力はあまりないが、ゼロではない。海外に現金を直接持ち込んで口座入金(ハンドキャリー)すればオッケーみたいな人がいるが、その人はそのお金をどう使うつもりだ?海外の不動産を購入する? でもその不動産収益(賃貸用を購入すると仮定して)はどう利用? また海外口座に入金してオッケーみたいな? でも、じゃあそのお金は? 結局お金を何に使いたいのだろうか。墓場まで持っていきたいのだろうか。リターンを上げるのは重要だが、最終目的ではない。そのリターンをどう使うかが重要なのだ。外国口座の資産報告は当然行います。だってやましいこと何一つしてないもの。中には恐れなくても良い人が極度に恐れているが、報告したから課税されるということはない。(無論、脱税をしていないという前提で) 報告の最大の目的は相続税の補足であって、それをもって脱税の調査の利用を国税は考えていないはず。つまり、あなたが死んだあとに利用するのが最大の目的なのだ。
(但し、過去の納税記録と照らしてあまりにも不自然な資産形成を海外でしていると認められる場合は別。)

 でも、よく考えてみればあなたが死んだ後に利用される報告書をあなたが恐れるというのは滑稽なことだ。いや、むしろ、あなたは死ぬ前にその資産を何かに使おうとは思わないというのが滑稽だ。それは財産を墓場に持っていきたいという意思表示だから。しかもそんなことは不可能なことだと自分で分かっているのにそれを行っている。滑稽なことだとは思わないか? 
 
 ここは冷静になって考えてみよう。ではもう一度改めて聞こう。あなたはどんなことに自分のお金をつかう?

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近況と最近の投資(3) - ブラジル株投資

2011年04月06日 | グローバル投資
 ブラジルの通信業界を簡単にレビューしてみよう。なお、正確性に努めたつもりだが、それを保証できないことをあらかじめお断りしておく。また記事で銘柄に言及したとしても当該銘柄の投資を推奨するものでは決してありません。そんな方がいるとは到底思えないが、これを投資判断に利用して損失が発生しても当方では責任は負いかねます。単なる参考として考えてください。というか私のブログの記事はすべてそうです。

 まずは簡単なところから押さえておこう。マクロ的には新興国と言われるブラジルだが、そのイメージと実態がどの程度になっているのかを見ておく必要がある。当たり前だが携帯などの通信インフラを利用するには中産階級などの比較的高めの所得階層の成長が必要である。ブラジルの今の所得階級別グラフは下のようなグラフになる。



 図は所得階層をAからEまでの5段階に分けてその比率を表したものだ。なんでAとB、DとEを合算しているのかよくわからないが、富裕層、中間層、低所得者層の3つに分けられているとみることができる。それでいけば2005年時点では低所得者層が51%に対して中間層が34%と国民の半数が低所得であったのに対して、2009年時点では中間層が49%とほぼ半分弱まで増加している。これは国民全体の購買力が増加していると単純に解釈してもよいだろう。家計の平均所得の数字だが、中間層が1277レアルとなっており、単純に50円をかけると61350円。これが年間なのか月間なのかよくわからない。注釈を見ても書いていない。仮に月間ベースで考えると766,000円。なんだかなあ、こんな所得が低いとは思えないのだが。千単位なのかと思ったが、かりに年間で千単位とすれば127万7千レアルとなって63百万円。これは高すぎだろう。もしかしたら、週単位の数字じゃないかと思うんだが。そうすると年間332万円となるが、日本人的にはいい線いっているように思えるが、国民所得考えたらやっぱ高すぎ。調べてみたらブラジルの2010年の1人当たりのGDPは7566レアルとなっており、やはり76万円が正解だと思う。ブラジルに行ったとき感じたのは物価水準は日本よりは確かに安いけれど、べらぼうに安いという印象は全然なかった。現地の人に聞いた話ではブラジルでは実際に給与は円ベースで考えるとかなり安いのだが、雇用主は従業員に生活のための食費を別途補助する仕組みがあって、給与が低くてもやっていけるという話をきいた。(真偽のほどは不明) 仮に食費が補助されているのならインカムが低いことも納得。

 で、問題のブラジルの通信業界に関するファンダメンタルズは下の図。



 まずは事業セグメント毎に国際比較を行った図だが、最初の固定通信でみるとブラジルは日本の半分程度。なお、単位が書いてないがユーザー数でみた数字だ。ブラジルの人口を考えたらずいぶんと少ない数字に感じられるが、実は移動体通信は192百万人となっており、要するに国民のほとんどが携帯を持っている。固定電話を保有しているひとはむしろ少数派であることがわかる。ブロードバンドサービスでみると13百万人となっており、こちらはまだかなり規模が小さい。ここから読み取れるのは一つ。ブラジルの携帯市場は成熟しているということ。新興国などと聞くと、所得が低く、電話の普及率が低いイメージを持たれがちだが、実際にはかなり普及している。むしろ、固定の普及率が低い。新興国だからと言ってあまり馬鹿にしてはいけませんな。さらにこれらから解釈すればブラジルでの携帯事業の成長率は鈍化しており、人口成長程度のポテンシャルしかないということだ。また、成熟しているからキャリア同士での競争激化が起こり得る、もしくは起こっていると考えるのが妥当だろう。即ち、ビジネスは簡単ではないということだ。因みに移動体通信はロシアの普及率もかなり高いし、インド、中国も意外に高い。グローバルに移動体通信会社株のバリュエーションが安いのはこういった理由がある。新興国だから成長という概念は捨て去ったほうがよいだろう。



 さらに問題含みなのは上の図だ。これはブラジルの通信市場のアクセス数をセグメント別にみたもので、全体のアクセスシェアの75%を携帯が占めている。固定通信、ブロードバンドは合計しても5%以下のシェアしかない。これは一体何を意味しているのかというと携帯以外のセグメントは市場規模が小さいということ。即ち、成熟している携帯が最も市場規模が大きく、成長していると思われるブロードバンドサービスは無視できるほど市場の規模が小さいということだ。従って、他のセグメントが成長していても利益貢献度が小さく、むしろ携帯部門の動向によって利益は大きく左右されることを示している。円グラフの下にCAGRと書かれてあって、セグメント毎に数字が書いてあるが、これはCompound Annual Growth Rate(年間成長率)の略で2002年から2010年までの平均成長率を示したものだ。携帯が25%となっているが急成長した過去の分を反映しており、直近での数字は16%まで鈍化しており、今年は一桁前半くらいまで減速する可能性が高い。Wirelessに至っては過去平均1%であるし、ブロードバンドは高い成長となっても比率がかなり小さい。結論からすれば、ブラジルの通信業界に成長ポテンシャルを求めてはいけないということだ。では魅力がないかといえば、必ずしもそうとは言い切れない。最大の魅力はキャッシュフローの安定性、マージンの安定性だろう。それは配当の安定性にもつながっていく。



 上の図はブラジル通信業界での市場占有率を業者別にみたものだ。調べきれていないので大体のことしか言えないが、ブラジルでは規制当局によってエリア分割されていてそれぞれRegion I、II、IIIの3つに分かれている。Region Iはリオデジャネイロ、アマゾンを含む北部、IIは西部地域、IIIはサンパウロ州を含む地域に分割されており、それぞれにライセンスが与えられている。この3つの地域の内、おいしいのは何と言ってもRegion IIIだ。面積は小さいがサンパウロを含む大都市が入っている。ブラジル市場では日本と同じく寡占状態になっている。オペレーターは5社あるが、実質的には大手3社で市場を分け合っていると考えてよいだろう。前回、紹介したTNEは「Oi」というブランドを展開している。TSP(サンパウロテレコム)はTelefonicaの中の固定部門だ。Oi、Telefonica、Telmax/AMXの3社で85%のシェアを持つ。日本と同じだ。携帯ではテレフォニカが強く、一方で固定・ブロードバンドではOiが強い。携帯だけで考えればTIMを含め4社寡占となっている。詳しく調べられなかったが、4社も強い会社があるのは少し微妙かも。



 キャッシュフローの状況を見るためにTNEを例にとってみてみるとEBITDAマージンは34.9%と昨年よりは改善。一方でネットインカムが大幅な減益となっているがIFRS適用による減益であり一過性である可能性が高い。こうしてみると特に変なことやらなければ安定してキャッシュフローを出すことは可能だろう。但し、成長という意味では問題多数。因みに配当だが、これがよくわからない。TNEのケースでみると公約配当性向は25%となっているが、過去11年間に実際に支払った配当性向は127%になっている。要するに、大幅な減配も高配当利回りもどちらもありうるということ。というかTNEの場合、ブラジルテレコムの償却負担が少なくとも5年は続くので減配の可能性大ではないかと個人的に思っている。あっ、でも買ってしまった。まあ、いいか。

(終わり)


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近況と最近の投資(2) - ブラジル株投資

2011年04月05日 | グローバル投資
 ブラジルへの投資に関してはいくらでも参考となる書籍・ブログなどがあることから、重複するのもあれだし第一大したリサーチをしていない段階で知ったかぶりするのも問題だろう。それに私のブログの目的とも違う。「新興国株式投資で大儲け」というのが趣旨ではなく、このブログはREIT、高配当株式などのキャッシュフローに注目した投資家がメインだと思うので、むしろ一般的なブラジル株投資論は避けよう。とはいったものの、ごく基礎的なことは押さえておくことにする。ブラジルの株式市場は他の新興国同様、資本規制がかけられていることから直接投資がしにくいのは前回も書いたとおりだ。特にFRBによるQE2発動から新興国へのホットマネー流入で、ブラジル政府も金融取引税を課して過度な資本流入を規制している。従って投資の主流となりえるのはニューヨーク上場のADRなどが考えられる。まずベンチマークのパフォーマンスを見てみよう。Bovestaなどのローカルベンチマークはあるが、ここではMSCIブラジルを見てみる。実際にSBI証券などでMSCIブラジルのETFが投資家可能なのでそちらのほうが参考になるだろう。投資家の熱い期待があることは知っていたが実際にパフォーマンスをみてみると...確かにびっくりするぐらいのパフォーマンスだ。

 下図は過去10年のMSCIブラジルインデックスのパフォーマンスだが、年率17.6%(円ベース)のめちゃくちゃな高パフォーマンス。年率だからね。10年間の複利ベースで考えたら100万円投資したら500万になってましたという話だから、驚く。5年間でのパフォーマンスも年率9%、しかも円ベースだ。9%の複利で計算すれば資産は1.54倍になるわけだから、中期的にもすごい数字だ。



 2番目のグラフは無駄なことだとわかりつつ敢えてTOPIXとの相対パフォーマンスのグラフを見てみたが....そうだよね。そうなるよね。日本株に投資して資産減らす一方、ブラジル株なら400%。まあ投資家の視線が熱くなるのもうなずける。但し、気をつけなくてはならないのは2006年から2008年にかけてだ。リーマンショックの影響で株価が暴落している。長期での投資家ならともかく、あわてて参戦した投資家はいまだにやられている可能性が高い。付け加えるのなら、恐らく日本の投資家がその対象なんじゃないかという懸念があるわけだ。そういえばブラジルがどうのと人気化したのはそのころだったような気がする。何事も長期での投資でなければ報われないという典型だ。でも、こうしてパフォーマンスを見てみると少し不安が。もしかして遅すぎる? いや、実はそうでもない。REITや高配当株式などの投資期間中のキャッシュフローにこだわる投資家にとっては実はそれほど問題にならない。自分のことだと分かった上で思うのだがトータルリターンが高ければそれでよいはずなのに、キャッシュフローにこだわってしまう少し間抜けな投資家はちょっと救いがたい。しかも理論も理屈もわかっており、キャッシュフローだけにこだわる合理的な理由はなくトータルリターンで考えるのがより合理的だとわかっているのにである。



 まあ、そんなことをいっても仕方がないので、とりあえずブラジル市場をみてみる。ベンチマーク構成比は以下のグラフのとおりである。これでみると素材、エネルギー、銀行でインデックスの7割を占めている。むむ...よく見るとペトロブラスが重複して入っているではないか。優先株と普通株の違いはあるがペトロブラスで2割弱。さらにItau(銀行)も重複している。この2銘柄でインデックスの3割を占めている。あれっ、ヴァーレも重複している。なんじゃこりゃ。結局、この高パフォーマンスはペトロブラス、ヴァーレ、Itauの3銘柄もっていたらよかったということか? かなり偏ってるなあ。ということで結論としてはブラジル市場に投資するインデックスETFは結構偏っており、特定銘柄のリスクを結構負うことがこれから読み取れる。確かに過去10年の高パフォーマンスはあったものの、それはこの極端に偏った銘柄偏重リスクの結果であると判断することができる。



 いま米国と日本がバブル政策を推し進めている中で資源株を買い進めるのはリスクが高い。(と思う)また、キャッシュフロー重視の困ったちゃんの投資家にとってもおいしくないので見送る。キャッシュフローが安定していて利回りが高そうなのと言えば、大概のケースで通信会社と相場が決まっている。日本でもそうだし、米国でもアジアでもそうなっている。例えば、豪州でいったらTELSTRAやNZ TELECOMなどが代表例だ。両方とも配当利回りでみたら10%程度になっている。但し、業績は芳しくない。というわけで調べてみるとあったあった。以下の2銘柄がターゲットになりそうだ。



 最初の銘柄はなになに、Telecomunicacoes de Sao Paulo SA (ADR)。日本名がわからないが強引に訳せばサンパウロテレコムとなる。当社はサンパウロ州の固定通信サービスを手掛ける会社で国際通話、州間通話てがける。2010年12月現在で1130万の回線サービスと330万のブロードバンドサービス、50万のペイTV顧客を有する。顧客の7割は個人で24%が企業などの商業向け、2%が公衆電話サービスとなっている。なお、当社はスペインの大手通信会社であるテレフォニカの傘下にある。直近の業績は営業利益率22.5%、EBITDAマージン34.08%、ROE20.89%、ROA11.81%。配当利回り17.79%となっている。うむ。まあいいんじゃないか。とりあえず買っておこう...てっ、おい!



 次の銘柄がTele Norte Leste Participacoes SA (ADR)、日本語名が全く想像つかないのでティッカーと同じでTNEでいいや。当社はブラジルにおいて通信サービス事業を展開する企業で、固定通信、データ通信、ISPサービスおよび移動体通信を手掛ける。2009年1月に子会社のTelemar Norte Leste SAを通じてブラジルテレコム(Brasil Telecom Participacoes SA)を傘下に収める。2009年12月末現在、Region Iで地域固定通信の顧客1360万人にサービスを展開、Region IIにおいては770万人の顧客を持ち、合計で2130万人の固定通信顧客を持つ。(Region I、Region IIに関しては後述) 移動体通信に関してはRegion Iで2360万人、Region IIで720万人、Region IIIで540万人の合計3620万人の顧客にサービスを展開している。データ通信サービスに関してはADSLがメインとなっており、「Oi Velox」のブランドでサービス展開。420万人の顧客を持つ。営業利益率21.47%、ROE 21.55%、配当利回り9.76%。
 なるほど、じゃあこれも...てっ、いいのかそれで...

 あまりにも乱暴だが、とりあえずブラジル株がほしくなったので少しだけ。買ってみる。よい子はまねないでね。ちゃんと調べてから買おう。それともう一つ、通信会社の業績はグローバルに悪い。これは各国共通で、急成長して普及率がそれなりになっており、ブラジルも例外ではない。昨年に大幅に減益になっている会社がある(上のTNEなど)。理由は様々だが、IFRS適用による大幅な減益というケースも見られており、配当に関しては過去の実績が全く当てにならない。2つ上げた株価チャートでも見えにくいが横軸に「D」という文字がいくつか見られるが、これが配当が支払われた時期をさしている。見てわかるとおり、何故だかよくわからないが決まった時期に配当をしていない。年によっては配当支払いの頻度が大幅に増えたり、逆に減ったりしておりその理由もよくわからない。これは調べてみるが実績配当だけ見て投資すると痛い目にあいそうである。個別銘柄の資料をあさってみたがなんかいいのがない。というわけでそれは今後の課題としてせめてブラジルの通信業界をレビューだけでも試みる。

続いたりして....

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近況と最近の投資(1)

2011年03月29日 | グローバル投資
 東北関東大震災から20日ほどたつがいまだに世間は騒がしい。かくいう私はブログの更新もせずに無為の日々を送っているが、あまりにも不精なのはどうかと思い少しだけ更新してみようと思う。私事を言えば、これほど長期にブログ更新をしなかったのは個人的なエネルギーが切れてしまったのが本当のところだ。かいつまんで私の動静を申し上げれば昨年11月に実施されたFRBのQE2、日銀の量的緩和策でバブル政策が決定的になり、ほっておいても株式などのアセットクラスが上昇することが明確になった。それは個別銘柄のファンダメンタルズを分析しても、たいした超過収益を上げることが困難になるということと、ほっておいてもあがるので個々の銘柄の分析をアップしても無駄だという思いがあった。

 今年の1月には両親の希望もあり、9日間ブラジルに旅行(内、1日だけアルゼンチン)。リオデジャネイロ、サンパウロ、イグアスと回った。両親はさらにブラジルの数都市まわったのだが、私は興味がないので現地で別れた。そのまま帰るのもなんだったので、ロンドン、香港を5日で回り、ほぼ世界一周して日本に帰ってきた。ブラジルは凄かった。日本の投資家がブラジルに殺到する気持ちがよく分かった。人口2億人。日本の国土の22倍。資源あり、こんな国が成長しない訳がない。まあ、ブラジル人の気質については少し問題があるかもだけど、日系人がいる限り、この国の未来は明るいんじゃないか。下の写真は投資には全く関係ないが、いわゆる「イグアスの滝」と呼ばれる有名な場所。残念ながら悪魔の喉笛と呼ばれる場所の写真ではないが、ものすごい迫力であった。一生に一度は見ておきたいといわれるところだけはあった。多分、二度と行かないと思うけど。

 イグアスの滝。ブラジル側から撮影。悪魔の喉笛はアルゼンチン側へと行く必要がある。

 日本の投資家にとって問題となるのがブラジルへの投資手段であるが、個別株式への投資は結構限られている。ニュース証券という証券会社がブラジル株の個別取引を手がけているらしいが、使い勝手が良いのかどうか不明。カストディフィーとして残高の15bpがチャージされるという点と手数料が210bpとこれまた高い。さらに配当金などを受けられるものの、レアル取引にかかわる金融取引税がさらに200bpかかるなど投資効率が極めて悪いという点は考慮する必要があるだろう。
日本では楽天証券がニューヨーク上場のADRを10銘柄程度、さらにSBI証券もニューヨーク上場のADRを扱っている。直接個別株というのは悪くないかもしれないが、本格的に投資するのではなく、グローバルポートフォリオの一部として若干の投資をしたいというのならADRの方が手軽で手間がかからないのではないだろうか。さらに香港のBOOM証券を利用する手もある。ただし、BOOM証券に口座がある人の話だが。BOOM証券ならニューヨーク上場のADRはほぼ全て投資できる。
楽天もSBIも証券会社指定の銘柄に限定されているのである程度のブラジルポートォリオを構築したいのであれば、それがお勧めだ。但し、問題なのは配当の扱い。BOOM証券は香港の証券会社なので米国ADR投資では米国での課税が発生する。日本でも発生するが日本と米国は租税条約を締結していることから、米国で10%課税、日本で10%課税と配当に対する課税は20%である。一方で、香港の場合では米国との租税条約を結んでいないのか(未確認)、米国で30%課税、香港で0%課税で合計30%課税されて日本よりも不利になる。キャッシュフローを取るか銘柄分散を取るか慎重に判断する必要があるだろう。



 ロンドン・香港はまあ普通。ロンドンでは主要なUK REITの保有物件でもと見てみたがあまり面白くなかった。まず、UK REITの投資手段が日本人投資家には極めて限定されている。投信やETFなどで部分的にしか投資できない。UKのオンライン証券で口座開設という手もあるが、面倒くさい。また、なによりもあまり投資妙味がそれほどない。行く前はそれなりに事前に調べてあれをみよう、これを見ようと考えていたが、いざロンドンについてみるとなんだか面倒になり2件くらいみたらあきてしまったというのが実情だ。因みに下の写真はLand SecuritiesというUK最大のREITのポートフォリオのひとつ。Cardinal Placeとよばれる商業・オフィス複合施設だ。まあ、確かに実物をみることは重要かもしれないが、見たからと言って何かがわかるわけではない。結局のところディスクロ資料を見ていたほうが役に立つ。


オフィス・商業施設として結構ユニークな形をしているが中の店は普通。

 UK REITは23銘柄が上場されていてLand Securitiesの他に、多分聞いたことがあると思われるBritish Landとかが、上場しているが、あまり面白そうな銘柄がない。何よりも配当妙味のありそうなのがない。キャピタルを含めたトータルリターンというのはよくわかるが、個人投資家レベルではやはり配当は重要だ。



 香港も実は保有しているREITの物件を見るつもりだったが、なんか疲れてしまって結局やめてしまった。ロンドンの時と同じく、多分見ても何かがわかるわけでもないからだ。というか実は泊まったホテルが外れでなんか外に出る気がしなかった。香港は初めてではなかったのだが、九龍駅から10分程度のよく言えばまさに一番の繁華街。実態を正確に言えば、空気の成分の5割は実は排気ガスなんじゃないかと疑われる場所で窒息しそうになった。そういえば初めて香港に泊まった時は香港セントラルに近いところで空気が汚いと思わなかったが、世界にはこんなところもあるんだという驚きに満ちた場所だ。今、世界中が福島の原発問題に注目しており、香港もまた日本からの食品の輸入禁止処置をとったと聞いた。でも、福島も問題だが、泊まったホテル周辺の大気はどう考えても重大な健康被害をもたらす可能性が高いんじゃないか。個人的には放射線測定する暇があるなら大気汚染なんとかするのが先のような気がする。これまた投資には直接関係ない話だが、香港にはセブンイレブンが結構あってこれが便利。惣菜も香港人向けにカスタマイズされていて、しかも結構これがうまかった。特にお勧めなのはシュウマイだ。セブンアンドアイは株価次第では投資対象になるな。


 泊まったホテルの窓から撮影。香港は驚きに満ちた場所だ。



 とりあえず近況その1としたが、余力があれば2を書きます。最近ブログ更新パワーが全く出ません。それと以前アップした日経平均ミニのポジションですが、実を言うと12月にロールオーバーして建玉を少し増やしました。そして3月はロールオーバーをしないで清算したのですが、清算日はなんと3月11日。なんという偶然か。地震の後に株価が下がりましたが、結局15分では株価は下がりきれなかったのか、結局10%程度のプラスのリターンとなった。偶然というのは恐ろしい。ロールオーバーしなかった理由は本当に単純で、レバレッジかける必要がなくなったと判断したことと、先物口座のキャッシュを現物口座に移して次の投資に備えるというものでしたが、....間一髪で間に合った。といっても翌週に現物でおおやられでしたが。

 それにしても株価の反発もあり現在はキャッシュポジションを積み上げていますがその辺についても機会があれば....というかパワーが戻れば。

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HSBCインターネットバンキング

2010年05月26日 | グローバル投資
 海外口座を持っていて安心しきってしまうと、トラブルに見舞われるときがある。
HSBCに口座を開設して最初はいろいろと利用はしていたが、しばらくするとほとんど
アクセスすることがなくなった。BOOM証券は利用していたので特に気にしてい
なかったが、ふと口座にアクセスしてみようかと思ったら、何故かできなくなって
いた。あれっ...なんでだ。セキュリティデバイスもあるので安心していたので一体
何が起こっているのかはじめは理解できなかった。



因みにセキュリティデバイス(セキュリティトークン)は日本でもジャパンネット銀行
とか野村證券、メガバンクなどで利用され始めているものだ。メガバンクは有料だが、
ジャパンネットバンク、野村證券は無料で私も持っている。何度もアクセスしてログオンが
失敗すると今度は口座自体ロックされてしまうので2回以上続けてログオンできない。アクセス
できなくてもStatementが送られてくるので残高確認はできるので、しばらく放置していた
が、この前HSBCからレターが来て、Statement送付をやめて全てインターネットで
照会すると決めました云々が書かれてあった。このままでは残高も照会できなくなって
しまうので香港に電話することにした。単に面倒なだけだったが、理由は判明した。
要するにインターネットバンキングのアクセスが1年以上ないとアクセス自体がロック
されるようだ。セキュリティの為、なんだろうが過剰じゃないか。因みに設定していた
BOOMへの自動入金設定もリセットされてしまった。利用がないからが理由だが、ユーザー
に断りもなくリセットするなと言いたい。



まあ、確かに長期間利用していない場合、自動的にロックしてしまえば、その間に誰か
が悪用しようとしても本人が解除しない限りアクセスできないんだから安全といえば
安全なんだけど。不便だ。本人の便宜というより会社を顧客からの訴訟リスクから遮断
するのが目的なんじゃないかとも思える。愚痴をいっても仕方がないので電話をかける。

オペレータ「はい、オペレータのxxです。本日はどんな御用ですか」
私 「インターネットバンキングにアクセスできません。セキュリティデバイスもある
   のに。どうやら口座がロックされているようです。」
オペレータ「では口座番号をどうぞ」
私 「***********」です。
オペレータ「........ あの、口座の種類はなんでしょうか」
私 「SmartVandageですが...」
オペレータ「あっ、それでしたら****-***-****におかけ直しください。この電話は
      premier customer専用となっています」
私 「ああ。そうなんですか。分かりました」

 レターに書いてある番号に書けたつもりだが、違う番号にかけたようだ。よく見ると
電話番号がいくつか書いてある。PremierとAdvanceの番号と「other」が書いてある。
要するにSmartVandageは「その他の顧客」らしい。因みにPremier Customerの場合には
残高100万香港ドル(12百万円)が必要。銀行預金に10百万なんか置けるか。アホらし
い。その番号にかけなおすと、今度はなかなかでない。さっきのpremierの場合には直ぐに
オペレータがでたが、しばらく待つと「現在、ラインが全て埋まっています。しばらく
お待ちください」とでる。流石「その他の顧客」対応だ。5分くらい待っているとよう
やくオペレータがでた。長い。でもパソコンの修理依頼と比べれば100倍ましだけれ
ども。同じことをオペレータに告げる。英語なんだけど、なんだか聞きづらい。香港の
人の英語は慣れているつもりなんだけど、よく聞き取れない。やはり「other customer」
だからだろうか。中国訛りというわけでもなく、なんというかとにかく聞きづらい。

オペレータ「それでは本人確認の為にいくつかお聞きします。生年月日をどうぞ」
私 「*******です」
オペレータ「パスポート番号をどうぞ」
私 「登録したパスポート番号ですよね。新しいのと古いのどちらでしょうか。」
オペレータ「両方お願いします」
私 「*********が古いほうです。********が新しいほうです」
オペレータ「................をどうぞ」
私 「えっ。分かりません」
オペレータ「............です。...の裏です」
 このオペレータの英語が本当によく分からない。英語力落ちたかな。しばらく使っていない
からか? でも話していくとセキュリティトークンの裏の番号を言えといっているのが分かった。
私 「**************です。」
オペレータ「それではこれからリセットしますので5分たってからアクセスしてください。」
私 「ありがとう」

しばらくしてアクセスしてみると。入れた。それにしてもセキュリティの為といっても
あまりにもユーザーフレンドリーではない。その意味では日本のインターネットバンキング
は進んでいる。

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よい子の確定申告(6)

2010年03月20日 | グローバル投資
配当所得と譲渡損益の通算2

数字は勿論、架空で私の希望数字。

(申告書付表その2)

繰越損失に関してはもぱっと見ただけではよくわからない形になっている。最初私もとまどった。戸惑った理由は次のようなものだ。損失を当該年度の配当総額から引けるのはわかったが、古い損失から順々に引くものと思っていたら、どのようにするのか書いてない。というよりよく分からないような説明になっている。税務署からの手引きを熟読したのであっているとは思うが、正確性は保障できないので念のため。

損失を引く順序

1. 本年の損失から配当を引く
2. もし引いても配当額が多くプラスが残った場合最も古い損失から引く
3. 最も古い(3年前)繰越損失を引いてもプラスが残れば(配当のプラスがある)2年前の繰越損失を引く。
   さらに余れば昨年度の損失を引く
4. それでもプラスが残るのであれば分離課税の配当所得として申告することになる。税率は所得税7%、住民税3%。ここで留意する点は繰越損失がなくなってプラスが出たとしても分離課税を選択している限り、他の所得との通算はなく税率も7%だけになる。さらに源泉税として既に支払っているので申告することで税金が増えることはないし、総合課税の対象にならない。

今回のケースでは配当所得が譲渡損失よりも小さいケースを取り上げている
ことから上記の例の対象にならない。譲渡損失が配当が大きい場合、本年でマ
イナスが残っているので昨年度の分とあわせて繰り越し損失の申告を行う。



付表を書き終えたら申告書に転記するわけであるが、数字の転記に関しての説明
は特にいらないだろう。むしろ忘れやすい部分に絞って解説する。



つまらないといえばつまらないが、配当は総合課税の配当と分離課税の配当が
あるので第2表上段の所得の内訳には配当に○をつけて分離課税であることを
示しておく。これを忘れたから分離課税にならないというわけでもないだろうが
念には念を入れる。相手は税務署だ。



意外に失念してしまうのは源泉税の扱いだ。源泉税は国税である所得税と地方税
に分かれており、国税7%、地方税3%だ。先ほどの所得の内訳にも源泉税は合計
ではなく、国税分を記入する。地方税に関しては第2表下段右側に書く欄があり
そこに数字を書き込む。「配当割額控除額」というところだ。なお、私はいわゆる
ラブホテルファンドにも投資している。これは匿名組合出資契約による配当収入
だが、これは雑収入になり分離課税対象にならない。また為替の差損も雑所得だ。
両者は雑所得同士で損益の通算ができる。なお、数字は架空なのであしからず。





これも忘れやすい。第3表上段右に特例適用条文という欄がある。さらっと書
いてあるので忘れやすい。しかもよく見るとこれってなんか機械で読み込ませて
いるようでこれがないと自動的に条文適用なしとかに分類されちゃうんじゃな
いという懸念が...わからないけど。なんとはなしに結構重要な気がする。




第3表中段右側には分離課税の配当額を書く欄がある。これもうっかり忘れが
ちなところに。しかも税務署からのガイドに特段の説明がない。機械で読んで
いるわけではなさそうなんでまあ忘れても問題はないとは思うが。念のために
書いておく。

 税務申告は税務署員が一つ一つ丁寧に見ていると思われがちだが、そうでも
ない。まずは機械で読み込んで一括して処理してその後、税をちょろまかして
そうなところをピックするというのが彼らのやり方。従って自分に不利な申告
(申告すべき数字を間違えたとか、転記し忘れたとか、いろいろ)しても機械が
まず処理して、はいそれまでよ...とかになりかねない。

 何故、そんなことがわかるかといえば、皆さん胸に手を当てて考えてください。
過去に税務署が過大に申告して税を納めすぎてますよという知らせが一度でも
あっただろうか。昔、申告した後に基礎控除の38万円を記入し忘れたことが
あり、申告からだいぶ時間がたってから修正申告した。まあ申告は当然通った
のだが、そのときに疑問に思ったのは機械で処理しているのになんでこういっ
た明らかなミスを税務署は直してくれないだろうか....と。当然OCRで読んで
計算機で処理すれば基礎控除がゼロなら機械ではじくなりなんなりできるだろう。
誰が考えても基礎控除ゼロというのはおかしいし、ありえないのだから即修正
申告の対象になってもおかしくないのに関わらず、税務署からは何の連絡も通知
もなく、申告からかなりの時間がたってからの申し立てに「機械的」に対応する
だけ。これは即ち税金を多く取る分にはミスは「容認」されるということ。い
いかえれば申告でミスした場合、誰もフォローしてくれないということだ。税務署
は適切な税の申告をと「脱税者」に対して熱心に呼びかけるが、ケアレスミス
した過大納税に対してほうかむりするのは適切な態度なんだろうかと...いま
考えても腹が立つ。

今年の分は終わった。ああ、疲れた。でもまた来年がある。

(連載終了)

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よい子の確定申告(5)

2010年03月19日 | グローバル投資
配当所得と譲渡損益の通算 1

 今年から確定申告で大きく変わった点は配当所得と譲渡損益との通算が可能
となった点だ。REIT投資家にとって配当収入が所得が大きな部分を占める場合、
譲渡損益の有無、総所得の水準と所得税率の水準、分離課税・総合課税の選択、
特定口座での源泉徴収の有無など選択によって自身のキャッシュフロー水準が
変化することになる。

私の場合には昨年、特定口座の源泉徴収は選択しておらず、また譲渡損失があ
り、かつ配当収入を超えるので源泉徴収された分を損益通算により還付させる
ことが可能なので申告した。今年からの変更点を中心にポイントを書きとめて
おくことにする。なお、いかに書くことは私が理解した範囲で書き入れている
為、正確性を担保することはできない。いわば自分用のメモという位置づけな
のでそれによるいかなる損害の補償はしかねる。あくまで参考として読んでも
らいたい。配当の損益通算はみんな初めてだろうし、私も初めてなのだからあ
まり頼りにされても困る。

・申告書付表

 株式の譲渡損益を申告したことがある人にはおなじみのものだ。書式が黄色
いので他の申告書類と異なっている。また、譲渡関係は普通の申告書(このブ
ログを呼んでいる人は大抵申告書Bだと思うが)とは別に専用の封筒に入れるこ
とを指示されているので間違えることはない。制度が変わったことで書式も変
わったが、それほど神経質になる必要はないだろう。単に配当収入金額を書く
欄ができただけだ。
 付表1面の(2)に配当収入をかく欄が新設されそこに配当収入額を書き込
む。なお、ポートフォリオでREITを保有している投資家には何銘柄もあると思
うが、その場合収入額の合計金額を書きいれ、種目・所得の生ずる場所の欄に
は「上場株式配当」とか添付資料を作成しているのであれば「添付資料参照」
でもよいと思う。なお、参考にあげた図表の数字は現実のものでなく、私の希
望数字。



 (1)には譲渡所得の金額を書き入れる欄があり、①ー③の欄には①株式の譲
渡損益②上場株式に関わる譲渡損失③本年分の損益通算前譲渡損失を書き入れ
る。一体なんのことだか分かるようで分からない。というのが正直なところで
はないだろうか。

①は上場株式の損益と未公開株式の損益合計を入れるが、大抵の人は自分は未
公開株なんて持ってないと思っていると思う。ただし、海外に証券会社の口座
を保有し、かつその証券口座で他の国の上場株式を売買した場合は「未公開」
扱いになる。上場分とは国内の証券会社での特定口座、一般口座での損益を指
しており、海外口座での売買は全て未公開扱いになることに留意する必要があ
る。

 ②は文字通り上場株の売買だが、ここでは逆に国内証券会社で保有してい
る外国株式の売買損益は上場扱いになる。また気をつけなければならないこと
は外国株式の売買損益は特定口座の計算に含まれていないことだ。証券会社か
ら送られてくる年間の売買損益報告書は国内上場分のみで外国証券は対象では
ない。一方、外国証券の売買損益は税申告上は上場扱いになっており、気をつ
けないと申告漏れになる恐れがある。特に売買損が発生していた場合には損失
の繰り延べができなくなるので注意が必要。

 一方、国内証券会社に預けている外国株式の配当は証券会社が年1回発行する
特定口座の配当計算書に含まれるというのがまたややこしい。気がついた人は
もういるかもしれないが、証券会社とは別に企業からくる配当計算書というの
が今年から少し変わる。以前であれば「配当総額」「税額合計」「所得税額」
「住民税額」「支払い金額」がそれぞれ記入されているが、「株式比例方式」
即ち、証券会社の口座に入金する形をとると会社からの配当金計算書で配当総
額の税前の数字のみが印字され、税額欄は「*******」という形になる。一方
で、1年が終わると使っている各証券会社から特定口座株式に関する「配当金
計算書」が送られてくることになる。そのなかに口座に保有されている銘柄の
配当額、源泉徴収額、ネットの支払額が記載されている。たとえば同じ銘柄を
3つの証券会社で保有していれば個々の保有株数に応じた源泉額が記載されて
合計するとその銘柄の源泉徴収額がわかるという仕組みだ。なにがどう便利に
なるかといえば、今年の確定申告では企業からくる配当金計算書を提出しなく
てはならないが、来年の確定申告では証券会社から送られてくる計算書で代替
できることになる。企業からの計算書はたとえば50銘柄保有していれば50通
の計算書が送られ、それらを税務署に提出する。株式比例方式だと利用している
証券会社の計算書を提出することになる。証券会社の計算書は保有銘柄を一覧
できる形でのレポートになっており、3通の計算書のみの提出になる。

 あまりそのメリットがわからない人がいるかもしれないが、銘柄を50銘柄
とか100銘柄持っているは証券会社からの計算書はありがたい。実際私も銘柄
数は普通の投資家より多く持っている(と思う)ので計算書のほうが便利。
企業からの配当金計算書ってけっこうかさばるんだよね。銘柄が多いと。な
お、また、国内証券に預けている外国企業の配当金計算書は送られてこないが、
証券会社からの配当計算書には外国株式もちゃんと含まれている。
株式比例方式を選択せず、現金の場合(郵便為替とか)は企業からの明細書もし
くは信託からの計算書を提出する必要がある。

次回も実際の申告の手順での留意点を解説する。

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よい子の確定申告(4)

2010年03月18日 | グローバル投資
・確定申告上の留意点

 上記でも非現金費用項目である減価償却費の重要性は理解できたと思うが、その
減価償却費の計算をどのようにするかという点では意外にいい加減にやっている人
がいる。これも私の経験だが、ある不動産業者から電話でのセールスを受けたとき
税務上のメリットがこれだけあるという話を聞いたとき違和感を感じた。そのセールス
の話があまりにもうますぎるのだ。いろいろと細かい話を聞くとなんと確定申告時
に償却資産の計上時に建物8割、土地2割で計算するというものだ。「いやあ、皆さん
やられてますよ」とうそぶくセールスだが、確かにやっている人はいるだろう。また
税務署から特に指摘がなくそのまま申告が通っているケースはあると思うが、それは
税務署がたまたまチェックしていないだけの話だ。税務調査を受ければ確実に修正申告
を求められるし、拒否しても更正処分を受けるのが関の山だ。

 日本の税制は「申告納税主義」だ。知っているけどどういう意味か分かっている人は
意外に少ない。申告納税主義とは納税者が、自らの所得と税額を課税庁に対して申告を
行うことによって税額が確定する制度のことをいい、納税義務の確定を納税者自身が行
う制度という意味だ。課税行政庁は納税者からの申告がない場合、または申告が不相当
であると認められる場合に限って、更正または決定によって税額を確定する。申告納税
制度に反対の概念は賦課課税制度と呼ばれており、納付すべき税額がもっぱら課税庁の
処分によって確定する方式を指す。賦課課税制度は、戦前に一般的に用いられていたが、
昭和22年度の税制改正により所得税、法人税、相続税に申告納税制度が導入されて以
来、主な国税のほとんどについてこの制度が採用され、現在では固定資産税や自動車税
等の地方税について賦課課税方式が原則的に採用されている。申告納税制度は、税額が
納税者の申告によって確定することを前提としていることから

     1. 申告をしなければならない人が申告を行っていない場合
     2. 税額の計算が法律の規定に従っていない場合
     3. その税額が税務署などの税務官庁の調査と異なっている場合

には、税務官庁が税額を確定することができる。申告すべき納税者が申告しない場合、税務
官庁独自の調査により税額を決めることを「決定」と呼び、納税者が申告した税額が過小ま
たは過大であった場合に正しい税額に修正することを更に正すと書いて「更正処分」と呼ぶ。
(但し、納税者も更正処分を求めることができる)




 申告納税だから、申告する人が勝手に解釈して費用計上して税額を自分で決めてよい
という意味ではない。業者が投資家に建物の価値を8割、土地を2割で計上するように
薦めるというのは2番に明らかに該当することから見つかれば更正処分必至だ。「みんな
やっているから大丈夫」というのは単に税務署がチェックしてないだけで、仮に処分を
受けても業者は責任を取らない。償却資産の計算は既に実物投資を行っている投資家にとっ
ては蛇足かもしれないが一応記しておく。まずは新築で業者から購入した場合には消費税
から逆算すればよい。何故なら土地は減価しないので減価償却資産対象にならず、また
消費税がかからない。従って業者に支払った消費税から計算する。前回のケースでは消費
税は927500円であったから、


  925,700÷0.05=18,514,000が答えとなる。


 投資家が定額法を採用しているのであれば計算はこれで終了する。但し、税法上のメリット
をうけつつ、キャッシュフローの最大化を図る合理的な投資家であれば定額法を採用する
理由に乏しい。むしろ定率法を積極的に採用したいところだ。ところが、実は業者もあまり
そのことについては積極的にアドバイスはしてくれない。申告は個人の問題だからだ。さら
に税務署の態度もまたいただけない。私が実物不動産を始めたときに税務署に赴き、定率法
の届けについて聞くと

「建物の償却は前の税制改正で全て定額法に変わりました」
とそっけない。
「様式は税務署に行けばあると聞きましたが」
「償却対象としてエアコンとかなにかあるのですか」
........なんかどうも話題を逸らそうとする態度がミエミエではっきりいって頭にきた。
「はいそうです。書式はどこにあるのですか。ないんですか。」
「あっ、...それなら...これです」

できるにもかかわらず定額法だとはなから決め付ける態度。あるにも関わらず書類の話を逸
らそうとする態度。税務署が正しい納税方法の指導・助言を納税者に与えないから税金を払
いたくなくなるのだという事を彼らは理解していない。納税者とは彼らにとって「顧客」で
ある筈だし、そうあるべきなのだ。 不動産投資初心者ならまず最初の反撃で帰ってしまう
可能性すらある。書類は確定申告時に提出してもよいので申告書を税務署に郵送すればそれ
でおしまい。この努力を惜しむと後で後悔することになる。何故なら償却方法の変更はでき
ないからだ。特に定額を定率に変更することはできないと考えてよい。その逆は多分、税務署
はウェルカムだと思うのでやってみてください。おそらく通る。建物は定額部分の躯体部分
と定率償却可能な付属設備に分けられる。付属設備とはなんぞやというと、例えばボイラー、
キッチン、風呂、トイレなどいわゆる躯体とは別の設備を指す。問題はこのわけ方だが、実
はここは計算方法がない。世間で言われているのは躯体80%、設備20%というわけ方が一般的
だそうだ。購入時に細かい原価内容がわかれば個別計算は可能だが、新築といえどもそれは
入手できない。従って世間でいわれている数字を採用するのが一般的だ(30%までなら税務署
は何も言わないと言われてもいるが不明) ケースでは躯体7割、付属設備3割で計算している。
かくいう私も実物投資してから3割で計算しているが、いままでの指摘はない。但し、いまま
でないからといって必ずないという保証はしかねるので単なる参考としてほしい。


・中古不動産の償却費計算

 実物資産投資家にとって新築というのは入門編といったところで、やはり中古不動産の投資
ができるようになるとレベルアップという感じだろうか。中古不動産はキャッシュフロー利回
りが新築よりも高い。即ち価格が市場価格に沿っており、新築のようなプレミアムがないこと
が大きい。一方でリスクは当然大きい。修繕費用がかかる。管理費・修繕積立金の値上げリスク
がある。空室リスクが新築よりも高い。但し、償却資産という観点からはメリットが大きい。
中古物件の償却年数は当然、時間の経過を差し引くことができる。鉄筋マンションの償却年数
は躯体の定額部分で47年だが、経過年数を引くことで償却費用が大きくなる。例えば、築
10年の鉄筋マンションを先ほどのケースで購入したとしよう。

    躯体部分 = (47年-10年)x1.2=44年
    付属設備 = (15年-10年)x1.2=6年

 仮に前回のケースが新築でなく築10年であったのなら、付属設備の部分500万円を6年
で償却することができる。これはでかい。初年度の減価償却費が付属部分だけで230万円と
なり、非現金費用が100万円以上増加する。但し、前回のケースと同様に償却が早い分、不
動産所得の黒字化のスピードも速い。従って物件のキャッシュフローが極めて重要であること
は論を待たない。

 中古物件を業者から購入する場合には消費税から逆算することができるが、取引が個人間の
場合はどうするか。個人相手では消費税が発生しないので償却資産の計算が難しい。しかし、
計算は可能だ。不動産取引をする際には固定資産税の計算根拠となる評価明細書というのが大抵
ついてくる。その評価明細書から土地・建物の割合を計算することになる。評価明細書は土地
建物それぞれあるので2枚で1セット。マンションの場合には共有持分から土地部分の計算を
行う。



 業者との消費税取引でなく個人間での売買であっても土地・建物の評価証明書は必ずついて
くるので計算は難しくない。例に出したのは実際の物件の評価証明書を参考に作成した。評価
額がでれば償却年数を割り出し、後は償却額を計算するだけ。築11年だから付属設備の償却
が5年と早く、結構償却ができる。さらに評価証明書を用いていることから償却額の根拠につ
いて税務署から指摘されるリスクは少ない。但し、躯体設備と付属設備の按分はその範疇では
ないことに留意。それともうひとつ申告はよほど大規模投資家でない限り、自分でやろう。
税法についての知識が学べるし、投資家にとって税は避けて通れない関門だからだ。税理士を
雇う金も浮く。税理士は必ずしも貴方の見方であるとは限らない。自分のお金は自分で守ろう。

 念のために繰り返すが、一応、正確に書く努力はしたが、正確性の担保はできないのであく
まで参考程度に読んでください。次は新しく変更された証券税制のもとでの申告のポイントを
書いてみる。

(つづく)

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よい子の確定申告(3)

2010年03月17日 | グローバル投資
 不動産所得、節税効果、キャッシュフロー、そして減価償却

 不動産所得の計算で重要になるのは経費処理であることは間違いないが、経費
となるのは現金費用だけでなく非現金費用も重要である。特にサラリーマン兼業
大家の場合には給与所得との損益通算ができるかできないかで税が異なってくる
ので、とても大切な項目だ。
 ただ、気になるのは思い込みや間違った方法で不動産投資をしているサラリー
マン投資家が結構多いと聞く。そういう人ほど後で苦労することになりかねない。
後で困らないためキャッシュフローがどうなるかという点は十分に気をつけても
らいたいものだ。多分困るケースとして考えられるのは次のような投資家だろう。


・ 目先の節税効果にしか注意しない投資家

 サラリーマン大家さんの投資のきっかけは大抵の場合は業者からの勧誘だ。
例えばこんなケース。ある晩、くつろいでくると突然の電話。まったく見ず知ら
ずの人からで話を聞くと不動産業者らしい。「税金を安くする方法があります。」
「今やらないと馬鹿をみる」こんな電話を受けた人はまず話しに乗る前に、なん
で貴方の電話番号、名前、住所などの個人情報を業者が持っていることに疑問を
持とう。話はそれからだ。大抵の場合、その業者が名簿をどこからか買ったという
こと。証券会社、商品先物会社など貴方が持っている口座もしくは以前開設してい
た口座の情報が流出していることを暗示している。中には業界団体名簿なども
流出してたりするが、流出させるほうも悪いが違法な名簿を買って営業している
会社をまず信用するかどうか貴方は判断すべきだ。

 業者の話が魅力的なものだとしてもキャッシュフローをあまり考えずに投資
する人も多い。よくあるケースは「○○○万円の物件を自己資金、ローンを組む
と月々たった1万円の負担で税がこれだけ戻ってくる」。ああ!、あるあるこんな
話。でも、本当にいいんですか。不動産キャッシュフローはマイナスで本業の
給与所得の税が減るという話。「別に金持ちだけがやっているわけじゃない。
普通のサラリーマンでもやってます。とても簡単」なんていう営業トークは相手
のしつこさを入れても魅力的に聞こえる。まず、貴方の税金っていったいどれく
らい? そんなに所得税を払ってる? そういう当たり前のことからチェックしよ
う。所得税を100万円払っている人と、1000万円払っている人では効果が全く違う
ことを認識しよう。



 仮に業者の言うとおり月々1万円の不動産キャッシュフローの赤字(税法上の不
動産所得の赤字でないことに注意しよう)があり、課税所得を100万円下げられる
として計算すると上記のような表になる。同じ条件の物件を5件、即ち課税所得
が500万円さがり、不動産キャッシュフローの赤字も5倍になるとしたらどうなる
かも計算した。税金はゼロになったが、キャッシュフローは赤字じゃないか。た
だ議論を単純化させるために住民税を除いているので単純に赤字とはならないと
思う。誰でも簡単にできるかもしれないが、労力や効果を考えるとあまり所得
の低い人が行うのはどうかとも思える。

 もうひとつ気をつけたいのは本業の給与所得の安定性だ。その給与水準を維持
できますか? リストラのリスクはありませんか。税金が安くなるといっても本
業の給与がなくなれば貴方の税金は簡単に減ってくれます。ただし、不動産所得の
マイナスのキャッシュフローは減りません。第一、不動産のキャッシュフローが
投資案件として魅力的なものかどうかの前に「所得税を減らす」ことを前提にす
ること自体間違った考えだとは思いませんか。「ローン支払いが終了すれば賃料
は自分の年金に」....本当にそうですか。貴方がローンを支払い終わったときに
築30年のワンルームマンションにどれだけの価値がありますか? それを想定した
キャッシュフロー計画をお持ちですか? 本来ならばいろいろとシュミレーション
した上で投資判断を下すべきなのに目先の税金の額だけに注目していると足元を
救われかねない。例えばこんなケースでシュミレーションをしてみよう。



 投資の世界では失敗の経験が結構重要だ。失敗から教訓を学び次の投資に生か
していけるからだ。ただし、投資といっても小口でできる株式投資と違い、不動
産投資は一件当たりの金額が極めて大きく失敗が致命傷にもなりかねない。23区内
徒歩10分圏内のワンルームマンションより広めの物件。場所はよし。自己資金
500万、30年ローンが残り85%。金利水準は2.2%。住宅ローンではないので金利は
低いような気がするがおまけだ。さてシュミレーションだが、初年度は予定通りの
赤字がでて順調だ。給与所得との損益通算で所得税及び住民税の戻りもありキャッ
シュフローはプラスがでてくる。2年目、3年目も状況は同じだが、4年目から
なにやらおかしい状況になってくる。不動産所得がなんと黒字に。原因は減価償却
の低下による非現金費用の低下だ。

 いくつか留意することがあるとすれば、まずレバレッジのかけ方にも注意が必要
だ。不動産投資になれた人には常識だが、ローンの金利費用は100%計上できる
わけではない。土地購入にかかわるローンの金利費用は費用計上ができない。上記
のケースでは土地と建物の比率から金利費用の43%は費用計上できない。あまり高い
レバレッジでは現金費用といえども計上できないことを留意する必要がある。さら
に管理費・修繕積立金に関しても要注意だ。特に修繕積立金は長期修繕計画に従って
決められるが、大抵10年目くらいから積立金は50%以上上昇するのが普通だ。節
税目的で不動産の購入を勧める業者はこの点に触れることはまずない。現状の費用
を延長で説明することが多い。

 キャッシュフローはマイナスが続くのにも関わらず、非現金費用の低下により
税法上の所得が黒字となると給与所得と通算しても税金が増加することになる。
所得の増加に見合うだけのキャッシュフローがあれば吸収できるが、もともと節税
目的でしかも目先の税効果だけしかみていないとこんな結果になる。結論は極めて
単純。損益通算前の不動産物件単体の投資魅力がなければ節税効果が低減した時
持ち出しの結果となる。実物不動産投資を初めてした人がよく陥りやすい罠だ。


(つづく)

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よい子の確定申告(2)

2010年03月16日 | グローバル投資
 クロスボーダー取引といっても摘発されるのは結構単純なケースが多いし、
実際に複雑な取引は発覚しているのが氷山の一角という可能性もある。次
のケースはやや複雑だが、基本的なパターンは同じなので2つ同時に


ケース2
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欧州大手金融のクレディ・スイス(CS)日本法人の元部長が、海外で
行使したストックオプション(自社株購入権)の利益にかかる約1億30
00万円を脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の 疑いで東京
地検に告発されたことがわかった。
また、グループ2社の社員ら約100人が同局から計約20億円の申告
漏れを指摘されたことも判明。 海外でのストックオプション行使を巡り、
金融機関社員による申告ミスが大量に発覚するのは異例だ。

告発されたのは、CS証券(東京都港区)債券本部外国債券営業部の元
部長(46)。
関係者によると、元部長は、2007年までの2年間で、親会社から付与
されたストックオプションの 権利行使で得た利益約3億5000万円を
申告せず、所得税約1億3000万円を脱税した疑い。 CSのスイス口座
で行使して現金化、シンガポールの銀行に送金させて資産運用を委託して
いたという。 同局は、元部長が資金を他国に移動させていることなどから
意図的に納税を免れた疑いがあると 判断したとみられる。

元部長は07年8月に退職し、現在、カナダ・バンクーバーに在住。同局に
「申告義務がないと思った」 などと犯意を否認しているとされる。既に
修正申告し納税を済ませているという。
一方、申告漏れを指摘されたのは、CS証券とCSプリンシパル・インベス
トメンツ東京支店の社員ら 約100人。時期は07年までの数年間で、権利
行使で取得した株式を現金化していないことや、 海外口座で行使しているこ
となどから、申告義務はないと思っていた例が大半だという。
追徴税額は過少申告加算税を含め数億円とみられる。
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ケース3
--------------------------------------------------------------------
米国の親会社から付与されたストックオプション(自社株購入権)を行使し
て得た所得を隠し、約6千万円の所得税を脱税したとして、東京国税局が
所得税法違反容疑で、米医療用品大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン
(J&J)」日本法人の広瀬光雄元代表(72)=東京都渋谷区=を東京
地検に告発していたことが7日、分かった。

 関係者によると、広瀬元代表は日本法人「ジョンソン・エンド・ジョンソ
ン・ジャパン・インコーポレイテッド」や他のグループ企業に役員として在
籍した当時に、親会社のJ&J社から役員報酬としてストックオプションを
付与された。
 その後、権利行使して取得した親会社株を運用したり、市場で売却したり
して得た2005年と07年の2年分の所得約1億6千万円を隠し、所得税
を免れた疑いが持たれている。
 株の運用は米国の証券会社の取引口座で行い、売却益は海外口座に預金し
ていたという。
 隠した所得の一部が米国から別の国に開設した口座に移し替えられるなど
複雑に移動していたことから、国税局は仮装隠ぺいを伴う悪質な所得隠しと
判断したもようだ。 広瀬元代表は01年~08年度に経済同友会の幹事を
務めていた
--------------------------------------------------------------------

二つのケースは細かい部分をのぞけば下の絵図の通りになる。事例としては
単純そのもの。



 ストックオプションを海外口座で行使してそのまま海外に滞留させ、国内
に戻さない。CS元部長のケースは確信犯だな。退職後、日本に戻らず今でも
バンクーバーにいるというのはガッツがあるというか、税金減らすぞという
意気込みも感じられ、ある意味あっぱれ。行使したオプションはさらにシン
ガポールに移すという周到さもまあ、褒めてあげるべきか悩むところだが、
その努力だけは買っておこう。これもケース1と同様vesting dateがいつなの
かという点だけが気になるが、恐らく退職するまで売却せずに株で保有して
いた可能性が高い。退職すると気分が大らかになるのだろうか。ケース3は
経済同友会理事ともあろう方がという気もするが.....CS元部長のケースでは
海外在住にも関わらず、何故あげられたかという点だが、これは想像だが、
恐らく、国内に自宅を保有している。毎年、日本に何度か戻っているなど、
実質の居住地が日本である可能性がある。ガッツ見せるなら、日本の不動産
全て売却して骨を埋める覚悟じゃないと駄目だろう。

 仮にvesting dateが海外移住後で、売却して現在もバンクーバーに在住と
いうのであればCS元部長は脱税ではない。租税回避行為かどうかも日本に仮
にほとんど戻っていないのであれば、税務署の判断は別にして微妙だ。でも
まあ、多分、vesting dateに申告してなかったんだろうと想像できるけど。

 J&Jのケースはまあ、クロですな。あまりにも単純。しかも見事にパターン
にはまっている。弁解の余地なし。「申告義務はないと思っていた」という
言い訳は苦しい。分かっていてやったとしか思えない。

 でまあ、問題は「悪は必ず倒される」的な結論に持っていこうなんて気は
さらさらなく。海外に口座を保有し、国内に還流もさせてもいないのに
「なんでバレたのか」という点だ。興味あるでしょう。そう、そこの外資系
金融機関勤務のあなたですよ。退職して晴れて自由の身となり、溜め込んだ
ストックオプションを換金する日がやってきた。準備は万端。パスポートよし
住民票移動よし。海外でのすむ所も手当てした。証券会社の口座とまた別の
国にも証券会社の口座を開き、銀行口座も複数の国に開設した。後は売却し
日本にはまあ数回戻るけど、ほとぼりが冷めるまで海外に住むつもり。

 そんなあなたにまさかの税務調査!!!!

 何故だ。何故バレた。同じ釜の飯を食ったわけでもないけれど、私も昔外資
系企業にいたよしみ(何の?)でお教えしましょう。普通の人は税務署はもの凄い
調査能力を持っていて海外でも執拗に追求する能力があると思っている人がい
るようですが、そんなことはありません。税務署といってもやっぱり役所です。
生産性が高いわけでもなく、むしろ面倒くさい作業なんて遂行できる能力はそ
れほどないと考えたほうがいいです。では何故なんでしょうか。

 答えはとても簡単です。あなたが勤めていた会社が税務資料を提出したから
です。海外に上場している企業が日本にオフィスを構えているのであれば日本
のオフィスもまともな会社です。税務署から照会がくれば正直に答えます。あ
なたは嘘をつくかもしれませんが、あなたが働いていた会社は嘘をつきません。
税務署はさっき言ったとおり、大した調査能力があるわけではありません。だ
から日本法人にこんな照会状を出すんです。「過去3年間の従業員に対して付与
されたストックオプションの実績を提出してください」
 海外上場企業の日本法人なら当然、従業員の給与に関することですから、全て把握
しています。税務署から要求されれば当然提出します。拒む理由はありません。
あなたと違って。貰った資料を基に申告書と照らし合わせると差額がわかります。
源泉徴収表は既に提出済みなので付与されている人が源泉徴収表と同じ額しか
申告していなければ、当然マークされます。

 最近、外資系企業の脱税話が増えてますが、理由があります。税収が減ってい
るんです。ストックオプションというのは調べるのが簡単で、しかも延滞税や
加算税も取れるんで税務署に取っておいしいんです。まさに税務署にとって「豚
は太らせて食う」という状況が現在なのです。外資系企業は今が旬ですが、撤退
も増えているので、一段落すれば自営業者、中小企業に目がいくでしょうね。税
務署は能力が高いという訳でなく、取りやすい所から取っているというのが正解
です。

(つづきます)

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よい子の確定申告(1)

2010年03月15日 | グローバル投資
確定申告のシーズンが到来すると気分が重くなるのはパターンとして
2つ。ひとつは申告が面倒というケース。2つ目は税をどうやって軽く
するかと考えを巡らして気分が暗くなる。まあ、後者のケースはあまり
ないだろうが、最近は脱税に関するニュース報道が多いのも事実。

 脱税といえば、パチンコ店、病院、個人経営商店などいわゆる税の
補足率が低く脱税しやすい業態の人々が想像されるが、最近はいわゆる
クロスボーダー取引と呼ばれる脱税のニュースが多いような気がする。
例えばこんなケース

 ケース1
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 米金融大手シティバンク・プライベートバンクの北出高一郎・元在
日代表兼北アジア統括代表(61)=東京都港区南麻布=が、親会社
から付与されたストックオプション(自社株購入権)を行使して得た
平成17年12月までの1年間の所得約1億4千万円を隠し、約3千
万円の税を免れたとして、東京国税局から所得税法違反(脱税)の罪
で東京地検に告発されていたことが21日、分かった。
脱税容疑分も含め、海外口座にあった国外所得約8億円が無申告だっ
たという。
ストックオプションによる利益や不動産収入などは米国の銀行口座に
入金していたが、その後、富裕層を対象にしたスイスのプライベート
バンク(PB)に送金して運用していた。
北出元幹部は、在日支店のPB部門の責任者だったが、同部門で法令
違反があったとして、金融庁から一部の支店・出張所の認可を取り消
される行政処分の直前の04年8月に退職。その後、役所に米国への
住民異動届を提出したが、05年には日本に半年以上滞在し、06年
に再び日本で住民登録した。東京国税局は、無申告の国外所得のうち、
05年については非居住者を仮装した疑いがあるとみて、告発に踏み
切ったとみられる。

 関係者によると、北出元代表は退社後の17年、親会社から現職中
に付与されたストックオプションを行使した上で、株を売却。その後、
所得税を申告せずに海外口座などで売却益を運用していたが、国税局
はこうした行為を仮装・隠蔽(いんぺい)と判断。総額数億円の所得
隠しも認定したもよう。このうち17年12月までの1年間に隠した
約1億4千万円の所得のみ告発の対象とした。
---------------------------------------------------------------

 このケースでのポイントは2つある。ひとつはストックオプションの
付与のタイミングと納税期間との関係。2つ目は海外所得の申告の問題
である。外資系企業で働いていたこともあり、私もストックオプション
をもらったことがある。よく誤解されるのはストックオプションといっ
ても形態は一つではなく様々な形態があることだ。容易に想像されるの
は通常のストックオプションの形。これはオプションの行使価格が事前
に決められていて、行使価格と売却価格の差額の利益が本人の所得にな
るケース。ただし、この場合の売却益とは付与された日の株価との差で
実際の売却益ではないということ。

例えば、行使価格10ドルで付与された日の株価が20ドルであれば、
ストックオプションによる給与所得は差額の10ドルとなる。実際に株
式を25ドルで売却した場合には給与所得10ドル、差額5ドルは譲渡
所得になる。

もうひとつの形態としては、特に日本人には馴染みがないが、restricted
stock(制限つき株式)と呼ばれるものがある。日本語訳は適切かどうか
あやしいが、現物株式の無償譲渡といえばわかりやすい。会社は自社株を
コストゼロで従業員に渡す。従って、株価イコール所得になる。通常の行使
価格付のオプションよりももらえる額が分かりやすく、また株価が上昇する
ことで価値が上がる。行使価格つきも似たようなものだが、やはりコスト
がゼロであるのかそうでないかとでは気分的に大きな違いがある。外資系
金融機関のボーナスが100万ドルを超えたとかいう話がニュースになるが、
そのほとんどがこのようなrestricted stockによる株式売却収入によるもの
であることが多い。
ここでまたややこしくなるが、granted date(権利の付与日)、vested date
(行使可能日)という概念の理解が必要。ここでも日本語訳は適切とはいえな
いが、仮にそう訳しておく。granted dateとは権利を与えるが条件を満たさ
ないと行使することができないことを指す。例えば去年5月に親会社の株式
100株の株式を受け取ったが、実際に受け取れるのは今年の5月になってから
というような条件だ。実際に受け取れる日は vested dateと呼ばれる。


どういう意味があるかといえばvesting date以前に会社を辞めると株が
もらえない。即ち、人材の引きとめ効果があり、海外の企業では一般的だ。
上記のケースでもvestされた日がいつなのか書いてないのでよく分から
ないし、どのようなストックオプションの形態なのかも書いてないので
想像しかできないが、おそらく現物株式の無償譲渡すなわち、restricted
stockの形態ではなかったのではなかろうか。

このケースでは実際のvesting dateが売却した年のものであるのか、それと
も以前からもらっていて所有権が既に移転していて株式のまま保有した分
を売却したのかで話は違ってくる。報道を読む限りでは退職して海外に住民
票を移して売却したというふうに読める。仮に退職の年に海外に住所を移転
し、vesting date を迎えたのなら、正確には脱税行為とは言えない。
日本の税法では非居住者への課税はありえないからだ。しかし、ニュースに
あるとおり、半年は日本に住んでいて、翌年には住民票を移動しているわけ
だから、これを正確にいえば「租税回避行為」と呼ぶのが正しい。

「租税回避行為」とは読んで字の如し、課税を免れようとする行為だが、そ
れが全て「脱税」とは言えない。あくまで「税務署」の判断に依存する。
売却時だけ海外にいて日本にすぐに戻ってくることで租税を回避した判断さ
れたわけだが、確かにそうだな。向こうに骨を埋める覚悟で今でも海外にい
ればまた違った判断になったかもしれない。但し、vestされた日が以前の
もので売却したのがたまたま海外にいた期間であるのならそれは「租税回避
行為」プラス「脱税」となる。

 海外所得に関してはもう弁解の余地なし。日本人の多くが海外口座さえ開設
すれば国税から逃れられると単純に考えている人が多い。そしてその大部分が
日本の金融機関から送金しているというおめでたさ。日本の銀行はちゃんと
海外送金については国税や金融庁に届けてますよ。特に金融庁検査で変な指摘
を受けないために不自然な海外送金は「マネーロンダリングの疑いのある取引」
として届けられている。だいたい、メガバンク1行で数千件が年間に届出がある
そうだ。

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Boom証券の使い勝手 (売買編)

2009年05月07日 | グローバル投資
移管された株式を早速売却する。日本株での売買で気がついたが、香港経由で
発注して市場で実際に執行されるまで少し時間がかかる。日本と香港ならばそ
れほどの時間はかからないとも思えたが、システム的な制約なのか発注しても
5分位は板に注文が出てこない。米国ならなおさらと思ったが、発注するとな
んと瞬時に執行された。香港株と米国株はシステムが同じなのだろうか。それ
にしてもその早さは激速・鬼速の類でクリックすると同時だ。では何故日本株
が遅いのかは不明だが、やはりシステム的な問題だろうと推測する。香港株、
米国株に関しては日本のネット証券よりも速い。日本株の売買で日本のネット
証券も速いがそれ以上だ。その早さは一種の感動すら覚える。取引所のシステ
ム能力の違いだと思うが、やはり東証のシステムは速くないということだ。

 もともとBoomのシステムは米国株のシステムで開発されているのだろうと思
う。香港株はその米国株のシステムと極めて親和性が高いというのが私の結論
だが、他の市場はやはりタイムラグがある。Boomで口座を開設してから香港株
豪州株、シンガポール株などを売買したが、システムのリスポンスの早い順で
いうと米国、香港が激速、シンガポール、豪州がまあ早い、日本株は遅いとい
う結果になる。マレーシア、台湾、中国はまだ売買していない。

 Boom証券の次の利点としてはマルチカレンシー対応という点だろう。異なる
市場を売買すると円、ドル、香港ドル、シンガポール、豪州ドルなど複数の
キャッシュが発生する。売買するときにはシステムが自動的に為替を組むので
ユーザーは個別の通貨の売買を意識することはない。例えば、米国株を売却し
て、日本株と香港株を買うと売却した米ドルからそれぞれ円、ドルの為替をシ
ステムが組んでくれる。日本のネット証券の場合には中国株なら中国株口座に
米ドルもしくは香港ドルを入金するという別口座扱いになるため、結構面倒臭
い。例えばマネックス証券の場合こんなことがあった。香港株の配当が入金さ
れたので円の口座に移管しようとするとシステムの制約から午後4時くらいか
らシステムメンテナンスが入りログインしてもキャッシュの移管ができない。
特にサラリーマンの場合、平日の勤務時間中にログインなんかできないので、
結局、帰宅後にすることになるがその時間はできない。土日はこれも受付てく
れないのでかなり不便だ。その点でマルチカレンシーシステムはとても便利。

 配当の入金に関してもメールでの通知がある。たいしたことがなさそうにも
聞こえるが、やはりこれがあるのは便利だ。日本のネット証券も同じサービス
があるが、不思議なのは大和、日興などの大手証券にはそのようなサービスが
ない。というか、ネット証券以外の対面を主とする証券会社のサービスは比較
にならないくらいレベルが低い。Boom証券はサービスレベルは高いが不満点と
してはやはりリアルタイム株価のサービスがないことだ。せめて香港株くらい
はあってもよさそうだが、お金を払わないと駄目なのは不思議。ヤフーファイ
ナンス米国サイトは無料でリアルタイム株価のサービスをしているのを考える
と劣っている。でもまあ、良しとするか。
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Boom証券の使い勝手 (株式移管編 2)

2009年05月06日 | グローバル投資
株式移管の顛末 2
 
 Boomの返事は「できない」だった。照会したときはできるといったのに何故?
 BooMによればBooMからの移管はDTC tranferと呼ばれるものを利用するのだが、
私の場合名義が問題となったらしい。どうやら株券が私の直接名義になっていて
移管するにはDRS(Direct Registry System) tranferと呼ばれるinitiationを必
要とする。すなわち、私名義の株式を米国の私名義口座への移管はすんなりいく
が、BooMは香港の証券会社であることから、米国に拠点がない。従ってBooMは
米国での決済はPenson Financial Service(米国の証券決済を行っている会社)
の口座を使用する。当然のことながら口座名義はBooM証券であることから名義
が一致しない。従ってBooM自身がinitiationできない。残る方法は米国の証券
会社がinitiate することだが、ブローカー登録するにはMedallion Signature
が必要。因みにDTC(Depositary Trust Company)はいわば保管振替の会社でDRS
はDTCでの決済の一つの方法だ。簡単にいえば名義が保振名義になっているの
か、個人の直接名義になっているかという点。さらには移管したときに移管先
の口座が確かに私の口座であることが確認できるかという点だ。確かに名義を
確認せずに勝手に株式を移管されたら大混乱に陥るわけだし、それはそれで
必要な手段だ。こうなるとやはり換金かと思ったが、ここまで時間を使って
それをするにはあまりにも癪なので考えを巡らすとあるアイデアが浮かんだ。

 それは「現物による預託」という手だ。

今回の場合、私個人の「直接の名義」になっていることが幸いした。
さらに幸いなことに米国のブローカーは現物での株券引き出しができるよう
だ。早速、そのアイデアをBoomに相談すると「可能」らしい。かぎ括弧をつ
けたのは訳があってそれにはさらに手続きが必要だということだ。Boomは米国
の株式に関してはPenson Financials Servicesという会社に口座を保有して
おり、そこで証券決済をしている。即ち、米国株に関してはBoom名義で個々の
顧客の株式は混在して保管しているということだ。勿論、Boom自身の帳簿で
顧客ごとに管理しているが名義自体はBoom証券1つだ。BoomによるとPenson
に私の名義でサブアカウントを開設する必要があるらしい。但し、今度は
その口座を開設する為に行政書士のサイン認証が必要。現物株に関しては
すんなりといった。これに関してはメニューから操作できるようになって
おり、クリックするだけ。しかも現物自体は3日と経たずに自宅に郵送さ
れてきた。これにはびっくり。外国株式のモノホンの現物株を初めてみる。
これがそうか。なるほど。確かに名義が私の名前になっている。因みに
現物株式の発行は当然ながらリスクを伴う。郵便事故はリスクとしてはゼロ
にはならないことから、紛失した場合には再発行手続きが必要。その場合
には時価の1%程度の手数料が必要らしい。但し、盗まれてもそれが換金
されるリスクはあまりないだろう。何しろ名義本人でなければどの金融
機関でも預託には応じてくれないわけだし、だから簡単に郵送してしま
うんだろうな。この点、小切手と同じ考え方だ。

 行政書士のサイン認証はすぐに終わる。必要書類を用意し現物株を入れて
郵送すると次の日にはBoomから受け取ったとのメールが入る。早い。
但し、現物預託の処理に3-4週間かかるとのことなのでどちらがはやいのか
は微妙だ。実際には米国株を移管してようと思ったのが2月最初。3月に
いろいろ調べて結局現物移管に決めたのは4月の頭。現物発行、書類手続
き、サイン認証、郵送などで4月中旬。そして5月の第二週になって現物
株がめでたくBoomに入った。はっきりいってかなり疲れた。換金してそれ
から送金の方が手間としてはかなり負担が軽い。コストは軽減したが、そ
れまでの時間を無駄と思うか、そうでないかで判断が迷うことだろう。
因みに2月初旬からの株価の推移を考えると結果的に株価が上昇したので
今回の移管は経済的にはプラスとなり、評価損が結構減った。

(終わり)

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