CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】アジア陶芸史

2018-02-21 23:51:44 | 陶磁器を探す旅と名物
アジア陶芸史  著:出川 哲朗、中ノ堂 一信、弓場 紀知ほか

学術書に近い読み物でありました
だいぶ長かったが、ほとんどが年号と場所なので、
かなり読み飛ばしとなってしまったのでありますが、
アジアにおける陶芸の成り立ちが
よくよくわかるもので、非常に楽しく読めました
こんな本が読めるほど、おっさんになったんだなと
しみじみ感激しているのである

さておき、中国、朝鮮、日本を主にして、
東南アジア方面もカバーしつつ、
それぞれの地域で発達し、また影響を及ぼしてきた
陶器、磁器それぞれについてが
つまびらかにされておりまして、
中国での磁器生産の趨勢なんかが、非常にわかりやすく、
これでようやっと、故宮博物院で見てきたそれこれが
なんとなくわかったように思えて
なかなかに満足だったのであります

どの窯が先立ち、それがどのような政治背景によって
発展、そして技術を革新してきたかという部分が
大変に面白くてよかった
いつだって、技術は求められて上達するものでありまして
その影響の大きさというのが、興味深いのでありました
輸出品として、経済の中核を担うものでもあった陶磁器生産というのが
よくよく考えてみれば、もっとクローズアップされて
しかるべきだよなとも思わされて、
グローバル経済のさきがけといっても差し支えないのではないかと
その技術の良し悪し、そして、それに魅了される世界中の人々というのが
なかなか面白く読めたのであります

中国の影響を受けたり、また独自の技術を発展させたりと
様々なことがあった、朝鮮磁器についても面白く、
白磁と青磁のそれぞれの成り立ちがありながら
近代に、やたら青磁が多かったのが
日本による懐古主義の押し付けであったというのが興味深いところ
それによって、技術が復活したり、永らえたりしたという事実もあるというのが
なかなか不思議というか、歴史だなと思わされたりしたのでありました
これもまた、芸術家というジャンルがからむものであるからして、
カウンターも生まれて、より発展を促していくのも
頷けるところなのでありました

日本の歴史については、流石に詳しくて
六古窯の成り立ちから、美濃瀬戸での陶器の発展、
そして磁器が有田や様々な地域で作られるようになるといったところから
近現代に至るまでがわかりやすく解説というか、並べられていたので
勉強にほどよいと感じたのでありました
知ったふりをしている部分が、補完されたようでもあるが
全部をすんなり覚えられたわけではないので
また、どっかの機会でこれを読み返さないといけないかもとも思ったりするのである

惜しいのは、写真が結構いっぱい載ってるのに
白黒ばかりというところでありまして、
いくつか、本物見たなと思い出せるものもあったのだけども、
色つきで見たかったなと感じたりなんだったり
思ったりしながら、結局こういうものは
実物を足しげくかよって見るべきものだわと
結論づけたのであるが
座学に適した本でありました