CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】漁港の肉子ちゃん

2017-09-13 21:17:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
漁港の肉子ちゃん  作:西 加奈子

ハートフルコメディでした
全面的な優しさというか、母性みたいなのがこれでもかと描かれていて
それが子供視線から描かれて、うざったいなぁと思いつつも
そのありがたさみたいなのが、読み手としてはわかるというか
まぁ、なんとも、最終的に泣いてしまったわ
こういう母がどうしたという話に、とことん弱いのであります

そう書いたものの、母親の優しさみたいなのが
これでもかとしみったれたでもないが、
これ見よがしに書かれているわけじゃなく、
ちょっと頭弱いんじゃないの?と娘が思っている母親の
まぁ、実際に、深く考えておらず、
ありのままに生きていて、そのために失敗していると
そんな情景を、ちょっと冷めたように描いているという具合で
しかし、無条件に愛情というか、
たくましい、強いというのは、母親なるものの特権だなと
改めて思わされたりしたんだが、
これもまた、読み方を私が間違えていまして
母親だからというではない、
この肉子ちゃんという女性ならではのものなのだなと
感心しきりだったのであります
ただ、こういう感じを母性と呼ぶんじゃないかと思えば
みんなのお母さんというか、おねーちゃんだったり、
楽しいおばさんだったりするのであろうと感じるのであります

主人公の、ちょっと達観した女の子の成長も
本当に少しずつの変化で描かれているのも素晴らしく
女性作家ならではなのかわからんが、
詳細な小学校くらいの女の子の機微みたいなのが盛り込まれていて
ああ、小学生男子だった時分、よくわからないことは
こういうことだったのかしらねと
また、小説から学ぶという危険なことを冒したりしつつ
楽しんだのでありました

最終的には、まぁそういうことかなと思っていた
ある思い出話が出てきて、大団円というか感動を催す展開になるわけで
なんとも、特にこれがというお話でもないのだけども
読み終わって、がんばって働きましょうと
思わされるような何かが詰まっていたんじゃないかと
思ったりするのであります

お母さん像が少し前のお母さんというか、
自分の母親くらいの世代が言いそうなことだよなと
ちょっとだけ感じたのでありますが
それはそれ、だからこそか、胸に響いたように思うのであります