★読者のみなさんへ★
「本稿」をご覧になる前に、「6月19日付」の「番外編(西南学院大学の総合力)」をご一読ください。
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今回の西南学院大学「夏季定期公演」の『Under the Rose』(アンダー・ザ・ロウズ)。ほぼ2時間もの長編の舞台でした。以下、筆者の感想を……。
1.キャスト、スタッフ全員に「自分たちにしかできない舞台を創り上げる」という“ひたむきさ”が“強く熱く”感じられた。
この件については演出・助演の三氏のみならず、演劇部全体としての意思統一があったのかもしれません。そういう“覚悟”を感じました。
それは今回の芝居が、「若手お笑い系」のドタバタ的な“コント”や“ギャグ”に流されなかったことからも窺い知ることができます。と言って、コントやギャグが悪いのではありません。既存のコントやギャグを感じさせるものがあっても、それが行き過ぎでなければいっこうに構わないし、演劇自体の価値を落とすものでもないでしょう。
しかし、今回彼らは頑(かたく)なに“独自の創造”に“こだわった”ようです。それだけ本来の「舞台演劇」に徹しようとの気持ちを感じ取ることができました。
多少、課題を残したとはいえ、舞台演劇の基本に忠実な演出・助演、キャストの演技、舞台設定であり、スタッフの各種オペレーション(操作)であったことは確かです。
2.「シーン」も「登場人物」も多い、しかも「パラレルワールド劇」という「物語の展開が判りにくい芝居」を、よくまとめている。
「過去と現在という異なった時制」に「同じ時制に併行するA・B2つの世界」が絡む。それに加えて「13人もの登場人物」。
となれば、「判りにくい芝居の典型」となりやすいものですが、なんとかクリアしたと言えるでしょう。共感できる「演出」や「演技」でした。
とはいえ、「2時間」で「1幕30数シーン」というのは、いかに「判りやすい芝居」の展開であっても、やはり観る側にはかなりの負担です。筆者は慣れているのでそれほど感じなかったのですが、舞台演劇に不慣れな方にとっては、「フラッシュ暗算化」した展開に困惑したことがあったのかもしれません。
「脚本」を見ていないので何とも言えませんが、やはり「シーン」数を整理し、「芝居全体の進行スピード」を少し控えた方がよかったのでは。そうなれば全体がコンパクトに引き立ち、「テンコ盛り感」も防げたように思います。何よりも、観る側の理解がいっそう深まるとともに、感動やその余韻をより楽しむことができたような気がします。
ついでに言えば、「各シーン間の移動」に、「照明・効果・音響」による「あとちょっとのバリエーション」があれば、より印象深いシーンになったのでは……。言い出したらキリがありませんが、ついそう思いました。
3.「照明」と「音響」との息の合ったコンビネーション操作が、複雑に錯綜する「パラレルワールド」の目まぐるしい展開を支えている。
つまりは、「照明」と「音響」のコンビネーション操作(オペレーション)が秀逸であったことを意味しています。もっとも“秀逸”でなかったら、筆者は「芝居を楽しむ」というより、「フラッシュ暗算」に追われていたかもしれません。それにしても、よく訓練された「照明」や「効果・音響」のオペ(操作)でした。(続く)
花雅美様の視点は、言われてみれば確かにそうかもしれません。それでも正直言ってちょっと反論してみたいと思うところがあるのも事実です。ただ残念なことに、私には理路整然と持論を展開するだけの文章力がないのです。それを含めて、これから勉強させていただきます。
Kさんの「反論」期待していますよ。理路整然と言わず、いつでもどうぞ。気まぐれでも一時の想い付きでも何でも、そのとき閃いたものを素直に自然体で呟いてくださいね。お互い本音で、飾ることなくありのままを語り合いたいと思います。読者もそれを期待していることでしょう。