CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録

2013-11-28 20:15:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録
著:特掃隊長

あまり気が進まない内容だと想いつつも、
先日のNHKスペシャルでやってた独居老人の行く末を思い起こせば
読まざるを得ないと、よくわからない義務感にかられ
ついつい読んでしまったのでありました
内容は、かなりライトにまとめてあると思えますが、
なかなかに、人が死ぬということ
さらには、腐るということについて
こんこんと書かれていました

内容は筆者の方が経験した、
様々な特殊清掃について、つらつらと想いとともに綴った
お仕事エッセーであります
いわゆる死体の清掃といったものが多いようで
なんというか、陰惨極まりない現場で、
仕事として淡々とこなす中、様々な人間模様を見たと
まぁ、そんなお話でありました

それぞれに、思わされるところもあったのですが
それよりは、もっと具体的に
やはり、人間が腐るという現象についての部分が
なんというか、ぐっとくるものがありました
いろいろと、そういったグロ系の小説なんかで、
聞いていた内容そのままのものが、
こちらも文章とはいえ、もっと臨場感があるというか、
見てきたそれで描かれているのは
恐ろしいものがありました
なんというか、臭いが恐ろしいんだろうけど
その描写が、ほとんどないのが逆に怖い、すげぇ怖い

人が死ぬ臭いというのがあるんだそうで、
それが詰まると、人が腐る臭いなのかもしれず、
なんというかな、冷蔵庫で肉を腐らせたというのとは
また別の何かなんだろうなと思うのでありました

あとは、ぶんぶんと飛び回るハエのなにかれについてやら、
腐汁という、人間が溶けたそれというものについて
なんともいえずおぞましさと、仏教的な達観を得そうになる
そんな具合でありました
特に、風呂場で息絶えていたというそれについては
もう、文章でわずかなのに、物凄い衝撃をもって
脳に刻まれてしまった
恐ろしい、人間そうやって死ぬと大変なことになってしまう
そうでないようにがんばろう
あと、電気カーペットには頼らないでおこう(そういうことじゃない)

そんなこんなで、死生観について
あれこれとかんがえさせられるのも確かですが
何よりも、腐るという現象について
それが死ぬということに、リンクするといいますか
ともかく、自分もいずれそうなることを
なんとなし、想像して身震いするのでありました
避けられぬそれなのですが
なんというか、見聞きしただけで乗り越えられるものでもないですな

【読書】100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか

2013-11-27 20:42:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか
著:ジュリアン・バジーニ

哲学書でした
なんか、面白い化学実験の本かしらと
勝手な想像から読み出したのですが、
まさかの哲学入門書というか、哲学するための題材を集めた
なかなか興味深い一冊でありました
これは、この年齢で読んでいてよかった
中学生くらいで読んでいたら、完全に、あれこれと
こじらせた症状を発症したことが
目に浮かぶような内容でありました

内容は、思考実験という、哲学においては
極めてポピュラーな題目検討を行う
そういった題材を集めたものでありまして
私みたいなのでも知っている
「誰も居ない森で木が倒れると音がするか」とか、
マイケル・サンデル教授の授業にも出てきた
「トロッコの問題」やら、「砂山の問題」やらと
そういったものがいくつか見られて
なるほど、こうやって暇な大人が遊んでいたのかと
失礼なことを思ったのであります

そう、私はどうにも、まだ哲学をするほど
人間が熟していないんだろうと思ったのであります
なんというか、答えを出さないというか、あれこれと
理屈を並べて閉塞していくような遊びは
どうも楽しいと思えないというか
辟易するというか、気持ち悪いというか
ともあれ、そんなことを思ってしまうばっかりに
題材のいくつかには、ついつい、カチンとくるというか
それは、言葉遊びの域を出てないじゃんみたいな
そういうのが山ほど出てきたのでありました

哲学によって、何が進んだのか
今もって私にはわからないのでなんともいえませんが、
ただ、書かれている命題は結構興味深いともいえ、
禅問答にも似たそれは、何かわからんが
考えるということに特化した質問でありました
面白いと思えるものもいくつかあった、
あったけども、いくつかは、
前述のとおり、言葉遊びでしかないというか
なんか、たとえが悪いせいか、しっくりこないみたいな
そういうことを覚えたのでありました

ともあれ、哲学好きな人や
興味のある人には非常に楽しいものだったんだろうと
読み終わるのに、考えないといけないから
凄い疲れたのと時間かかったのが辟易でありましたが
それなりに楽しめた本でありましたとさ

【映画】清須会議

2013-11-26 20:13:06 | ドラマ映画テレビ感想
先日、原作本を読んだこともありまして、
本編といいますか、映画のほうも見てきました

三谷作品については、遠く昔、新選組!を見たくらいで、
正直なところ、ほとんど何も知らないという体たらく
ずいぶん面白い喜劇脚本だと聞いていたので
どれくらい、戦国時代を笑える空間にしてくれるか
そんなことを楽しみにして見に行ったのでありました

あれ、原作とだいぶ違う

読んでいかないほうがよかったんじゃないか、
そう思うくらい、原作本で笑わせてくるポイントはここらかと、
当たりをつけていたばっかりに、そんなところは
何処吹く風みたいな具合で、正直なところ
ほとんど笑いどころを入れてこなかった
なんだよ、まじめかよ、いや、あんまりまじめでもないよ
足の置き所がない
そんな印象を受けたのでありました

大筋もなにも、史実と重なった部分については
そのとおりといったところなので、
とりたてて何ということもなく、
原作のときと同様に、何か新しい解釈とかが
どばっと披露されるという具合でもなかったので
なんか、拍子抜けだったのでありますが、
原作異常に、松姫の印象だけは色濃くて
ここが、話しの肝だったのかと思わされた次第であります

個人的には、中谷美紀さんの寧が、軽やかというか
新しいというほどでもないが、違ったねねという感じで
楽しく見れたのがよいところでありました
松姫とのくだりも、さらりと流してしまうというか
あの感じは、彼女にしか出せないそれでないか
ちょっと贔屓目にそう思うのでありました
何より、取り立ててなんというわけでもない踊りが、
なんかみずみずしいというか、
とても楽しそうに見えたのがステキでありました
いいなぁ、あんな女房

あとは、期待していた織田のせがれ二人の
バカっぷりでありましたが、
そこまででないといいますか、
信雄のほうは、絵に描いた阿呆という具合で
よかったんだけども、もう少し突き抜けてバカでもよかったんじゃないかと
ちょっと残念に思った次第、いや、あれでも
十分に酷いんだけども、もう一声あっても
この際よかったんじゃないかなと思うのでありました

その他については、あんまりしょぼくれた感じにならなかった
権六勝家の姿がよろしかったというか、
お市さまとのやりとりが微笑ましくよろしかったなぁと
そんな、柔らかい感想になったのでありました
物凄く笑うということはないものの
暗いところもなく、小笑いをしながら楽しめる
そんな映画でありました

【読書】真夏の方程式

2013-11-25 21:16:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
真夏の方程式  作:東野圭吾

ちょっと後味の悪いミステリでした
主役の一人に子供がいるというのが、
非常にわかりやすく、子供に説明する体で、
さらっとトリックを明かしてしまうあたりとかは、
なるほどなぁと、わかりやすく楽しめたのでありますが
ちょっと動機と、内容と、
人生に強い影響を受けたある人については、
なんというか、しっくりこないオチであったように思います

しかし、それは別として、
博士と呼ばれながら、子供の宿題を手伝うガリレオ先生の姿は、
なんというか、これはこれで夏休みの宿題編みたいな
爽やかさがあって楽しかったように思うところ
特に、あれやこれやと企業やなんやとの間で、
つまらない話しをしているよりは
楽しそうにしているガリレオ先生の姿というのが
微笑ましいというべきか、いいなぁと
これは姿がまぶたの裏に浮かぶ感じだなと
感心しきりでありました
そう思うと、もうちょっとライトな事件で
二人の友情を描くといった
そんな話しも見たかったかもしれないなどと
思ったりしてしまうのでありました

トリックについては、さして面白いところがなく、
それよりは、様々な人間関係がありあり浮かんでくるところが
なかなか頼もしく面白い、そんな按配でして
東京で、あれこれと地味な探索を続ける
刑事二人のやりとりとか、だんだんと明るみを帯びるそれらが、
ほとんど、ガリレオ先生の思うとおりというのを
ただ確認するだけなんていうところは
いかにもという感じでありましたが、
大詰めの口を割らない被疑者というか、関係者の部分については
少なからず感動があったように思うのであります
最近、年齢を重ねたせいで
ああいった演出に弱い

と、まぁそんなわけで
楽しく読んだものの、これわと
前のめりになるほどではなかったと
そんな感想でありました

八重の桜  残された時間

2013-11-24 20:45:22 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「八重の桜」
視聴完了しました
ちょとたるんでいたように思ったところ、
ぱしっと、決まった回であったと
満足しております

冒頭から、伊藤と大隈の会談があり、
さらりと「政治理念の違いなど瑣末なこと」と
言わしめたのは非常によい台詞でありました
本当に大切なことが何か、そしてそれを為せるのは誰か
そういう会話というのは、幕末の匂いが残る
この時期ならではなんでないかしらと、
新しさに目を見張るのでありました
あれが、ちょっと時間が経つと、なんというかな、
そうではない誰かを選ぶといったことになるんだろうと
まぁ、あの頃も実質は、藩閥だったので
大した話しでもないんだが
ともあれ、よいシーンでありました

その後、寄付金を集めるために奔走する
新島夫妻を描いていたわけでありますが、
コミカルでもありつつ、財界のかたがたとの会合は
もうちょっと脂っこい感じに書いてもよかったんじゃないかと
物足らなさを思ったものの、
台帳に、岩崎弥之助の名前があったのが
なんというかぐっときました、いいですね
代替わりしているんですな、哀しいが面白い

その財界人のあれこれは、もうちょっと面白く描いて
政商というその姿をあぶってもよかったんじゃないかと
ついつい贅沢をいってしまいますが、
彼らの毒に中ったかのように、襄が倒れるのは
それまた、話しが違うということで
今回のは仕方ないのかと勝手にひとりごちるのであります

鎌倉静養については、八重がちゃんと決まっていたのに
襄がなんせへっぽこであるというのが
構えから見てとれるというのは
いい見せ方だなと、射的場の姿は楽しい一幕でありました
その後、まぁ、解っていたものの
襄の死期が迫るということの様子でありまして、
ちょっと話数も数えてみたら、襄が死んで2回くらいで、
兄様、母様を看取りながら、看護婦になるのかならないのか
なんというか、どうするのか見えないまでも
大学設立されたというあたりで終わるのかなと
今回ので思ったのでありました

2013年 信楽焼まつり

2013-11-21 20:45:19 | 陶磁器を探す旅と名物
書くの忘れていました
今年もちゃんと行ってきたのでメモっておきます

10月だったと思いますが、信楽の陶器祭りにいってきました
今年はビッグな台風のせいで、道が封鎖されるなど
かなり開催が危ぶまれる内容でありましたが、
会場を分散するという手段に出られたらしく
いつもよりは、少し閑散というか、とてつもなく広く
あちこち回ることになったので
なんというか新鮮でありました
おかげで、面白いものも見えたのでよいのです

メイン会場は、陶芸の森だけとなっていましたが
それ以外のところもバスで移動して回ることができて
散策にほどよいといった具合で、
老若男女がうろうろしていたのが印象的であります
今回の目玉というか、特色のひとつに
街の辻辻にアートなたぬきが立っているという企画
これが、予想以上にアートでありまして
まぁ、平たくいうと、異様なわけでして
大変面白かった
なんでカメラ持っていかなかったんだろうか
我ながら残念に思うのですが、
見たことない色とか模様のたぬきどもは、
眼福はなはだしいものでありました

そんな面白イベントを包括しながら、
陶芸の森会場は盛況でして、
あれやこれやといつもの若手から、年寄りまでの
様々な作家さんテントが並び、
陶芸の森本館の中でも、新しい取組の紹介はいつもどおりだけど、
今回は、より、若手作家をクローズアップしているのか
様々な若手作品が並んでいたのが印象的でありました
なかなかステキなのも多く、
陶人形のジャンルは、信楽ではあまり見ないこともあって
目を見張るものがありました

まぁ、そんなわけで、規模が小さいというか
買い物というのには向かない感じではあったものの、
祭りとしては非常に楽しく、満足して帰ってきたのであります
毎年、何かしら新しいものをと苦慮されている姿が、
信楽祭りのいいところだと、安住しないところに
好感を覚えるのであります

【読書】容疑者Xの献身

2013-11-20 20:56:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
容疑者Xの献身  作:東野圭吾

代表作と言っていいのでしょうか、
氏にとっても、かなり有名な作品であります
直木賞受賞作を読みました
なかなか面白かった
そうか、これが、あのガリレオなのか
ガリレオ先生の話しは、映像も小説も
まったく知らなかったので新鮮でありました

前回、流星の絆を読んだおかげで、序盤から様々に
トリックのヒントがばら撒かれるとわかっていたので
丁寧に読んだ結果、なるほど、だいたいこうかと
楽しみながら読むことができて
個人的に満足なのであります
これはこれで、なんというか、読むタイミングとか
経験というのは、小説を消化するうえで大切なんだなと
妙な感心を覚えたのですが、それはそれ
物凄く裏をかかれたということはないものの、
その題名のとおり、献身と呼ぶのか、
それは、むしろ反則だと思うようなそれについて
違和感を感じさせないほどの
人間の情みたいなのを描いていたといっていいのか
ちょっと褒めすぎだなと思うものの
納得の楽しさだったのでありました

物理学者という肩書きと、数学者という肩書きが
犯罪でぶつかるというと、現象はとらえているけど
印象と異なるそれでありまして、
台詞に出てきた「ある仮説についてのアプローチ」が、
全体のテーマであって楽しかった
別段、凄い数学というわけでもないし、
そういう考え方を強いられるものでもなかったけども、
単純な思い込みを利用したトリックを
ほぼ、不可能なピースを使うことで実現したと
まぁ、そういうお話でありました
いい塩梅です
いろいろと厭わないという、その姿勢に惹かれます

事件が、二転三転としていくわけではなく、
ただただ、ある人が描いたままに進むというのは
推理とは違う、サスペンス体験をさせてもらえて
なんというか、興奮を覚えたのでありますけども
みんながわからないままに、
シナリオに沿っていくだけで、大きな誘導にひっかかる
これは醍醐味だと楽しくなったのでありました

何かいてるかさっぱりわかりませんが
ともかく、楽しめたのでよいとするのでありました

【読書】夢を売る男

2013-11-19 20:35:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
夢を売る男  作:百田尚樹

精力的に話題作を消化しております
百田氏の小説については、BOX!と影法師で知って
探偵内とスクープの構成作家だけあって、
おとしどころがいいというか、いずれも
青春を描いていて、少しくらいところを持たせながら
すがすがしく駆け抜けていくようでいいなと
まぁ、そんな印象を持っていました
ありていにいうと、青春物が得意なんだろうかななんて
思っていたのであります

しかし、今作はまったく違って、
なんというか、つくりというか手法は一緒に見えるものの
今回のは、現代語版の落語なんじゃないかと
そう思えるような、軽妙な台詞で物語を回す
そして、内容は業界暴露もののような
なかなか興味深い内容でありました

もっと若い時分に読んでいたら、途中で憤りを覚えたかもしれない
そう思うような、悪辣なといっていいのか、
一言でいえば詐欺みたいな内容だったんですが、
なかなかに面白く、そして、批評や批判というには、
あまりにも一辺倒で、どっちかというと、
印刷業界あるあるみたいな話しを
台詞で見せるという、非常に興味深い小説でありました

ちょっとズルイ作りなんじゃないかしらと、
別に業界の人間でもないのに思いつつも、
いろいろな小説業界批判をし、それとは別に
商業ベースの話しを持ち込んで、
巧みに論点がずれていくというか、
別にそんな論点というか、そもそも論争はそこに無いと、まぁ
雰囲気であれこれ見せた、完全に詐欺な作品(褒めてる)で、
凄いなぁと感心してしまったのであります

あまり深く考えてしまえばしまうほど、
術中にはまったというそれなんだろうと想いつつ、
こうやって描かれると、なかなか思い当たるところもたくさんあるしと、
完全に詐欺の手口と同じ内容で作られているので
大変ためになったというか、面白かったのであります

出てくる被害者というか、夢を買った人たちに対して
身に覚えがあったりなかったりするのも
なかなか香ばしい感じでよかった
最近は、こういうあるあるネタっぽいのが
流行なのかしらと、ちょっと前に読んだ「何者」も含めて
考えさせられるのでありました

ともあれ、照れ隠しか、渾身のギャグなのか
作中で「百田なんとかという作家がいるが、あれも消える作家だ」と
切り刻んでいるのも面白いと思ったのでした
せっかくだから、夢を買った人たちのその後みたいなのも
ちょっと読みたかったかしらと思ったりしつつ
書いてあること、その現状把握みたいなところは
考えさせられるのでありましたとさ

【読書】流星の絆

2013-11-18 21:11:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
流星の絆  作:東野圭吾

流行作家のものをちゃんと読もう
そう思いまして、今まで敬遠していたものにも
手を出し始めたのでありますが
前回の「夜明けの街で」が、あんまりぴんと来なかった
そういうわけで、ファンの人に聞いて
これだったらというのを推薦していただいた次第
その中の一つがこの作品でありました

これは面白い、なんという面白さだ

流行作家、ミリオンセラーというものの価値というか
実力というか、その凄まじさを文章というか
小説から感じ取りました、無茶苦茶面白かった
いや、無茶苦茶は言いすぎかもしれない
が、非常に面白くて止まらなかった
あんなに分厚いのに、あっという間に読んでしまった

ミステリは、相変わらず読む機会が少ないのも功を奏して
完全にやられたというオチに、凄く小説を読んだ満足感を
ひしひしと感じたわけなんですが
ミスリードというか、そうか、こうやって書くものなのか…
蓋が開いたときに、ああ、あれはこれで、これはあれなのか
そういう、一気に全てが繋がるようなこの体験は
ミステリ小説の醍醐味でありましょう
それを、私はこの小説で味わったのでありました

オムライスや、詐欺その他については、
まぁそうかなというところでありましたが、
実に速い段階から仕掛けがあって、
しかも、そこから遠ざかるようにと誘われたみたいに
オチ部分、本当にその間際まで、
いや、レシピの件はどっちだろう、どっちが盗んだんだろうと
そんなことを悩んだりして、ページを繰ったのであります
もう、とっくにその答えは書いてあったのに
あんな間際まで気づかない俺のバカ、本当にバカ

そうやってやきもきしながら、
すげぇ楽しく小説を読んだと心から思った作品でして
なかなかどうして、楽しすぎたのであります

よくよく考えると、その都合がよすぎる部分も
いくつか見つかるというか、序盤はそれが強い
逆にいうと、そこに気をとられるように作られていたんだろうかと
うがってしまうようなところもありましたが、
つらつらと、一見当たっていそうな台詞のあとに、
そのとおりになる描写が続いてしまうと
そういうものかと、うっかり騙されてしまうという
なかなか悔しい経験であります

何よりも、その描写がありありと映像になって浮かぶというか、
本当に、あんなスピードで読んだのに情景が
なんとなく思い浮かんでいて、見てきたかのように理解できたと
これはもう、文章の力がまるで違うんだろうと
驚いたのでありました、どこの描写というでもなく
日常の、ちょっとした描写ひとつひとつが、
無駄がないというか、後に繋がる描写もあれば、
さもありそう、そして、キャラクタづけとして凄く気の利いた
そんなところを思い知ったのでありました

すげぇ、面白かった

八重の桜  駆け落ち

2013-11-17 20:46:58 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「八重の桜」
視聴完了であります
こういう話になるのは予想していましたが、
もうちょっとダイナミズムというか、
なんかないかしらと、少し残念に思ってしまうところでありました
今回も結局は、身内が駆け落ちするかしないかと
まぁ、それだけの話しだったわけでありまして
もそっとなんか、世の中の動きか
あるいは、大学設立の動きでもいいから
なかったんだろうかと、
珍しく辛く覚えたのであります

とはいえ、今回じっくり描いてくれたおかげで
徳富蘆花なる、本当絵に描いたような酷い駄目男を
ありありと知ることができて
大変よろしかったのであります
見所が、軟弱がきわまる様であり、
そして軟弱が故に逃げるように消えたという
まぁ、ともかく、あれは酷い
今の時代で見ても軟弱に見えるんだから
当時はもう、首をくくれと罵られても仕方ない
そういった感じだったんでしょう
いかにも、明治の文豪っぽいですな(酷い)

さておき、なんというか小娘の反乱にてこずる八重という
もうひとつ母性が身につかないその姿は
ある意味リアルだったんだろうかなとも思い
これはこれと楽しんだのであります
その傍らのように、ばたばたと、
身内が減っていくという様は哀しい限りでありましたが、
やがて、襄と兄つぁまが続くかと思うと
またまた哀しみは深くなっていくのでありました
よく考えてみると、その二人がなくなって
母様もいなくなったら
八重は独りなのか、それはもう、なんというか
とても哀しいことだな…

ちょっと気づかなくてもいいことに気づいてしまいましたが
ともかく、もはや戦後ではないという酷い台詞を
宛てたくなるほど、いけいけどんどん
幕末は終わりを遂げて、次へ次へと
花開いていく時期なんだなと
まざまざ楽しみなのでありました
もうちょっと、庶民が重税にあえぐ話しを入れると
ちょうど、今年のテーマっぽくなって
もっといいんじゃないかしらと
思わなくもないのでありましたとさ

実験刑事トトリ2

2013-11-16 22:18:37 | ドラマ映画テレビ感想
本日最終回でした
まさかのというほどの驚きもない、
やっぱりかという感じで期待が勝っておりました
ステキ刑事ドラマ、実験刑事トトリの2期でありました
最終回なのに、相変わらずふんわりというか
さほどに何があるわけでもない終わり方で
というか、マコリンのストーカーは
もっと凄いトリックというか、
そんな話しになるかと思ったら、すっかり肩透かし
これは、あれか、途中で3期の話しが出来て
マコリンの話しはひっぱろうとか
そういうことになったのか?

そんな風に思っていたというか、
1期を引いて、山本耕治あたりがストーカーで出てきて…
そんな最終話を勝手に想像していたので
ずいぶん、普通の話しで終わってしまった
いや、最終的には、頼りない先輩のことも気遣ってといった
そんな具合で楽しく終わりました
まぁ、あれくらい肩の力が抜けているのが
このドラマのいいところなんだろうとも思うのであります

肩の力が抜けるというと、
ビリヤードの回が秀逸でありました
予想外の奥さんがいる設定の披露に続いて、
それにさも意味があるかのようにひっぱり、
犯人の復讐というそれに対して
凄く真摯に説得をするトトリくんに
完全に、あれだ、奥さんが殺されて
その復讐に似た何かによって、刑事になったんだ
そういう風に思わされた挙句
あのオチ
すばらしい、完璧にやられた
同時に自分がこのドラマをちゃんと理解していないと
ものすごく面白く思えたのでありました

そんなわけで、どの回も非常にテンポよくて面白く
特に、これという決め手があるわけじゃないのに
面白い推理物ドラマということで
作るほうは大変だろうなと
いらぬ心配をしながらも
非常によい一時間を何週間も過ごせたと
ありがたくメモっておくのでありました

来年もやってくれるといいなあ
あと、やっぱり、栗山千明は可愛いというか
美人だなぁと、それも確認したのであります

【読書】ボルジア家風雲録

2013-11-14 20:34:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
ボルジア家風雲録  作:アレクサンドル・デュマ

名作というか、もはや古典と呼んでもいいのか
デュマという、とんでもない文豪が、
あの頃のイタリア界隈で名を挙げたというか、
悪辣を詰め込んだような一族である、
ボルジア家のロドリーゴ、チェーザレ、ルクレツィアの
生きた様を描いた小説と呼んでいいのかもわからない
そんな本でありました
新訳版なんでありましょうか、それもよくわからぬまま
最近発行されたらしいので読んだのでありました

内容は、あの塩野先生のそれを思い起こさせるそれで、
まぁ、当然これが一つの下敷きなんだろうと思えば
不思議ではないのでありますが、
すっかり記憶が薄れていたそれこれが甦って、
また、悪逆のそれこれを、さっぱり柔らか味をもたせずに
あらあらと書き連ねられていまして、
これは本当、酷い悪党だなと思わされるのでありました
ダークヒーローとか、そんな生易しいものではなくて、
純粋に悪だったんじゃないかと
そう思うほどであります

ちょっとルクレツィアがどんなだったのかの描写が少ないので、
なんとなし、親兄弟に慰み者にされながらも、
特段暗いところもない、ある種聖母のようでもあったようにも
見えなくもない様子だったのは衝撃でありますが、
チェーザレの深い闇と、ロドリーゴの凄まじい権力、
なによりも、キリスト教というそれを
金儲けに利用し倒したかのような物語というか
話しには、釘付けになってしまうのでありましたとさ

イタリア名は、名前なのか土地名なのかもわからない
そんなところもあって、目が滑ってしまうことも
しばしばあったものの、なかなかに面白く
もうちょっと、イタリア史の勉強をするべきかしらなんて
思わされるような、そういう感想を抱いて
メモをしたのでありましたとさ
さっぱりまとまらない
面白かったはずなのに、なぜだ

八丁味噌の郷 カクキュー

2013-11-12 20:05:29 | 食べ物飲み物
どっちかというと、名物紹介のようにも思いますが、
先日、岡ざえもんに会いに、岡崎まで行ったところ、
当人には会えずに終わるも、
純情きらりめぐりをしようと、
「本物の」八丁味噌蔵であるカクキューさんの
資料館にいってまいりました

当の本人というか、カクキューさんはあんまり言いませんが、
岡崎城から八丁の間にある味噌蔵が、
由緒正しい「八丁味噌」を名乗れるというわけで、
その老舗中の老舗の名店であります
というか、名店すぎて、一般に売られているそれであります
おいしいよね、カクキューの八丁味噌

さて、そのカクキューさんを見学してきたわけでして、
有名な味噌蔵をぶらり楽しみ、ああ、あの樽の上に宮崎あおいがとか、
あれこれ想いをはせつつ、味噌つくり工程を楽しめるのであります

豆味噌という、全国で見ても珍しいジャンルである
この八丁味噌というそれについて、作り方の説明と
蔵そのもの、そして現役の味噌樽、それらを
様々な説明とともに見られるステキな場所であります

中では、味噌の食べ比べもさせてもらえまして、
味噌煮になったこんにゃくや、
味噌汁を八丁味噌と合わせの飲み比べなんて、
そういうこともできたりする
さらには、味噌のソフトクリームというステキ極まりない
しょっぱいのか甘いのかわかんないけど
あれ、美味しいという、不思議な食べ物までありまして
なんだかんだ、どっぷりと楽しめるのでありました

さて、そしてこのカクキューですが、

味噌煮込みうどんのインスタント製品が非常に美味しい
個人的には、スガキヤのコストパフォーマンスのまま、
グレードを上げたといいますか、
ともかく大変美味しい、これに
かしわと、長ネギをいれて、卵でも落とした日には、
もうそれだけで、美味しい味噌煮込みうどんを食べられる
なんちゃって、味噌煮込みを出すような
みやげ物向け店で出すような、たるいそれとは
まったく別物の濃厚な本物を食べられるとか、
なんか、妙に宣伝してしまうようでありますが、

あまりの寒さに、作って食ったら
郷愁をともなって、凄く美味しかったと
そんな独り身のさもしいお話とともに
メモるのであります
味噌煮込みは、冬の風物詩であります

【読書】ホテルローヤル

2013-11-11 20:17:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
ホテルローヤル  作:桜木 紫乃

続けて、直木賞受賞作を読みました
読んで驚いたのですが、これが直木賞?芥川賞の間違いじゃないのか
そう思うほど、短い作品、短編集でありました
もっとも、題名にもなっている、ホテルローヤルという
共通の項で、それぞれ時間軸も関係も異なる
不思議な人間関係を描いた作品でありました
私としては、ちょっと消化不良という具合の内容で、
続きが気になるというか、あそこはどうなんだと
あれこれ詮索したくなるようなところで終わっていて、
その後を引く感じが、なんだか魅力のように
思われるのでした

廃業したラブホテル「ローヤル」というところから
スタートしまして、だんだんとそのローヤルを中心に、
物語の時代はさかのぼっていく、
ローヤルで行われた様々な性交渉を含む関係、
ローヤルに携わる人たちの話、
ローヤルそのものの設立のいわれ、
そんな風にどんどんとさかのぼっていきまして、
全てが、何か共通のもので繋がるわけもなく、
ただ、ホテルローヤルという場所というか、
そこだけが共通であったという物語の集まり
それぞれに思わされることがあるものの
その短編の中で、一つ、これがと思ったのが
ほとんど寝取られみたいなお話でありまして、

ちょっとしたネタバレになってしまうので
深くは書かないものの、この内容だけが、
ほのかに明るいというか、その真実が暗いだけに
裏返ったというか、あきらめたような明るさが
そこかしこから見えて、この短編だけ
空気と、調子が違って好きでありました
それ以外も不思議なところがあって
なかなか面白いのでありますが、
異彩を放つということもあって、この一遍が素晴らしい

そして、その一遍の内容こそが、
ローヤルにおいて、どの噺と繋がっていたんだろうかと
不思議というか、消化できなかったところでありまして、
私が読み落としていただけなら残念でありますが
はてさてなんて、思ったり
ひょっとしたら、また別の形で続きが描かれるんだろうかと
思ってしまうのでありました

ほどよく読み薦められて、じっくりと味わえる
よい短編集でありました

八重の桜  不義の噂

2013-11-10 20:45:47 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「八重の桜」
視聴完了であります
先週に続いて、過程の四方山話という感じでしたが
なかなか、面白く調理されていたと
満足している次第であります

本当はどうだったか、よくわからないんだそうですが、
いろいろと、勝手に思い描いてしまうと、
八重がずっといびってたから、それに耐えかねて
あんなことになって、挙句ということがあったんじゃないか
そういう具合の、これもまた噂になったんじゃないかと
考えてしまうわけですけども、
今回のこの事件の扱い方には、なるほど
うまく回収していくと、うなったのでありました
ああしておけば、八重が怒ったというところに
説明がつくなと感心しきりでありました

さておき、その裏で、もう京都の市政とも
さほどにかかわりなくなってしまったばっかりに、
政府がどうなっているかがわからないところ、
太政官が廃止されて、総理大臣が出来上がると
まぁ、そういうお話もちらりと紹介
この物語は、最後どこまで描くんだろうかなと
ちょっと不安になってきたのでありますが
ここまで、伊藤をクローズアップしてるということは、
日清あたりで終わるというところなんだろうか
どうなのかと気になる次第
残りも少なくなってきたので、
どきどきと見守っていくのでありました

ちなみに、今回の話は
どう考えても、間男が悪いよなと、
あいつの評判が、ものすごく私のなかで落ちていくという
そんな噺でありましたとさ

あとは、若い兄つぁまが出てきたのが新鮮というか
演技をかえたという懐かしさではなく、
あの頃は元気だったという懐かしさに
なんというか、胸が詰まるようでありました
あの兄つぁまが、京都市政をとなっていたら
また、どうだったんだろうかな
そうでなかったから、なれたんだろうか