生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

ヴェルディ リゴレット 全3幕 言語上演/日本語字幕付き 主催:緑音葉研究会 共済:ヴェルディの声研究室

2015-05-10 23:47:31 | お知らせ
 気が付けばちょうど一ヵ月後の6月10日(水)A公演、11日(木)B公演、場所は横浜市緑区民文化センター(みどりアートパーク)、JR横浜線、東急田園都市線長津田駅北口から徒歩4分、音響効果に優れた340席ほどの新しいホールです。両日とも開場時間18:00で開演時間18:30です。全席自由で¥3,000-。私の正体をご存知の方は連絡を頂ければチケットをカウンター預かりにします。

 それにしてもリゴレットは名作ですね。個人的にはヴェルディの、否、数あるオペラの中での最高傑作だと思っています。ストーリーのキーワードは呪いですが、醜い身体障害者として生まれついたタイトルロールのリゴレット。権力者に追従する宮廷道化に身をやつしながら最愛の娘を秘かに育てている。リゴレットが仕える権力者が好色なマントヴァ公。愛娘を公に辱められて復讐を誓うモンテローネ候をリゴレットが茶化したことで、リゴレットがモンテローネの呪いを受けてしまう。娘とは知らずにリゴレットの愛人だと勘違いした公の廷臣共がリゴレットの娘を攫って公に差し出してしまう。廷臣共に娘を返せと歌うのがリゴレットのアリア「邦題:悪魔め鬼め」この曲こそがリゴレットの、あるいは全てのオペラのアリアの中で最高傑作ではないかと思っているのですが、巷では公が歌う「邦題:女心の歌」の方が有名ですね。しかしこの「女心の歌」が何回か歌われるのですが、その使われ方が観客にとっては息を呑むような、リゴレットにとっては正に心臓が口から飛び出してしまいそうな極限の設定で使われているんですよね。コンサートアリアとして歌われる「女心の歌」の殆どは、オペラの舞台では初出の文字通りの歌詞の意味で歌われていると思います。しかし、本当は物凄く思い意味を背負わされているアリアなんですよ。

 リゴレットも復讐を企てて、そのための重要な登場人物が殺し屋スパラフチーレですが、リゴレットと娘ジルダ、公とスパラフチーレの妹マッダレーナの四重唱も聞き所ですし、次いでメンバーがジルダとマッダレーナとスパラフチーレに入れ替わって歌われる嵐の三重唱も聞き所です。緊張感で言えば三重唱の方が圧倒的ですね。特にジルダの心象風景が四重唱と三重唱との間で大きく変っているはずなので、ジルダ役がそこをどう歌うかも気になるところです。こうしてみるとそれぞれ主要な役にはアリアと重唱が満遍なく割り当てられていますし、呪いや復讐が一筆書きではなく何層もの重層構造になっているところがこのオペラの魅力です。これほどまでに思いテーマを扱ったオペラは他にはちょっと思い浮かびません。と言っても私もまだまだオペラ初心者ですから、ストーリーの思いオペラをご存知の方は是非お知らせ下さい。

 これほど思いストーリーの原作は、フランスのヴィクトル・ユーゴーです。リゴレットが大ヒットしたにも関わらずユーゴーには全く経済的な見返りはなかったそうで、相当に不快に思っていたそうですがフランス公演の際に(?)リゴレットを見て、三幕の四重唱については演劇では同時に複数の役者にセリフを言わせることは出来ないが、音楽ではそれが出来るのがうらやましいというようなことを言ったそうです。あまり知られていませんが著作権に関する国際条約を締結する際にヴィクトル・ユーゴーは中心的な役割を果たしたそうですが、リゴレットから一銭も得られなかった体験がそうさせた一因だったのではないかと思っています。

 以前、5月31日(日)にステージに立つ旨をご案内したことがありますが、こちらのリゴレット公演との両立は難しいと判断して出場辞退することにしました。当該ステージ自体は行われるはずですので声楽発表会を聞きたい方は足を運んで見て下さい。

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