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イワシのファルシィ

碧く透き通った海が美しい南仏ニース。
今回の料理教室は南仏ニースより「イワシのファルシイ」をご紹介します。
フランスでは週末に家族で囲む料理にPoulet rôti(プレロティ:鶏の丸焼き)やPot-au feu(ポトフ:肉やソーセージ野菜を長時間煮込んだ洋風おでん)が作られます。Farci(ファルシィ)といえば、その余った具材を詰め物にした料理をいいます。今回は、イワシに詰め物をして焼き上げます。
魚、野菜の下処理をします。材料の欄に切り方を記載してあります。
オーブンは200℃にあたためておきます。

新鮮な魚の見極めは、目が黒いか、エラの色が鮮明な赤色か、青魚の場合は背のツヤがブルーに光っているかがポイントです。

イワシは非常に栄養効果の高い魚です。なかでも注目されている成分が、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)。ともに魚の脂肪分に含まれているものをいいます。脂質は、たんぱく質、糖質と並ぶ三大栄養素のひとつで、人の身体には欠かせないものです。 脂質を構成している脂肪酸には、炭素の二重結合のない飽和脂肪酸と二重結合が一つの一価不飽和脂肪酸と二重結合が二つ以上の多価不飽和脂肪酸があり。DHAやEPAは二重結合が五つ以上ある多価不飽和脂肪酸です。 また、ミネラルも豊富に含まれています。 生のイワシには、可食部100g中に70mgのカルシウムが含まれ、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富です。ビタミンDはほとんどの野菜や肉類には含まれておらず、しいたけなどの菌類と魚に含まれているものです。ビタミンDは日光に当たれば、体内でも作られるものですが、実際にはなかなか日光浴ができない現代人にはイワシのビタミンDが強い味方になります。

今回使う野菜でブレット(不断草)というホウレン草に似たフランスではよく使われる野菜を使用します。日本では、スイスチャードなどの名称で売られています。

フライパンをあたため、オリーブオイルを入れフォークに刺したニンニクでオリーブオイルを馴染ませます。そこにブレットを入れてひと塩し、ブレットをソテー(炒める)します。
火が入りしんなりとしたら、ザルにあげてエグテ(余分な水分を取り除く)し粗熱をとります。

三枚おろしにしたイワシは、味を引き出すためにひと塩して水分が出てきたらペーパーで水気を切っておきます。

フードプロセッサーに、エシャロット・ハム・パン粉・ブレット・イタリアンパセリを入れて細かくし卵を加えて混ぜます。混ざり合ったらボウルにあけ、パルメザンチーズを加えよく混ぜたらファルシィの完成です。

水分をきったイワシにひと塩して、ファルシィをのせます。ファルシイは丸いお団子状にしてイワシにのせ、くるっと巻いて楊枝を斜めに刺します。

グラタン皿(または、天板)にオリーブオイルを回し入れイワシを並べ入れ200℃のオーブンで10分程度、皮目にうっすらと焼き色がつくまで焼きます。

次に、もうひとつの食べ方をご紹介します。
ファルシィをイワシに平らにのせ、両面にパン粉をつけます(小麦粉+溶き卵をつけてから一般的にはパン粉をつけますが今回使用していません)。フライパンをあたため、オリーブオイルで両面を焼いてレモン・バジルを添えて供します。

料理は、コンセプト・ロジック・デティールをしっかり理解することが重要です。
コンセプト=旬の食材と土地の食材の出会い。
デティール=技術的な事や食材に対しての情報。
ロジック=科学的に見たときの成分の組み合わせ。なぜこれが美味しいかという理由です。

今回は、南仏でよく使われるブレットに薬味となるエシャロットとイタリアンパセリにグルタミン酸が多く含まれるパルメザンチーズとコハク酸も含まれるハムを合わせ、グルタミン酸を多く含むイワシとともに仕上げています。

パン粉をつけて仕上げる手法では、小麦のたんぱく質の多くがグルテンで、以前はグルテンがグルタミン酸の原料として使用されていたこともあり、このことからもうま味が増すことがわかります。

自然や季節を素材の味を生かした手法で、みなさまの食卓を囲む時間がより健康的で、現代のストレス社会から解放される「やさしい」「ほっとする」時間となるよう願っています。

【イワシのファルシィ】
・鰯…12尾(三枚おろしにする。頭の部分に切り込みを入れ、腹の部分から内臓を取り出し、頭とともに除く。腹側と背側の余分な骨や筋を取り除く)
・ブレット(不断草)葉の部分…150 g  
(軸の部分を除き、7mm程度にカットする)
・ハム…100 g(1cm角にカットする)
・卵…1コ(ボウルに割りほぐす)
・イタリアンパセリ…1束
(軸の部分を除き、葉はコンカッセ※粗みじん切りにする)
・エシャロット…4コ
(1cm角にカットする)
・パルメザンチーズ…80g
・パン粉…100g
・オリーブオイル
・塩、コショウ
・ニンニク…1片
(皮をむいて包丁の背でつぶす)
・パン粉…適量

《付け合わせ》
・バジル※軸の部分除く
・レモン ※飾り用

≪道具≫
・まな板、包丁
・ザル、ボウル、バット
・フライパン、フォーク
・ヘラ、ゴムベラ
・フードプロセッサー
・楊枝
・使い捨て手袋
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