CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】キアズマ

2018-02-06 21:04:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
キアズマ  作:近藤 史恵

結構飛び飛びで読んでしまっていますが、
相変わらず面白いシリーズであります
自転車競技、ロードレースについての物語でありますが、
今回は、学生時代にターゲットして、
そこでひょんなことから自転車競技に出会ってしまった主人公と
そこに居る、偏屈というか、扱いにくいエースの男との友情というか
やりとり、エースとアシストの立場、
などなどと、様々にいったりきたりがあって
非常に男臭くて面白いドラマが読めたのであります

過去を背負って生きてるのは、
自分だけではないと、当たり前のことなのだけども、
その重さや、特別さというのが、
若いからとは言い切れないが、はっきりと
自分の重みとして感じてしまい、そこと折り合い、葛藤する様が
非常に読みどころであったと思うところ
読み終わってみると、そこが見事に昇華されているというか、
二人の交じり合わない重さが、
うまく言葉を通じ合わせることなんてなくも、
気持ちや、態度や、その生き方で通じていくような
交錯するというドラマチックな展開に
惚れ惚れとしてしまったのでありました
こんなかっこいいことは、そうそうないだろうと思うけども、
そういうドラマが自分にもあるならばと
考えるだけで、もうちょっとがんばって生きてみようかなんて
ほだされてしまいそうな、熱さがあってよかった

命を背負うという言葉で表されていたけども、
実際は、そうではなくて、いや、その成分も含んでいるんだが
やっぱり、生きるうえでの覚悟を物語ったもので、
そこに真摯であるというか、
もう、そう決めたのだから、そうしていると
理屈を越えたような具合が、感動を呼ぶようで
しんどいとか、そういうことではなく、
生き様のよしあしみたいなのが伝わってきて
凄い感動したのでありました

暑苦しくて、学生時代に読んだら
さらにもっと、熱くなって読めただろうと思いつつも、
こんなおっさんになっても、なんか火をつけられるような
イグニッションポイントが見える
ステキな物語で、大変楽しめたのでありました

自転車乗りたくなるが、
おそらくそういうことではないのだな、
ここで描かれている興奮を得ようとすると
それは、自転車という手法じゃなくて、
たまたま彼らは自転車だったというだけで、
もっと精神的な、もっと異なる何かのためだからだと
わかったりして、ちょっと哀しいが
楽しいのである
そういうものが、まだ求められるだろうかしら