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アルファ碁祭

2017年05月24日 | 時事
囲碁AI、初戦は最強棋士に勝利=中国・柯潔九段と3番勝負―「弱点まったくなし」
昨年韓国のトップ棋士イセドル9段に4勝1敗と勝ち越したアルファ碁が、今回ついに世界ランク1位のカケツ9段を下した模様です。

と言っても既に非公式対局では今年の正月にマスターと名乗って世界のトップ棋士延べ60人に60勝無敗という無双を繰り広げ、その中には日中韓の最強である井山・カケツ・パクジョンファンも含まれていましたから、今回の公式戦の結果は驚きというより「ついにこの日が来たか」といった感じですね。丁度将棋でも先週左藤天彦名人が2連敗を喫し、AIの完全勝利宣言となりましたから、時を同じくして囲碁も人類が抜き去られてしまったということですな。まあこちらはあと2戦あるのでまだ分かりませんが、棋譜を見てみると確実に勝つために中盤以降はぬるいというか、もうリードを守りきるだけの打ち方をしている感じだったので、結果は半目負けですが、だから惜しかったのではなく、これは「永遠に覆らない半目」だという印象を受けました。

もう少し詳しく説明すると、囲碁は陣地が1目でも多い方が勝ちなのですけど、打っていてちょっとリードしたなと思っても、この先追いつかれるのが心配とか、相手をねじ伏せてやろうとか(笑)様々な気持ちから守って勝ちと言う局面でももう少し得をしようと攻めすぎてしまい、逆に隙をつかれて大きく取られ逆転負けということがよくあります。しかしこの「守って勝ち」も中々難しく、守り過ぎると今度は相手に得をされ追いつかれることもあるわけです。さらに言えば、例えば高段者と置き碁で打ち、石が多い分のリードを守りきって数目勝ったとしても、「この手はヌルイ」とか「もっとこう打つと得だった」「こうすれば石が取れた」などと、さらに得をするためのご指導を受けることになります(笑)つまり、勝ち碁にも数多の反省点というか議論の余地が生まれてしまうのが囲碁というゲームであり、また終盤ヨセ次第で同じ1目勝ちになるルートだけでも無数にあるので、王将さえ取ればそれ以上追及の余地がない将棋に比べて、勝ち碁にも負け碁にもああだこうだと意見がつきやすいゲームだと言えるでしょう。今回の対局でもいくつか疑問手が指摘されているようですが、例えばある地点でうまくいけば最大10目勝ちがあった場合、人間だとそのまま10目勝ちを目指してしまいますが、AIはどうやら多少損しても負ける可能性がより少ない手を選んでいるようなそぶりがあり、「最大限の差をつけて勝つ」でなく「最低でも半目勝つ確率」を極限まで高めて打っている感じがしますね。こういう冷静な計算と判断力は、やはり欲や不安を感じないAIならではなのでしょう。
カケツにしてみれば自分に勝機があったのか気になるところでしょうけど、残念ながらAIには検討機能がありません。ギリギリの半目なのか、それともギリギリを演出されたのか・・・もし明日も半目なら後者の可能性もありますね。考えたくありませんが、もう人類最強に「わざと半目勝負で勝つ」余興ができるくらいの実力差はあるのかもしれません。

ところで今回のアルファ碁はカケツとの3番勝負だけでなく、トッププロ5人の相談碁VSアルファ碁とか、アルファ碁とプロがそれぞれペアを組み、それぞれ交互に打つAIペア碁対局も予定されているらしいです。まさにアルファ碁祭ですな。最後のはどっちが勝っても人類の(半分)勝利と言えますし(笑)グーグルもこれで囲碁攻略はもう一区切りとしてしまおうとする意図を感じます。ただし、今回は中国で開催されているのですが、現地では報道規制が激しく、中国国内では対局の様子も一切生中継されなかった模様です。イセドルの時はネットやTV中継はもちろん街頭テレビでも全部流すほどの注目ぶりでしたけど、アメリカに負ける(かもしれない)のを中継するのは問題だったのでしょうか。やはり自由のない国は怖いですね。


[追記]
25日に行われた2局目はアルファ碁が黒番でしたが、何とカケツの大石をしとめて中押し勝ちとなりました。ざっと40目くらいは良かったようです。よく「黒番は大差を目指し、白番は半目残せ」と言われますけど、ここまでの結果では正にその通りになっている模様です。冗談抜きでこれはもう人類とは3子くらいの差があるのかもしれません・・・何やら1年前のイセドルと戦ったバージョンと今のアルファ碁が打つと、2子で全勝、3子でも勝ち越したという話もあるそうで、あながちビッグマウスでもなさそうです。プロ同士の戦いは基本置石なしですけど、何子なら勝てるのか気になるところですね。打ち込み碁やってくれないかな・・・
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