マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

僕の大事なコレクション

2007-08-26 10:33:03 | 映画ーTV
ー僕の大事なコレクションー
2005年 アメリカ リーヴ・シュレイバー監督 イライジャ・ウッド 、ユージン・ハッツ 、ボリス・レスキン 、ラリッサ・ローレット 、ジョナサン・サフラン・フォア

【解説】
ジョナサン・サフラン・フォアの人気小説を、俳優としても活躍するリーブ・シュライバーが映画化したロードムービー。収集癖のあるユダヤ系アメリカ人青年が、祖父の故郷であり自身のルーツでもあるウクライナで、かつて祖父を救った女性を探し出そうとする。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのイライジャ・ウッド。英語とウクライナ語が入り乱れる愉快なセリフの数々と、ウクライナの田園風景を表現した美しい映像が見どころ。

【あらすじ】
ユダヤ人の青年ジョナサン(イライジャ・ウッド)は、亡き祖父と見知らぬ女性が一緒に写っている写真を病床の祖母から渡される。その女性が祖父の若き日の恩人であるらしいと知ったジョナサンは、祖父の故郷ウクライナへ向かい、現地の青年アレックス(ユージン・ハッツ)らと共に写真の女性を探すための旅を開始する。 (シネマトゥデイ)

【感想】
この監督、俳優さんらしいけど、たいした人だなあ。

この映画、タイトルといい、イライジャ・ウッドの分厚い眼鏡に七三分けの髪型といい、偏執狂っぽい映画だと決めつけていました。
反省。
すごくいい映画です!!

ユダヤ系アメリカ人のジョナサン(イライジャ)は家族のものを思い出のために何でもコレクションしてしまうという変な性癖を持つ青年です。

ある時、死の床にあるおばあちゃんから一枚の写真を渡されました。
それは、おじいちゃんがロシアからアメリカへ来るために助けてもらったアウグスチーヌという女性の写真。
ジョナサンは幼い時におじいちゃんが亡くなった時、おじいちゃんが持っていた琥珀のペンダントトップをコレクションしていたのでした。

一方、ウクライナに住むアレックス。
アメリカが好き、ダンスが好きな今風の長身の青年。
おじいちゃんが始めた、ユダヤ人向けの観光案内の仕事をしています。

ジョナサンはアレックスを通訳に、アレックスのおじいちゃんをガイドに雇い、自分のおじいちゃん、サフラン・ショアのルーツ探しの旅に出る、いわゆるロードムービーです。

プラスワンが、おじいちゃんの盲導犬サミー・デービス・Jr・Jr。
盲導犬というけど、おじいちゃんの目が見えないは自称。
だって、運転できるんだもの。
しかもこのサミー、捨て犬育ちで、凶暴だし…。

おじいちゃんはユダヤ人に対して、すごい偏見の持ち主。いつも不機嫌だし。
でも、その過激な行動の裏には、なにか秘密がありそうです。

前半は、できのいいシュールなショートコントを何本も立て続けに見ているみたい。
冷たい笑いがいいセンスです。

エミール・クストリッツァ監督の「アリゾナドリーム」に、景色の使い方とか曲の合わせ方とか、とても似てると思いました。

音楽が、始めて聞く感じ。
これは、どこの音楽なのでしょう。
映像ととても合っていました。

えんえんと続くウクライナの景色。
始めは荒涼たるものでしたが、やがて、麦畑、緑豊かな高原の風景へと変わっていきました。
そして、目的地となるところはどこまでも続く美しいひまわり畑。

後半は、うって変わって、民族の悲劇、ウクライナの片田舎のユダヤ人虐殺で村が消滅した悲劇が語られます。

出会ったアウグスチーヌの姉のコレクションは、コレクションなんて悠長なものではありません。
人々が生きた証、戦争の酷い爪痕、記憶そのものです。

「これも違う意味の指輪物語だなあ」とアウグスチーヌの指輪を受け取ったイライジャの困り顔をみて思いました。

しかも、それにかかわったらしい、アレックスおじいちゃんの自殺。
彼の安らかな死に顔は、何を物語っているのでしょう。
すごくショッキングでした。

おじいちゃんの過去はすべてが語られたわけでもなく、断片から推測する他はありません。
でも、彼がユダヤ嫌いを装わざるを得なかったこと、盲目だと言い張っていたこと、そして、自ら命を絶ったこと…
彼は、あまりに深い癒せない傷から、やっと解放されたのでしょうか?

この旅で、ジョナサンとアレックスは心を通わせ、遠く離れていても、ともに生きていると実感する間柄になります。

観客をユーモラスに導き、戦争の悲劇を語る。
心にしみる映画でした。

オール・アバウト・マイ・マザー

2007-08-25 13:33:47 | 映画ーDVD
ーオール・アバウト・マイ・マザーー
1998年 スペイン ペドロ・アルモドバル監督 セシリア・ロス 、マリサ・パレデス 、ペネロペ・クルス 、アントニア・サン・フアン 、ロサ・マリア・サルダ

【解説】
ヨーロッパの巨匠ペドロ・アルモドバル監督による感動ドラマ。最愛の息子を事故で失ってしまった母親の、死を乗り越える魂の軌跡を描く。99年度アカデミー賞、最優秀外国語映画賞受賞。17年前に別れた夫に関して息子から問われた母マヌエラ。長い間隠していた夫の秘密を話そうと覚悟を決めた矢先、彼女は息子を事故で失ってしまう。息子が残した父への想いを伝えるため、マヌエラはかつて青春を過ごしたバルセロナへと旅立つ。

【感想】
とても奇妙な映画です。
男性は、本当の意味での男性は少ししか出てきません。
ゲイは重要な役割りでしたが。
しかも、彼らのひとりが父親。
この映画の公開当時なら、私はこの映画を理解できなかったかもしれない。

でも、「ボルベール<帰郷>」を見てとても気に入ったし、あと何本かアルモドバル作品を見ているので、この映画はとても感動しました。
一番良かったんじゃないかな?

17歳の一人息子エステバンを、彼の誕生日に突然の交通事故で亡くしたマヌエラ(セシリア・ロス)。
この日に、彼に父親のことを告げる決心をしていたのに。

マヌエラの仕事は臓器コーディネーター。ここからも、命がテーマであることを暗示して、うまい作り方です。

そして、下敷きは「イヴの総て」で、「欲望という名の電車」がストーリーに絡んできます。

観客にそういう深いところを考えさせながら、マヌエラの選択した人生をたどり、彼女の夫の子を産む女性、ロサ(ペネロペ・クルス )との数奇な運命をさらりと描いてしまいます。

この映画はすべての母性を温かくみつめてます。
ロサのお母さんのことだって、ひどい母親とは決して言いません。
彼女も虚構の家庭を精一杯守っているひとりの母親の姿だと思いました。
認知症の夫の世話も大変なんです。

この映画には3人のエステバンが登場しますが、悲劇の元凶となったのはマヌエラの夫のエステバン。
彼は新婚の妻を残して、パリで性転換の手術。
マヌエラはショックを受けるものの、バルセロナでしかたなく結婚生活を続けるが、妊娠した時点で夫を捨て、マドリードで自活する決心をした。
その後も、彼(彼女?)は放蕩を続け、彼の麻薬中毒を親身に世話をしてくれたシスター、ロサを妊娠させたあげくに、長年のルームメイトからお金を盗んで出奔。
しかも、自分はエイズを病み、あろうことか、ロサも胎児も感染させていた!!
こんな極悪人も珍しい。

ロサは出産して死亡、彼女のお葬式に、エステバンは現れた。
病んでボロボロの姿で。
こんな有様じゃ、探し出して、悪口雑言でも浴びせようといきまいていたマヌエラでさえも、現在と過去の悪行を責める気力も失せてしまいます。

ロサのお母さんだけが「うちの娘を殺した」と責めます。
マヌエラは「そうは考えないで」とたしなめますが、あのセリフがないと、見ている方の腹立たしさが、おさまらない気がしました。

希望は第3のエステバン、ロサの生んだ赤ちゃんですね。
この子がマヌエラをはじめ、関係するすべての人たちの生きる支えとなっています。
とても、いいラストでした。

「ボルベール」を見終わった時にも感じた「女たちはしたたかに逞しく、少々対立したって、どこかで折り合って、協力して生きていくものだ」という思いをさらに強くしました。

これは、アルモドバル監督からの力強いメッセージなのでしょうね。

ペネロペの成長もよくわかりました。

また、アパートの内装も、家具も素敵だし、服もおしゃれだし、画面のすみずみまで気配りが行き届いていました。
素晴らしい映画でした。

「X-MEN2」と「X-MENファイナルディシジョン」

2007-08-25 13:21:29 | 映画ーDVD

ーX-MEN2 ー
2003年 アメリカ ブライアン・シンガー監督 パトリック・スチュワート 、ヒュー・ジャックマン 、イアン・マッケラン 、ハリー・ベリー 、ファムケ・ヤンセン 、ジェームズ・マースデン 、レベッカ・ローミン=ステイモス 、アラン・カミング 、アーロン・スタンフォード 、アンナ・パキン 、ブルース・デイヴィソン 、ブライアン・コックス 、ケリー・フー 、ショーン・アシュモア 、ケイティ・スチュアート 、ピーター・ウィングフィールド

【解説】
プロフェッサーX率いる“X-MEN”は、人類抹殺計画を企てたマグニートー一味を倒し、マグニートーを牢獄に幽閉。人間との共存による平和が訪れるかに思われた。しかし、人類のミュータントに対する偏見や嫌悪はやがてX-MENたちにも向けられていく。そんな時、謎のミュータントによる大統領暗殺未遂事件が発生する。これにより、人類はミュータントの脅威に改めて恐れおののき、反ミュータント運動を加速させる結果となる。そして、その運動の先頭には、ミュータントへの生体実験を噂される元陸軍司令官で大富豪のストライカーがいた。(yahoo映画)

【感想】
X-メンの続編。

ますます洗練されて、素晴らしいと思うけど、のめりこむほどじゃないなあ。

こうみたら、どう?
これこそ、神が死んだ後の世界。
プロフェッサー(パトリック・スチュワート)だけが操縦できる機械は、生命を操り、神の業に迫ろうとしている。

ストライカーの目的はミュータントの抹殺。
それが人類の平和存続と信じている。
自分の息子がミュータントと知り、自分に理解できない超能力の持ち主とわかると、絶望のあまり、息子を脳の手術をしてまで無力化してこの計画に参加させているほど、心は冷たく凍り付いている。
マグニートー(イアン・マッケラン)はミュータントの世界を作るべく、人間の絶滅のために暗躍している。

こんな、絶望的な状況のもと、人間もミュータントも生命を、プロフェッサーが操縦する機械ににぎられている。
しかしプロフェッサーはストライカーの手で無力化して、操り人形状態。
どちらの手に落ち、どちらかが死滅してしまうのか?
神も仏も存在しない、殺伐とした世界。

虐げられたものたちは、それでも共存を目指し生きていくために、何ができるのか。

これだけ、ミュータントが揃っていて、もどかしい感じもするけど、今回はジーン(ファムケ・ヤンセン)がみんなの犠牲となって亡くなりました。

ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)の過去が語られ、謎も解けるけど、今回は影が薄かったね。
私個人的には、ミスティーク(レベッカ・ローミン=ステイモス)がよかったなあ。



ーX-MENファイナルディシジョンー
2006年 アメリカ ブレット・ラトナー監督 ヒュー・ジャックマン 、ハル・ベリー 、パトリック・スチュワート 、ジェームズ・マースデン 、ベン・フォスター 、ファムケ・ヤンセン 、イアン・マッケラン 、レベッカ・ローミン 、アンナ・パキン 、ショーン・アシュモア 、アーロン・スタンフォード 、ダニエル・クドモア 、ケルシー・グラマー 、ヴィニー・ジョーンズ 、マイケル・マーフィ 、ダニア・ラミレス 、エリック・デイン 、キャメロン・ブライト 、エレン・ペイジ 、ショーレ・アグダシュルー 、ケン・レオン 、オマイラ 、ジョセフ・ソマー 、ビル・デューク 、エイドリアン・ハフ 、アンソニー・ヒールド 、オリヴィア・ウィリアムズ

【解説】
人気アメリカンコミックを映画化した大ヒット・アクションシリーズの第3作。遺伝子の突然変異で超人的パワーを得たミュータントたちを主人公に、人類との共存の道を探る彼らの壮絶な戦いが描く。監督は『レッド・ドラゴン』のブレット・ラトナー。『ヴァン・ヘルシング』のヒュー・ジャックマン、オスカー女優ハル・ベリーらが主人公のミュータントを演じる。シリーズ史上最大級の戦闘が繰り広げられる怒とうの展開に興奮必至だ。

【あらすじ】
人間との共存を願うミュータントの組織「X-MEN」が弱体化する中、仲間を救うために死んだジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)が復活。その一方、ミュータントを人間に変える新薬“キュア”が開発され、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)、ストーム(ハル・ベリー)ら、ミュータントたちは究極の選択を迫られることになる。 (シネマトゥデイ)

【感想】
この第3部で監督が変わって、私は、このシリーズで一番まとまっていて面白かったと思いました。
内容もキャラクターも盛りたくさんだったけど、うまく処理してありました。
ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を中心に据えて、いろんなことをあまり深く考えさせなかったところが成功の秘訣でしょう。

ミュータント治療薬「キュア」が開発されて、ミュータント対人間の最終戦争が始まるわけですが、プロフェッサー(パトリック・スチュワート)率いるX-MENグループは、どちらの立場を取るか、難しい選択を迫られる結果となります。

ミュータントの中にもローグ(アンナ・パキン )のように、生きて行く上で不都合と感じる能力を持っている者もでてきます。
そのことが恋人たちをも分断して苦しめます。

このことは、被差別者が置かれている現状を思い起こさずにはいられません。
差別されて社会的弱者となっている人たちが分断されていく構図、現実にもありそうで、胸が痛みます。

ミュータント対人間ではなく、どうやったら人間は異種のものと共存ができるか、というのが3部作を通じてのテーマ。
あら、これって、永井豪の「デビルマン」と同じね。

★ネタバレ
仲間の犠牲になって死んだはずのジーン(ファムケ・ヤンセン)が、最強の破壊兵器となって帰ってきます。
愛するスコットを殺し、プロフェッサーをも殺してしまう。
彼女こそ、最悪のミュータント!!
ウルヴァリンは愛をまとってフェニックスと化したジーンに近づき、そして抹殺するー
これで、いいのか?とは思うけど、愛のために人類や地球を犠牲にはできないものね。

マグニートー(イアン・マッケラン)とプロフェッサーは立場が違って、争う結果になったけど、二人の友情は主義主張が違っても続いているというのは3部作を通じて貫かれていたことで、好感が持てました。

最後、ただのおじいちゃんになって、公園でチェス盤の前でボオッとしているマグニートーは寂しそうでした。

「キュア」のことは、深く考えたら謎の森に迷い込みます。
治るということは、ミュータントって病気なのかとも思うけど、まあ、無力化する薬、という程度で。
それをマグニートーに使ったのがウルヴァリンというのもなんかなあ…。

エンドロールの終わりに出てきた、あのシーンは何?
プロフェッサーがどうなったって?
意味が全然わからなかったけど、続編を作る気が満々です!というアピールかしら。

お気に入りキャラのミスティークは、早々無力化してしまいますが、演じているレベッカ・ローミン=ステイモスの素顔が見れました。
素っ裸で現れたときは、人間てこんなに弱々しいのね、と思いました。

リトルチルドレン

2007-08-23 11:53:05 | 映画ー劇場鑑賞
ーリトルチルドレンー
2006年 アメリカ トッド・フィールド監督 ケイト・ウィンスレット 、パトリック・ウィルソン 、ジェニファー・コネリー 、ジャッキー・アール・ヘイリー 、ノア・エメリッヒ 、グレッグ・エデルマン 、フィリス・サマーヴィル 、セイディー・ゴールドスタイン 、タイ・シンプキンス 、レイモンド・J・バリー 、トリニ・アルヴァラード 、ジェーン・アダムス 、サラ・G・バクストン 、トム・ペロッタ 、セイディー・ゴールドスタイン 、タイ・シンプキンス 、レイモンド・J・バリー 、トリニ・アルヴァラード 、サラ・バクストン 、トム・ペロッタ

【解説】
トム・ペロッタ原作のベストセラー小説を映画化した、ひねりの効いたヒューマンドラマ。経済的に何不自由のない生活を送りながらも、どこか満たされない空虚さを抱えた大人たちの姿を映し出す。『タイタニック』のケイト・ウィンスレットが、郊外の主婦の欲求不満を体当たりで熱演。『オペラ座の怪人』のパトリック・ウィルソンを相手に熱い濡れ場を披露する。平凡な人々の等身大の人生の悩みや苦しみがじわじわと胸にしみる。

【あらすじ】
郊外の住宅地で夫と娘と暮らすサラ(ケイト・ウィンスレット)は、その生活にうんざりしていた。ある日、彼女は主婦たちの憧れの的であるトッド(パトリック・ウィルソン)と話をする機会を得る。主夫である彼とサラは意気投合し、お互いの子どもを連れて会うようになり……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
子育ての時期の母親の心理というのは、なかなか微妙です。
私にも経験があります。

社会から取り残されて行くような孤独感、母親仲間からの疎外感。
「私はあの人たちとは違う。群れたくないわ」とも思う。

子育てしている父親。
母親仲間から「プロムキング」という称号を与えられているけど、話しかける人はいないブラッド(パトリック・ウィルソン)。
サラ(ケイト・ウィンスレット)の目には新鮮に映ったことでしょう。
サラの夫は、社会的に成功している人物ですが、性的嗜好に問題のある人でした。

一方、ブラッドは法科大学を卒業したのに、司法試験に2度失敗している司法浪人。
妻(ジェニファー・コネリー)が家計を支えているので、勉強しながら子育て、家事を担当している。
でも、自信をなくし、単調な毎日に少し腐りかけていました。

この二人が、一線を越えてセックスにのめり込んで行くのは、自然な流れでした。

サラは「ボヴァリー夫人」を読み返し、彼女と自分の心情を重ねあわせ、本の主人公の破滅を知りながら、この恋にのめりこんでいきます。
恋だと信じて。

そのストーリーにかつて性犯罪を起こして服役した男(ジャッキー・アール・ヘイリー)が、町に戻ってきたというエピソードが加わります。

ブラッドとロニーをつなぐのがラリーという元警官(ノア・エメリッヒ)。
彼も興味深い人物です。
彼は、現役警官だった頃、ショッピングセンターで銃を乱射の一報を受け、現場に駆けつけ犯人を撃ち殺しました。
しかし、その情報は誤りで、少年がおもちゃの銃を振り回していただけだったのです。

彼はショックを受け、警官を辞めましたが立ち直れません。
妻と双子の子供は家を出てしまいました。
その罪悪感や孤独感を埋めるため、ロニーをひたすら糾弾することが、彼の生き甲斐になっていました。

ロニーは明らかに、異常者です。
母親は息子を溺愛し、一生懸命にかばいますが、結局は心臓の発作で亡くなってしまいます。

この二つのエピソードがどうからんでいくのかと、最後までわかりませんでしたが、意外な結末といえるでしょう。

自分で結末をつけたロニーが少し哀れでした。

結論から言うと、ブラッドとサラは、元の生活に戻って行くのですが、ブラッドは戻れるかもしれないけど、サラはあのご主人との結婚生活を続けて行けるのかどうか心配です。
あの人は、尊敬できないでしょう。

ケイトとパトリツクは、美しい肉体を披露してくれます。
セクシーな二人、よかったです。

ジャッキー・アール・ヘイリーは各賞の助演男優賞にノミネートされただけあって、性犯罪者を演じるのに過剰過ぎず、人間らしく描いて好演でした。

消えた天使

2007-08-23 11:46:56 | 映画ー劇場鑑賞
ー消えた天使ー
2007年 アメリカ アンドリュー・ラウ監督 リチャード・ギア 、クレア・デインズ 、アヴリル・ラヴィーン 、ケイディー・ストリックランド 、レイ・ワイズ 、ラッセル・サムズ 、マット・シュルツ 、クリスティーナ・シスコ 、ドウェイン・バーンズ 、エド・アッカーマン 、フレンチ・スチュワート

【解説】
性犯罪登録者の監視を続けてきた公共安全局のベテラン調査官が、新米の女性調査官とともに10代の少女の失踪事件を追うサイコ・サスペンス。監督は本作でハリウッド進出を果たした、『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウ。『シカゴ』のリチャード・ギアが主人公の調査官を、『ロミオ&ジュリエット』のクレア・デインズが新米調査官を演じる。人気ミュージシャンのアヴリル・ラヴィーンが出演しているのも見逃せない。

【あらすじ】
性犯罪登録者の監視を続けてきた公共安全局のベテラン調査官バベッジ(リチャード・ギア)は、後任の新人調査官アリソン(クレア・デインズ)を指導するが、アリソンはバベッジの手荒な調査方法に反発を覚えるようになる。そんな中、10代の少女の失踪事件が起き、バベッジは性犯罪登録者のしわざだと確信するが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
“米国で登録されている性犯罪者は50万人以上。1人の監察官が1000人の登録者を監視する。米国では2分に1人、女性または児童が性的暴行を受けているー”
「消えた天使」は、サスペンス・エンタテインメント大作と同時に、日本でも議論されている性犯罪者の出所後の情報公開の是非など、目を背けられない現代社会の諸問題、そして“人間の心に秘められた残虐性と闇の領域”に深く斬り込んだ衝撃の問題作である。(公式HPより)

上記のように紹介されると、その通りと納得してしまいますが、見終わったあとの感想は、「暗い、陰湿」でした。

犯罪者を追いつめているはずのバベッジ(リチャード・ギア)は疎外され、孤立しています。
彼は、彼自身との葛藤に疲れきっているように見えます。

それでも、性犯罪者に立ち向かって行く姿は感動的ですが、犯罪者の闇はどこまでも深く、救いがありません。
同情も共感もない、最後のシーンの砂漠みたい、救いがまるでないのです。

★ネタバレ
女性が犯罪者、しかも主導的役割を果たしていたのには、ショックでした。
ケイディー・ストリックランドの狂気の演技、すごかった。

アリソン(クレア・デインズ)がニュートラルを保ってくれたので、それが唯一の救いでした。

アンドリュー・ラウのハリウッド進出第1作ですが、もう少し、エンタテインメント性を出しても良かったんじゃないかな?

アヴリル・ラヴィーン!
人気アイドル歌手が、この役?
それもびっくり。

カンバセーションズ

2007-08-21 10:12:31 | 映画ーDVD
ーカンバセーションズー
2005年 アメリカ/イギリス ハンス・カノーザ監督 ヘレナ・ボナム=カーター 、アーロン・エッカート 、ノラ・ゼヘットナー 、エリック・アイデム 、ブライアン・ジェラティ 、ブリーアナ・ブラウン 、オリヴィア・ワイルド 、トーマス・レノン 、セリナ・ヴィンセント

【解説】
ウェディングパーティが行われているマンハッタンのホテルを舞台に、10年ぶりに再会した男女の心の機微(きび)をリアルな会話とともに映し出したラブストーリー。主人公の男女を演じるのは『ビッグ・フィッシュ』のヘレナ・ボナム=カーターと『サンキュー・スモーキング』のアーロン・エッカート。会話によって、2人の関係や現在の状況が徐々に明らかになっていくユニークな構成と、2人の視線を同時にとらえた2分割画面が興味深い。

【あらすじ】
ウェディングパーティに花嫁の付添人として参加した女(ヘレナ・ボナム=カーター)と、花嫁の兄として出席した男(アーロン・エッカート)。10年ぶりに再会した2人は見知らぬ他人同士を装って、クールな会話を交わし始める。、パーティが終わったころ、2人は女の客室に向かって朝までの数時間を一緒に過ごすことになる。 (シネマトゥデイ)

【感想】
誰でも、自分に置き換えて考えてしまいそうな、うまいテーマですよね。

妹の結婚式で再会した、10年前に別れた彼女。

女(ヘレナ・ボナム=カーター)は一夜のアヴァンチュールを求めただけなのでしょうか?
男(アーロン・エッカート)がよりを戻そうと、甘い言葉を吐くのも、見せかけだけなのでしょうか?

「男はズルいロマンチスト」
「女は罪なリアリスト」
そんなことばかりやっているから、男も女も幸せになれない…

大人になるってやっかいね。
若い二人は、キスだけで結婚に飛び込んでいけたのに…(だから、失敗したって?夢のないことを)

このふたり、どこまで本当のことをおしゃべりしたのでしょう。
ふたりはお互いの何を知りたかったのでしょう。

私の考えではー
女は自分の過去を終わらせたかった。
男は、まんまとそれに引っかかってしまった。
って感じでしたが。
ま、どっちもどっちだったから、よかったんじゃないかな?
結論は、過去には幸せはない、ということでしょうか。

それにしても、この女性、前夫が弁護士で、現在の夫が心臓外科医、よくある話じゃないわよね!?

私は2分割画面、家のTVで見たせいか、気になりませんでした。
どこかにウソがないか、二人の表情を一生懸命追っていました。
どちらも、主体で面白いと思いました。

8mm

2007-08-21 10:03:19 | 映画ーTV
ー8mmー
1999年 アメリカ ジョエル・シューマカー監督 ニコラス・ケイジ 、ホアキン・フェニックス 、ジェームズ・ガンドルフィーニ 、ピーター・ストーメア 、アンソニー・ヒールド 、クリス・バウアー 、キャサリン・キーナー 、マイラ・カーター 、ジェニー・パウエル 、エイミー・モートン 、ジャック・ベッツ 、レイチェル・シンガー 、ノーマン・リーダス(yahoo映画)

【解説】
「セブン」の脚本家による、猟奇サスペンス。うらぶれた私立探偵のトムは、大富豪の未亡人から奇妙な依頼を受ける。亡き夫の遺品の中にあった8mm映画について調べて欲しいということだ。だが、その8mmフィルムに映っていたものは、少女の殺害シーンだった。これは本物のスナッフ(殺人)・フィルムなのか? 調査を進めるトムはやがてハリウッドの裏側に潜むアンダーグラウンドの世界へとたどり着く。そのあまりにダークな世界で、真実を掴んだトムは自ら危険を冒し、自身の正義を貫くのだが…。

【感想】
ジョニー・デップが初監督した作品「ブレイブ」もスナッフムービーをテーマにしてしました。
同じテーマでも、取り上げ方によってこうも違ってくるのか、と思いながら見ました。

私は「ブレイブ」の原作本も読んだのですが、こういう行為そのものが、信じられないという思いでいっぱいになります。
人が死ぬところを見たい、それが快感なんて、その人は生きながらにして悪魔ですよね。

まあそれはさておき、この作品、途中まではサスペンスタッチで引っ張っていって、ホアキン・フェニックスを巻き込んで、狂人映画監督に迫っていくまではとても面白かったのですが、その後はしらけてしまいました。
まるで、必殺仕事人ニコラス・ケイジ!!

まあ、こういう映画を作った人は悪いけど、それが売れる市場があるということの方が問題でしょうに。

ホワキンのセリフにあったように、インターネットの時代になって、スナッフは論外にしても、ポルノ市場はますます闇で発展しているのではないでしょうか?
絶対あかん、とも言えないでしょうが、子供たちの目からは絶対!! 遠ざけて欲しいなあ。

もともと、不愉快なテーマなのに、こういう顛末に付き合わされて、嫌な気分になりました。

ブロークンアロー

2007-08-21 09:57:43 | 映画ーTV
ーブロークンアローー
1996年 ジョン・ウー監督 クリスチャン・スレイター 、ジョン・トラヴォルタ 、サマンサ・マシス 、ジャック・トンプソン 、ハウイー・ロング 、フランク・ホエーリー

【解説】
「ハード・ターゲット」に続く、J・ウーのハリウッド第2作。二基の核弾頭を搭載したステルス戦闘機の訓練飛行中、少佐ヴィクター(トラヴォルタ)によって機外へ放り出されるヘイル大尉(スレイター)。全ては核を強奪するためのヴィクターの企みであった。砂漠に落下したヘイルは公園監視員のテリー(マシス)の協力を得て、ヴィクターと核の跡を追う……。(yahoo映画)

【感想】
WOWOWで見たのですが、なーんや、という感じでした。

やたら爆発シーンが多いけど、結局は拳で殴り合う。
派手なのに、中身がないなあ。

あんなに延々と核弾頭を運んで行くのに、なんで軍隊が来ないの?

でも、演習に本物の核弾頭を使ってるなんて、そういう事実があるとしたら、その方が怖いけど。

プロヴァンスの贈りもの

2007-08-19 11:07:04 | 映画ー劇場鑑賞
ープロヴァンスの贈りものー
2006年 アメリカ リドリー・スコット監督 ピーター・メイル原作 ラッセル・クロウ 、アルバート・フィニー 、フレディ・ハイモア 、マリオン・コティヤール 、アビー・コーニッシュ 、ディディエ・ブルドン 、トム・ホランダー 、イザベル・カンディエ 、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ 、ケネス・クラナム 、アーチー・パンジャビ 、レイフ・スポール 、リチャード・コイル

【解説】
ロンドンの敏腕ビジネスマンが、南フランスの地で人生を見つめ直す様を描いたヒューマンドラマ。巨匠リドリー・スコットが、30年来の友人でもあるピーター・メイルのベストセラー小説を映画化。『グラディエーター』でもスコットと組んだラッセル・クロウが主人公のビジネスマンを演じる。また、主人公の少年時代を『チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモアが好演。南フランスのゆったりした空気をとらえた美しい映像も必見。

【あらすじ】
ロンドンの金融界でトレーダーとして多忙な日々を送るマックス(ラッセル・クロウ)のもとに、10年も疎遠にしていたヘンリーおじさん(アルバート・フィニー)が亡くなったとの知らせが届く。遺産を相続することになったマックスは、ヘンリーが住んでいたプロヴァンスのぶどう園を訪れるが……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
この映画はラブコメディではありません。
主人公が見失っていた自分の人生を、少年の頃の思い出を手がかりに、取り戻すまでを描いたドラマです。
コメディタッチのところもあるけど、個性的なキャラクターをぜいたくに配置して、人生にとって何が大切か、観客に問いかけています。
ラブロマンスはその彩りに過ぎない感じでした。

オープニングが素敵です。
プロヴァンスのぶどう園を経営するおじのところで夏休みの休暇を過ごしているマックス。
ずるして勝ったチェス、水で割ってもらって飲む美味しいワイン。
この映画のエッセンスがありました。

イギリス人のマックス(ラッセル・クロウ)、フランス人のデュフロ夫妻とレストランを経営しているファニー、アメリカ人のマックスのいとこ。
この人たちの関わりを、亡くなったマックスのおじさん(アルバート・フィニー)との思い出を挿入しながら進んでいきます。

ラッセル・クロウが本当に素敵です。
お茶目でかわいい、彼の魅力が十分発揮されています。

 マックス(フレディ・ハイモア)とヘンリーおじさん(アルバート・フィニー)

マックスの子供時代を演じているフレディ・ハイモア君も子供らしく、のびのび演じていました。
たしかに、この子がマックスに育つんだなあという感じ。

背景はプロヴァンスのお城みたいな古い家とぶどう畑。
小道具はワインと車とテニスと飛び込み台付きの小さなプール、そして最後にゴッホの「糸杉」。
その他にも、ツール・ド・フランスにちなんだ選手の名前が出てきたり、いろんなことを知っている人ほど楽しめるでしょう。

ハリウッドの王道を行くような、リドリー・スコット監督作品とわかってびっくりしましたが、この原作者ピーター・メイルとは親友で、スコット監督自身も当地に別荘とワイナリーを持っているそうです。
うらやましい境遇ですね。



私は“コワン・ベルデュ”を飲みにだけでも、プロヴァンスへ行きたいです。

スティル・クレイジー

2007-08-19 10:59:02 | 映画ーTV
ースティル・クレージーー
1998年 イギリス ブライアン・ギブソン監督 スティーヴン・レイ 、ジミー・ネイル 、ティモシー・スポール 、ビル・ナイ 、ジュリエット・オーブリー 、ビリー・コノリー 、ブルース・ロビンソン 、ハンス・マシソン 、ヘレナ・ベルイストルム

【解説】
20年ぶりに復活をめざす伝説のロック・バンドの姿を辛らつに笑いつつも温かなまなざしで描いたコメディ。1977年、伝説のウィズベック野外ロック・コンサートを最後に解散した人気バンド“ストレンジ・フルーツ”。あれから20年、しがないセールスマンをしているキーボード奏者だったトニーのもとに、ウィズベック20周年記念フェスティバル参加の誘いが持ちかけられる。彼はバンドの再結成を決意し、さっそく昔の仲間を探し始めるのだったが……。(yahoo映画)

【感想】
この映画、なんとなく録画しておいたのですが、すごく面白かったです。
たくさん見ているからと、映画の神様がくれたご褒美みたいでした。

日本でも、バンド復活ブーム、70年代のフォークの特集を週刊文春が夏の特大号で取り上げていて、私も買いました!!

先日も、サウストゥサウスの元メンバーやウエストロードブルースバンドの元メンバーのライブに行ってきたばかり。
めちゃ、のりのりで楽しかった。
かれらは、まだまだ若い音を出すよ!!

えっ!?ノスタルジー?
それだけだけじゃないでしょう?
そう思いたいと願っている今日この頃、グッドタイミングで出会った映画です。

始まりは、人気ロックグループ「ストレンジ・フルーツ」の最悪のバンド解散から20年、そのきっかけとなった20年前の野外ライブ再現の企画が持ち上がったところに端を発します。

コンドームのセールスマン、キーボードのトニーが、元マネージャーのカレンを訪ねて説得します。
彼女は、スト・フルのカリスマギターリスト、ブライアンに憧れて、最初はバンドの雑用からマネージャーに上がった女性。
解散後はブライアントも別れ、結婚、妊娠、一人娘の出産、離婚を経て、今はホテルで働いていました。

ドラムのブーノは債権者に追われ、実家の隣のトレーラーで暮らしながら、農園で日銭を稼ぐ毎日。
すぐに乗ってきました。

ベースのレスはかたぎになっての屋根の修理屋。
妻子持ち。

ボーカルのレイ(ビル・ナイ)だけは、なんとか音楽で暮らしを立てて、立派なお城に住んでいましたが、そこも売りに出しているくらい、内情は火の車です。
ビル・ナイは「ラブ・アクチュアリー」でも、似たような歌手を演じていましたが、神経質そうなスタイルが、そういう役にぴったりです。
細いパンツ、めちゃ似合っています。
この映画では自分で歌っているんだって。
すごいなあ。

肝心のブライアンは印税を施設に寄付するという遺言を書いてなくなってしまったということでした。

レイとレスは、犬猿の仲。
過去のわだかまりが解けません。
それそぞれ事情のあるメンバーたちは、とにかくグループ活動をはじめるため、軽く練習した後、大型バスでヨーロッパツアーに繰り出します。

当時はセックス、ドラック、酒まみれのツアーだったのでしょうが、今じゃ、健康のために、酒はやめて、煙草もやめて…女は…だめだめ、妻子がいるでしょ?
ライブは場末で、観客もマナーが悪い。
演奏もうまくいかない。
バスの中も険悪ムード。
ジョークにさえ笑えない。
だけど、もうやっていけない!という状況に陥るたびに現れるブライアンの啓示。
なんとか、意気投合できる演奏ができるまでに漕ぎ着けた。のに…。

レスとブーノがテレビのインタビューでレイの悪口を言っているのを見て、レイは切れて脱会。
グループはまた解散してしまった。

カレンは、ブライアンの弟のお墓にお参りした時に、ブライアンが生きていることを知ります。
そして、再会。
このシーンはすごく美しい。

ブライアンの登場で、野外ライブへの参加が決まったけれど、もう一悶着あって、感動のラスト。

音楽も良かったですよ。
なんか、私も昔からスト・フルのファンだった気分になりました。

そうやん!
いくつになっても、音楽は最高!
音楽は年でやるものと違う!!
私はいつまでも、自分の好きな音楽を追いかけ続けるぞ!!

ええ、映画やった!!
あー、すっきりした!!