HAYASHI-NO-KO

雑草三昧、時々独り言

2005.07-3

2004-12-04 | 過去ログ


サルスベリ 百日紅
猿滑デアル。
私には、高校時代に立ち読みした福長武彦の「草の花」を必ず想起させる花。
東京郊外・清瀬村のサナトリウムの庭にあったサルスベリの冬姿が、その小説の書き出しだった。
ただ、それだけのことだけれど……。
夏の花として、夾竹桃との対比で語られる事の多い花。
暑い日差しの中でも、夏中咲き続ける花には、やはり畏敬の念を持つし、我慢強さを感じる。


サルビア・ガラニチカ
メドウ・セージと呼ばれることの方が多い。
ものの本には「本来、メドウ・セージと呼ばれるのはこの花ではなく、サルビア・プラテンシスの方だが…」と書かれている。
どちらが本家なのかは知らないし、まして私などつい最近まで、
サルビアと言えば「赤い花」しか知らなかった。


セイヨウニンジンボク
築山の上に、また咲き始めた。
ナンジャモンジャの時もそうだったけれど、ちょうど睡蓮池の対岸だから、
休憩している人たちからはよく見えるようで、かなりの人たちが集まる。
だから、のんびり写真撮っていると必ず話しかけられる。
「この花は、なんと言う名前ですか」
ここは植物園、しっかり名札が下がっているのだけど、やはり聞くほうが早い、のだろう。
そして決まって次の質問が飛んでくる。
「ニンジンボク??、何処にできるのです??」
「チョウセンニンジンの葉に似ているから、らしいですよ。」
「ニンジンの葉??」 と説明しながら、
チョウセンニンジンの説明までやらされちゃ困るなぁ~と、突然寡黙を装いたくなる。
チョウセンニンジンの葉なんて、本物見たことないんだから。


タケニグサ 竹似草
ケシ科 Macleaya cordata
新宿の母と子の森の一箇所だけでしか見たことが無い。
薄暗い場所だし、そこに辿り着くのには草むらを分けないといけない。
間違いなく、蜘蛛が毎日糸を掛けているから、その巣を引っ掛ける心配もある。 それでも、近付いて撮る勇気があれば意外に優しい花を見ることが出来る。


ツユクサ 露草
花弁はミッキーマウスの耳。
三つの飾り雄蘂は花粉の運び屋さんを呼び寄せる風車。
一本だけ飛び出しているのもご愛嬌。
役に立つ雄蘂は二本。しっかりと花粉を蓄えている。
雌蘂は下を向いている。
と、今日も懲りずにルーペ出して眺めていたら、
「可愛い花ですねぇ~」と、頭上で人の声がする。
ルーペをお貸ししようと思って腰を上げたら、ブッドレアをご覧になっていた。


トケイソウ
トケイソウ科 Passiflora caerulea
パッションは、「passion = 激情」ではなく、「the Passion = キリストの受難」
どこの説明にもそう書いてある。
だけどそんな説明よりも「時計の文字盤に似ているから時計草」の方がすっきりしていて良い。
むしろ、上の説明はこんな人の為に必要かも知れない。
「仲間にはクダモノトケイソウって言うのがあって、その果実がパッション・フルーツと呼ばれているんですよ」
「あぁ、そうそう、熱帯植物だから、情熱的なんだ」
この花は、大船植物園に行く途中の、鎌倉市植木にある。
そこには、濃赤紫色も咲いている。


トマトダマシ
素手で触らないほうがいい。
ワルナスビに負けず劣らずの、葉にも茎にも鋭い刺。


トロロアオイ 黄蜀葵
赤い花は、モミジアオイ 紅蜀葵。
黄色の花だから、黄蜀葵。
オクラの花にも、ワタの花にも似ている。
モミジアオイは、もう何度も見つけたけれど、この花はやっと去年、舞岡の畑の中で見つけた。
この花に纏わる中学時代の夏の話は去年、このブログに舞岡で撮った花を掲出した折に書いたと思う。
今日、新宿では、草丈50センチに満たないのに花を付けていた。
やはりこの花は夏空の下で、すっくと伸びた茎に青空を透かして見る薄いクリーム色が良い。


ネムノキ 合歓花
この花には、数え切れないエピソードがある。
兵庫県の最高峰・氷ノ山(ひょうのせん/須賀ノ山)に登ったのは、晩秋、
通常ルートではなく南の戸倉峠から。
だから、この花は咲いていなかったのだけど、初日の幕営地・奥戸倉小屋では暴風雨に遭った。
それでも僕たちは夜を徹して政治から文学論、大衆芸能まであらゆるジャンルで激論を戦わせた。
その深夜、突然歌唱指導が始まった。
むさ苦しいだけの男所帯の中で「ネムの木」という歌は、
余りにも場違いだったから余計に、今でも印象深い歌としてその翌朝の新雪と共に残っている。

ネムの木のその下で ほろほろと泣いた人 風もない夕暮れに 揺れていた黒髪よ
ネムの木を見下ろして 瞬いた青い星 星よりもまだ遠い 僕たちの道だった
ネムの木の葉のように 今はただ眠ろうよ 別れても離れても 夢ならば会えるもの

昔もそうだけど、いまじゃ、こんなに心境になることは無い。
それでも、自転車で大仏坂を抜けた辺りで見つけたこの合歓花に、その当時の仲間たちのヒゲ面を思い出した。


ノウゼンカズラ 凌霄花
今年二度目の撮影。 隣の柿の木が絶好の背景になる。
長く伸びた蔓の、根元に近いほうには咲き始めたばかりの花が一つ。
明日開く蕾が幾つか膨らんでいる。
花びらは四枚に見えるけど、合弁花。重なり合った部分を良く見ると小さな隙間が、穴のように見える。

ノウゼンカズラ 凌霄花
灰色がかった曇天を背にしたノウゼンカズラ。
今年のほうが、花付きは良いみたい。
だけど、一日花だから、早く撮っておかないと……、そう思いながら撮る機会がどんどん過ぎてしまう今年。
ご近所の浜野さん宅のこの花は、通りすがりの人たちにも評判の花。

ノウゼンカズラ 凌霄花
ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属 Campsis grandiflora
ご近所の浜野さんは、とにかく几帳面な方だ。
お世辞にも広いとはいえない庭だけれど、その生垣はいつも綺麗に刈り込みされている。
そこに育っている柿の木と、この凌霄花は毎年楽しみにされている方も多い。
勿論だが、私も女房殿もその仲間だ。
去年は、初めて手にしたデジカメでその開花を撮らせて頂いたお礼に、六つ切版をお届けした。
今年も、綺麗に手入れされたその蔓に、ビッシリと蕾が付いている。
そろそろ梅雨も終わりに近付いて、この花の似合う強い日差しが照りつけ始める。


バイカアマチャ
ユキノシタ科バイカアマチャ属 Platycrater arguta
紫陽花の鎌倉、だからそれぞれの花好きはお目当ての紫陽花を求めて
梅雨空を気にしながら(半ば、小雨を期待しながら)古都を歩く。
何処にでもあじさいは咲いているし、その場所に応じた花色だったり花姿だったり七変化だ。
今年は光則寺で、思う存分にヤマアジサイを堪能させて頂けた。
そのヤマアジサイも、そろそろ終わりだと思って今日、もう一度訪ねた。
教えて頂いていた、ちょっと変わり者の花、バイカアマチャが少しだけ残っていた。
「ギンバイソウも欲しいですね」なんて勝手な事を話す写真ヤに、
同じ花好きのカメラマンはニコニコ笑いながら話して下さった。
『良くご存知だから、来年は何処かで貰って来て頂きましょうか。
こちらには、ヤマアジサイの愛好家の方から幾つかの鉢植えが寄せられているそうですから…』
「あぁ、稲村ヶ崎の…、ついでに、四国辺りから、キレンゲショウマも…」
そんな会話が時には嬉しい。
参考→ギンバイソウ画像


ハコベホウズキ
ナス科 Salpishroa rhomboidea 見た目の印象は、可愛い。
咲き始めも、優しい緑のハコベ風の葉が、やはりその名前通りに可愛い。
花も、釣鐘型で下向きに咲くから、やはり可愛い。
だけど、この花の終わり頃に、木場公園・帰化植物見本園を訪ねると印象は一変してしまう。
とにかく、枯れた蔓がだらしなく廻りに伸び放題になっている様を見ると、
千年の恋も醒めるってやつだ…と、かなり酷い書きかただけど、
だからと言って嫌いな花ではない。
ただ、その繁殖力でやはり嫌われている植物には違いない。


バショウ 芭蕉
花穂がぶら下がりかけている。
咲き終わった花穂には、バナナ…、とは言わないのだろう。


ハス ミセス・スローカム
去年も確か、一番最初に見た蓮。
今年も入り口近くに咲いている。
少し開きすぎているこの様子からは、咲いて三日目だろうか。
だから、明日の午後には花びらは落ちている。
蓮は開いた翌日の朝が一番綺麗に見える。
もうひとつの蕾は、明日開くだろうけど雨になりそうだ。
アメリカの園芸家の作出。
だから、その奥様に捧げられたのだと熊坂園長の話。
スローカム婦人じゃなく、例えば「マーガレット・スローカム」なんて付けられないのかなぁ~なんて話したっけなぁ。


ハス
大賀蓮である。
何処にでもあるそうである。
それでも「大賀蓮」の名前だけで、何人ものカメラマンが鉢を取り囲んでいる。


ハス 天竺斑
『なんとか撮れましたよ。』、
かなりイライラが募っていらっしゃる感じだった初老のカメラマンは、
私の耳元でそう囁いて、大賀蓮の隣にあったこの花を撮った。
「ほんとは、大賀蓮に差し込んだ日差しの直前が良かったですね」
そう話す私に、 『そう、三脚立てられちゃ、その前に陣取れないもんね』


ハス 明美紅
熊坂園長と、「マーガレット・スローカム」なんて勝手な名前付けたのは、この鉢に「明美紅」と付いていたから。
「日本人だった名前つけてるんだからねぇ」
「明美さん、なのかどうかは判りませんよ」
「そう言えば、そうですよねぇ」 と言いながら、
私はガガブタやヒメシロアサザを撮りに池の方へ、熊坂さんは早朝開園で賑わっている蓮の方へ向った。
ちょうどあれから一年が巡ってきた。


ハス
今朝開いた蓮。
毎年、この時期になると大船植物園では、早朝に開く蓮の鑑賞会。
開園時間も三時間早く六時。
去年は殆ど蓮の花は撮らなかったから、今年は…と出掛けたけれど、
「大賀蓮」の前でちょっとしたハプニング。
一団が去った後で、ガガブタやヒメシロアサザを撮っている間に、なんとか気分も回復。
まぁ、ひと様々、カメラマンの横暴は何処に行っても同じだし、
いちいち腹立てるのは損ですね、なんて熊坂さんに話すくらいには落ち着いていたけれどね。
今朝開いたばかりの蓮は何事も無かったように強い日差しの下で、まだまだ輝いている。


ハス
女房殿が失望の声。
「綺麗に、花びらが蓮の葉に落ちていたから撮ったのよ。
そしたら、鳥の写真を専門に撮っている方から、あれは作為的なものですよ、って言われて…」
「見れば判るよ。写真撮る人間は、自分でやっている事は一通り覚えてるから、作為的というのは直ぐに見破れる」
そんなシーンばかりになると、何処にも撮りに行けなくなってしまうんだけどね。
これだって、どこかに作為が感じられるんだけど。




ハチミツソウ
Verbesina alternifolia
隣に咲いている、ヒメバレンギクと同じように、舌状花が垂れ下がっている。
近くに咲いている、オオハンゴンソウと同じように、
筒状花がこんもりと盛り上がっている。
その二つの花の名前も、カナで書くとよく判らない。
このハチミツソウの名前もよく判らない。
そうなんだよなぁ~、花屋さんで売っていないから。


ハマデラソウ
小西先生、見てるかな、このページ。
咲いたよ、今年も。
あなたが次の本に描く予定の「浜寺草」の話をしてくれたのは、ちょうど一年前。
不思議な繋がりを呼んでくれた、高校時代の同窓・萩原(田角)宜子さんは、
昨年暮れに他界してしまったけれど、「花」の繋がりだけはずっと持っていたいねぇ。
今年も木場の帰化植物見本園で咲き始めたから、思い出してまた載せたよ。
「地味な花で、誰も描かないから私が描く」
そんな内容のメール貰ったものだから、草の花だけじゃなくて
「帰化植物」が身近に感じられるようになったきっかけの花。
大事にしたいと思っている。
今ではすっかり、野の花にはまってしまったのもこの場所に何度か通ったせいだと思っている。


ハマボウ 浜朴
去年、熊坂さんに教えてもらった。
「なかたにさん、モミジアオイとトロロアオイの揃い踏みは無理だけど、
ハマボウだったらもしかして時期が合うかも知れないよ」
そうなんでよね、大船には残念ながら、トロロアオイは咲かないんだから、揃い踏みは無理。
教えて頂いた浜朴は、ムクゲ群の端っこで孤高を守っていた。
トロロアオイよりも少し濃い黄色。


バラ パーマネント・ウエーブ
言い得て妙、花色が真紅だから少し違和感はあるけれど、
花姿は見事にウエーブがかかっている。
その中に、優しいピンクが咲いていた。
捜せば幾つか咲いていた。
去年は、これは赤いバラ、そう言っていたのにいつの間にか、パーマネント・ウエーブなんて言っている。

バラ ブラックバカラ
五月に咲いていた頃よりも色鮮やかだし、深みがある。
バラには、青と黒は無いらしいけど、名前には幾つも青と黒はある。
黒真珠と名付けられた花よりも、もっと深い黒。
秋にも咲くだろうか。
そうすれば、今年は三度この花を愛でる事になる。

バラ 連弾
震度3のアナウンスが、防災無線から流れていた。
「そんな揺れじゃないよねぇ~」 薔薇園には三組の二人連れしか居なかったけれど、一様に怪訝な顔をしていた。
揺れの直後は、今年二度目の見事な花をつけた全ての薔薇が左右に大きく波打っていた。

(2005.07)
画像下のコメントは原文のまま、撮影順にはなっていない。
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